メニュー

2019.03.26

人前で緊張する人が「最初の3分」にすべきこと|冒頭での「自己紹介・時事ネタ」は逆効果

東洋経済オンライン

どんなに緊張する人でも、プレゼンを乗り切る方法があるという。『緊張して話せるのは才能である』の著者である永井千佳氏に語ってもらった(写真:HAYKIRDI/iStock)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/272285?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

どんなに緊張する人でも、プレゼンを乗り切る方法があるという。『緊張して話せるのは才能である』の著者である永井千佳氏に語ってもらった(写真:HAYKIRDI/iStock)

人前で話そうとすると、緊張で手は震え、頭が真っ白になる。誰でもそんな経験があるはずだ。

緊張して話せるのは才能である』の著者である永井千佳氏によると、「どんなに緊張する人でも、プレゼンを乗り切る方法がある。特に最初の3分が大事だ」という。そこで最初の3分に何をすべきかを語ってもらった。

最初の3分は「魔の時間」

私は経営者のプレゼン・コンサルタントとして、講演会でお話しする機会があります。講演後にこっそりいただく質問でいちばん多いのは、これです。

「プレゼンで緊張しないようにするには、どうすればいいですか?」

プレゼンの目的は「上手に話すこと」ではなく「人を動かすこと」です。そして緊張しても、話し下手でも、人は動かせるのです。

かくいう私は今でこそプレゼンのコンサルタントをしていますが、子どものころから極度のあがり症でした。しかしあるとき緊張を生かし、感動を伝えるには「コツ」があることを発見し、人生が好転し始めたのです。

そのコツとは最初の3分を攻略すること。

「手が震える、足が震える、声が震える」という極度の緊張は永遠には続きません。最初の3分がピークです。最初の3分を成功させれば、その後も気持ちが切れずに維持できます。緊張する人は「最初の3分間は、魔の時間」と覚えておいてください。この3分間を乗り切れば、どんな人でもプレゼンを乗り切ることができるのです。

そこで今回は、そのポイントを3つ紹介しましょう。

ポイントその1:10回の練習より1回の録画

あらためて「緊張して話せない」という人にお聞きします。

あなたは、自分のプレゼンを録画していますか?

こう言うと、多くの人がこうおっしゃいます。

「でも、自分の録画を見るなんて恥ずかしい」

ちょっと待ってください。

あなたは、その「恥ずかしい姿」をお客さんに見せているんですよ?

自分が客観的に見えていないことも大きな原因

今はスマホで、誰でも簡単に動画撮影できます。それなのに、「緊張する、どうしよう」と言いながら、スマホで録画するくらいの努力もしないのは、あまい!

言葉は強いかもしれませんが、そうとしか言いようがありません。

録画すると必ずわかることがあります。それは自分のありのままの姿です。自分の事実がそのまま見えてきます。

緊張して話せないのは、自分が客観的に見えていないことも大きな原因。それは録画して、自分のプレゼンがどうなのかを見たことがないからです。その人のプレゼンを見れば、「この人、自分のプレゼンを見たことがないんだろうなあ」とすぐにわかります。

ではどうすればいいか? とっても簡単です。 たった2回、録画して見るだけです。本番で緊張して死にそうになるくらいだったら、録画して見る努力は、まったく取るに足りません。目的は、自分がどうなっているか知ることです。

〔やり方〕

1 スマホを用意する

2 家でプレゼンのリハーサルをして、スマホで録画。自分で見る。(冒頭3分間でOK)

3 そして本番でも録画して、あとで見る。

〔本番の録画で、必ず確認してほしいこと〕

・ いつまで声や手足が震えていますか? 震えが治まるのはどんなときですか?

・ 震えが治まったり、少なくなるのは、開始から何分後ですか?

・ 実は「意外に緊張しているようには見えない」ということに気づきませんか?

・ 自分では気になっているのに、録画では違う点は、何でしたか?

自分では気になることであっても、他人は意外と気にしていないものです。私の知り合いの女性が、「せっかく髪の毛を切ったのに夫が気づかない」とがっかりしていました。身近な家族でも細かい違いはそれほど気にしていないものです。あなたも、どれくらい他人のことを気にしていますか? そのレベルと同じくらいだと思いましょう。

緊張による震えでも同じです。あなたのプレゼンを聞いている人たちは、小さな震えくらいならほとんど気にしていません。あなたの緊張は、意外と「緊バレ」(緊張がバレること)していないのです。その場で気にしているのは、実はあなただけ。緊張すると人は神経が研ぎ澄まされるもの。だから緊張や震えが異常に気になってしまうのです。

だから本番前と本番でプレゼンを録画してみて、自分が気にしている点と、実際に見て気になる点の違いを確認しましょう。あなたが録画で見ている姿を、お客さんも見ています。自分を知れば、余計なことを心配する無駄なエネルギーを使わずに済みます。

聴き手の興味はテーマにある

ポイントその2:危険な「3J」を避ける

緊張のピークは冒頭にやってきます。そんな大事な冒頭でのダメネタは、自己紹介、時事ネタ、自慢話の「3J」です。聴き手が3Jを聞きたいのは、キムタクか海老蔵くらいです。

こういうと「最初に自己紹介をするのが礼儀だ」という方が多くいらっしゃるのですが、これは大間違いです。実はビジネスプレゼンの聴き手は、講師には興味がありません。興味あるのは、テーマです。ダラダラ自己紹介している人に、聴き手は「早く始めてほしいなぁ」と思っています。

