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2019.04.03

30代以下の「賢い」保険との付き合い方超基本|手取りが増えない時代のお金の使い方とは

東洋経済オンライン

若い世代でも保険に入ったほうがいいのでしょうか?(写真:CORA/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/273472?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

若い世代でも保険に入ったほうがいいのでしょうか?(写真:CORA/PIXTA)

少子高齢化、年金問題、奨学金返済……。これからの日本を生きるミレニアム世代(2000年代以降に成人を迎える世代)の若者が抱えるお金の問題はたくさんあります。また、上の世代には通用していたお金の常識やメソッドが通用しない時代になっていくため、この世代ならではのお金に対する知識や知恵が必要になっています。

この世代はお金とどう付き合えばいいのか、お金の知識はどのように身につければいいのか、『ミレニアル世代のお金のリアル』から一部抜粋し再構成のうえお届けします。1990年生まれのミレニアル世代の筆者が同世代の身の丈に合った「お金の知識・知恵」を紹介します。

お金と縁のない世代がじわじわ増加

「今の若者は車を買わない」「家も買わない」「旅行へ行かない」「結婚もしない」「子どもを産まない」……。

いわゆる「若者のお金離れ」という現象。2000年以降に成人した「ミレニアル世代」よりもふた回り、3回りも年上の世代の方からは、そう評されたりもします。

けれど2000年以降に成人したミレニアル世代は、景気が低迷している「失われた20年(今では「失われた30年」に突入しているといわれていますが)」に育ち、そもそも景気がいい状態を知らない世代です。

今の20代の平均年収は、国税庁の年齢階層別の平均給与を見ると、20~24歳の平均が258万円、25~29歳の平均が351万円、30歳から34歳の平均が403万円となっています。

税金や社会保険料が上がっていることもあり、現在の給料と40年ほど前の給料では、同じ額面だったとしても、実際にもらえている手取り額に大きな差があるでしょう。しかも物価も年々上昇しており、生活は日々苦しくなっているはずです。

そのかさむ税金や保険料の値上がりに悲鳴をあげているのはミレニアル世代だけではなく、ロスジェネ世代の40代も同様でしょう。

ロスジェネとは、ロスト・ジェネレーションの略称で、バブル崩壊から10年間のうちに新卒となった世代のことをいいます。バブル崩壊による就職氷河期に就職活動を行っていた学生の多くは正規雇用の道を断たれ、派遣労働者やアルバイトなどを選ばざるをえませんでした。

当然、非正規雇用では収入が安定せず、運よく正規雇用で採用されても労働環境は最悪なもので、バブル崩壊後の日本にはそんなお金離れ、お金と縁がない世代がじわじわと増え、もはや国民病のように今も蔓延し続けています。

そんな世代が少ないお金を何に使うのか、どうやって使うのか慎重になり、お金を消費しないという選択肢にたどり着くのも当然の結果です。数年後、今よりも景気が悪化するかもしれない。数十年後、年金がもらえるかわからない。もはや国の福祉をあてにする希望も持てないのです。

手元に残るお金が少ない。そんな中で、なけなしのお金を払ってでも一般的な保険に入るべきか否か、悩む人も多いのではないでしょうか。

まず忘れてはいけない重要なことは、日本国民の場合、公的医療保険については加入が義務付けられていることです。

公的医療保険には2つ種類がある

公的医療保険には大きく2つの種類があり、国民健康保険と健康保険に分かれます。企業に勤めている人は基本的には健康保険に加入しており、給料から社会保険料として天引きされているはずです。また、国民健康保険は自営業やフリーターなど、企業勤め以外の方を対象とし、各自治体へ個人で加入し、自分自身で支払いをするというものです。

どちらの公的医療保険も、加入していれば病気やケガで病院にお世話になった際、診療費の7割を会社や国が負担してくれます。そのため、入院を必要とするような大きな病気やケガをしない限り、病院での自己負担額はそれほど高くはなりません。

任意で加入する民間の保険は、もしものときに備えるための保険です。自分の身に万が一のことが起こった際に保障してくれる「生命保険」と「医療保険」について解説します。

まず「生命保険」ですが、これは簡単に言えば、自分が死んだとき家族にお金を残すための保険です。保険に加入している人が死亡した際に効力を発揮します。

生命保険は世帯や家庭を金銭的に支えている人に万一のことがあったとき、残された家族がこれからの生活に困窮することがないよう、備えるための保険です。身も蓋もない言いかたをしてしまえば、独り身やお金を残す必要がない人にはそれほど重要な保険ではないと考えられます。結婚し、子どもが生まれてから加入を考えても問題はないでしょう。

次に「医療保険」。こちらは基本的に、病気やケガの際の入院、手術、通院などの保障をするものです。治療費が想像以上に高額になってしまったときに真価を発揮する保険とも言えます。入院中にかかる費用や、保険の商品によっては働けない期間に給料の代わりとも言えるようなお金を受け取ることも可能です。

また、これらの保険は上記であげたようなことしか保障してくれないのかというと、そういうわけではありません。最低限の保障プランに加えて、特約(プラスアルファでつける保障・サービス)をつけることにより、保障を追加することができます。もちろん、プラスする特約によって保険料が上がってしまいます。

また、保険には「掛け捨て型」と「貯蓄型」というものがあり、それぞれ特徴が違います。

掛け捨て型についてですが、こちらは名前のとおり、保険料を払った分のお金や保障が必ずしも返ってくるわけではありせん。つまり、病気やケガにならなければ、支払った保険料が無駄になってしまうということです。その代わり、保険料が安くおさまることが多いのが特徴です。

一方、貯蓄型の保険は、支払った保険料が返ってきたり、ボーナス給付があったりと、お金が戻ってくるので、支払った保険料が完全に無駄になることはありません。しかし、その分毎月の保険料が掛け捨て型よりも高くなります。

高額療養費制度とは?

保険の制度やメリットを確かめたうえで、こういった任意保険に入るべきか、入らなくてもよいか考えてみましょう。個々人のライフプランにもよるので、一概にどちらがいいとは言えません。

ネット検索をすると中にはすごく保険料の安い民間の任意保険もありますが、そういった保険であっても、毎月、毎年となるともちろん出費も多くなります。収入が少なく、本当に貯金も少ないのであれば、毎月保険にいくらか支払うよりも、まずは数カ月分の収入程度のお金を貯めておくことが先決でしょう。

前述しましたが、日本は国民皆保険制度によって、公的医療保険への加入は義務付けられています。さらに、日本には「高額療養費制度」というものがあります。

この高額療養費制度は、医療費が高くなったとき、自己負担の限度額を超えた分のお金が返ってくる制度です。例えば、年収約250万円の人が入院をした場合、病院の窓口で支払う金額が30万円だったとしたら、高額療養費の申請をすることにより、自己負担額である5万7600円を超えた部分、つまり約24万円が返ってきます。

前もって必要書類を提出して、健康保険組合から「限度額適用認定証」の交付を受けていれば、医療機関などの窓口にそれを提示することで自己負担限度額である5万7600円を支払うだけで済むのです。

限度額適用認定証の利用にはいくつか条件があります。しかし、普通に高額療養費の申請をするとお金が戻ってくるのは約3カ月後とされているので、治療費の支払い時に最低限の費用負担だけで済むならば、ひとまず発行してもらっておいて損はないでしょう。

病気やケガの通院や入院だけでなく、出産が帝王切開になる場合にも対象になるので、出産費用の軽減という意味でも、ぜひチェックしておいてください。

しかも、この高額療養費制度は、公的医療保険が適用されるものがその対象となっています。民間の任意保険の中にはがんに特化した保険もありますが、基本的にはがんの治療にかかる費用も、高額療養費制度の適用範囲内です。

この制度を使えば、病気やケガで医療費が高額になったときに、まったく金銭的なサポートがないのかと心配する必要はひとまずないと言えるでしょう。

ただし、高額療養費制度は年収によって自己負担額が変わってきます。ほかにも、医療費以外のベッド代、入院中の食事代などは別途加算されます。

また、公的医療保険適用外の治療を行う場合には、高額療養費制度は適用されません。高額療養費制度はあくまで世に一般的に広まっている治療に適用されるものです。先進医療やレーシック手術、インプラント治療などは自己負担となります。もちろん、そういったようなさまざまな条件があることも気にしておかなければいけません。

とはいえ、会社勤めであれば、月のお給料が20万円でも毎月3万円も引かれている社会保険料。こういった公的制度があることをしっかりと理解し、まずは最大限有効活用しつつ、こういった制度があるとわかったうえで民間の保険に入るべきか入らないか検討していくようするといいでしょう。

「お金」は人生の選択肢を増やすためのもの

最近はキャッシュレス化が進み、さまざまな新しいお金のサービスも増え、「お金離れ」とは言われているものの、異なる意味ではスマホ1台でお金が使えるなど、今までよりもお金が身近になっている部分もあります。

そんな中で、今回お話ししてきた「保険」という病気やケガに備えたお金の支出の考え方だけでなく、公的な制度であったり、自分たちが普段の生活で利用しているお金のサービスの仕組みであったり、お金の基礎的な知識を身に付けることの重要さも、一段と増してきているのです。

お金の知識やお金との向き合い方は、学校や家庭などでなかなか教わらずに大人になってしまいます。自分自身でしっかりとお金と向き合わなければ、「お金離れ」がさらに進んでしまうことでしょう。

そして、手元に残るお金がどんどん減ってしまう中で、ただやみくもに貯金するのではなく、自分にとってのお金の貯まっている状態を定義し、投資やキャリアプランの見直しをするなど、お金を増やしていくことを考えていくことも大事です。


『ミレニアル世代のお金のリアル 』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

少子高齢化や年金問題、今の日本の経済状況を見ても、いきなりこれから景気がよくなり、今後普通に過ごしていれば満足のいく収入がすぐに手に入るということは、悲しいですがなかなか難しいというのが現実。

「お金」によって苦しむことも悩むことも多いですが、「お金」は人生の選択肢を増やしてくれるものです。お金そのものも、そして知識もあればできることも増え、なければやりたくてもできないことが増えてしまいます。

今後の人生の選択肢を増やしていくためにも、しっかりと自分のお金と向き合い、上手に付き合っていきましょう。

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横川 楓:ミレニアル世代のお金の専門家

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