しかしそんな聴き手も、自分が話す段になると自己紹介から始めるから不思議です。講師の自己紹介は、簡単に司会者にしてもらうか、資料に書いておくといいでしょう。冒頭の3分は緊張のピークであり、聴き手が聞くか聞かないかを決めるタイミングです。ここを逃してはいけません。

例えばプレゼンで、1枚目にこんな資料を使う人がいます。

このような自己紹介や趣味・家族自慢には、聴き手は100%興味ありません。

地方で話すとき、ご当地ネタも注意が必要です。その土地の方々に気遣って話す方が多いのですが、外すことも多いからです。

ある地方で話したときのこと。冒頭で「実はこの土地の出身で、両親もこのホテルで結婚式を挙げまして」と話したら、聴き手の皆さんの表情が硬いままです。水を打ったように静かになってしまいました。「これは外した」と思いました。案の定、講演後のアンケートでも満足度が低かったのです。

ご当地ネタは、間違ったことを言って失敗するリスクが高いのです。大阪の講演会の冒頭で、「吹田」を「ふきた」と言ってしまい、微妙な空気が流れたという知人の話を聞いて、「いやいや、そのくらいは知っててほしいかも」とも思いましたが、危険レベルは中の上クラスです。

せっかく用意していったネタがウケず、冒頭で空気が冷えてしまうと、温め直すのに時間がかかります。とくに緊張している人にとってはムダな体力を使ってしまうのでダメージが大きいのです。できればご当地ネタは避けましょう。

まず基本に戻りましょう。あなたの目的は何ですか? 冒頭の3分を乗り切ることでしたよね。だから地元ネタを言わなくても、何も問題ありません。冒頭3分で最優先すべきは、本題です。

単刀直入にテーマに入れば、誰でもお客さんの期待に最大限に応えられ、満足度は確実にアップします。もちろん自分の名前くらいは言ったほうがいいですが、速やかに、ダイレクトに、プレゼンのテーマから入ることです。

集中力は、どんなに長くても3分間しか続かない

ポイントその3: 「鉄板ネタ」で魔の3分を乗り切る

ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

聴き手は、ウルトラマンである。

ウルトラマンは、目の前で怪獣が暴れ回って街のビルを破壊していても、仲間がピンチに陥っていても、3分間が経過するとカラータイマーが切れて、地球からオサラバしなければなりません。実は聴き手もウルトラマンと同じなのです。

3分間が過ぎて集中力が切れると、ほとんどの人は眠くなります。では3分間しか集中力が続かない聴き手を飽きさせないためには、どうするか? 実は、とても簡単です。プレゼンの冒頭で、その日の一番おいしい鉄板ネタを持ってくることです。こうすれば集中力を切らさずに最後まで聞いてもらえます。

でも現実には、この真逆プレゼンが実に多いのです。延々と前置きが続き、10分、最悪の場合は30分が過ぎて、やっと本題に入ったりします。聴き手はとうの昔に集中力が切れて、半数くらい爆睡していることもあります。

間違っても、美味しいネタは最後に持ってきてはいけません。

冒頭に美味しいネタを持ってくることが大切ですが、気の利いたネタを用意する必要などまったくありません。冒頭3分を攻略するには聴き手を引きつけるいつもの「鉄板ネタ」で乗り切ることです。最初がすべて。これをしっかりと心に刻み込んでください。極端な話、最後なんてどうでもいいのです。

これには理由があります。人は「自分の判断は正しかったのかな?」と内心不安を抱えています。高価な買い物をした後なのに、買った商品のカタログをじっくり眺めたりすることってありませんか?これは「やはり自分はよい買い物をしたんだ」と自分を納得させるためなのです。これを「認知的不協和の解消」と呼びます。人は認知的不協和を解消するために、自分が正しい理由を探し始めるのです。

これはプレゼンでもまったく同じです。聴き手はプレゼン冒頭で、「この人のプレゼン、いいなぁ」と感じると、話し手がその後少々失敗しても「この人のプレゼンはいいから、何か理由があるはずだ」と、理由を探し始めます。そして「この人のよさは私だけが知っている」という特別感が芽生えるのです。最初がよければ、90%は成功したも同然。プレゼンでは、最初がいいととても得なのです。


『緊張して話せるのは才能である』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

逆に冒頭がうまくいかずに「この人ダメ」と思われると、途中で調子が上がってよくなってきても、聴き手は「でもこの人のプレゼンはダメだから」と、ダメな理由を探し始めます。あれこれ難癖をつけて「ほら、やっぱりよくない」と考えるのです。最初の印象は消すのがとても難しいので、最初で失敗してしまうのはとても損です。

つまり、最初がいいと、最後までいい。最初がダメだと、最後までダメ。

後半に逆転ホームランを打つのは、よほどの天才でもない限り至難のワザですよね。しかも緊張のピークは、最初にきます。だから緊張する人ほど、最初で失敗するケースが多いのです。この緊張の最初のピークを攻略すれば、緊張してもプレゼンで成功できるのです。

このように人前で緊張する人が魔の3分を乗り切るためには、「録画」「3Jは御法度」「鉄板ネタ」がポイントです。ぜひお試しください。

記事画像

永井 千佳:トップ・プレゼン・コンサルタント、ウォンツアンドバリュー取締役

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します