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2019.04.11

「こんなこともあろうかと!」が習慣化には必要【習慣の心理学#11】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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誰しも習慣化したいことに一直線に迎えればいいのですが、そうもいきません。急な予定変更や体調不良、問題の発生など色々と起こるものです。
ではそんな時にどうしたらいいのでしょうか?
今回はそんな時に行いたい「プランB」について考えてみましょう。

最初の策にこだわらない『次善策』が習慣化を加速する

プランBとは?

プランBというのは聞き慣れないでしょうか?

横浜DeNAベイスターズで精力的に指揮を執っているアレックス・ラミレス監督がよく口にする言葉です。
ラミレス監督は必ずしも戦力十分とは言えないベイスターズを率いて、他の非常に層の厚いチーム以上の成績を上げています。
2017年シーズンなどは、良くて3位、悪ければ5位といった下馬評を覆し、セントラルリーグ代表として日本シリーズに出場しています。
そのラミレス監督の口癖がプランB、プランCなのです。

プロ野球のペナントレースは3月末に始まり、10月まで続く大変な長丁場です。
当然その長いシーズンの間、多くの選手がけがや病気で離脱します。また、スター選手であっても思うような調子を出せず、成績不振で一軍の試合に出場できずに1年を終えることだってあります。
こういったことは監督にしてみればとても頭の痛い話です。想定している戦力が大幅ダウンしたり、活用できなくなるわけですから。チームでいちばん有能なSEがとつぜん出社してこなくなったりするような話も同様でしょう。

しかしプロのアスリート集団が1年近く闘っていたら必ずそうなります。だからこそ次善策となるプランBが、あるいはプランCすら必要になるわけです。
どれほど想定したくない自体であっても想定し、どれほど理想とかけ離れた状態であっても闘えるように準備しておく重要性を、ラミレス監督は常に想定し、説いています。

習慣化にもプランBを導入しよう!

私たちも習慣化に当たっては、大いにこの話を参考にすべきでしょう。早起きの習慣化1つとってもそういうことが言えます。朝起きてジョギングするつもりであっても、雪が降っているかもしれないのです。起きた最初の日にです。冬の早朝と言えば、寒くて外は真っ暗です。そこに雪が降っていたら、戸を閉めて二度寝に戻りたくなるに決まっています。

プランAしか想定しておかないと、そういうことになり得ます。プランAは、もちろん冬にしては暖かく、ジョギングもしやすい朝であるという想定です。
私たちは得てして、習慣化というとそういう、「最初からずっと恵まれた日ばかり続く」という前提をとりがちです。毎日家で料理をしようと思いたったとき、キッチンに汚れた皿が山のように積まれている、とはあまり考えないものです。

実際の導入は簡単なもので良い

私も早起きを決意した日の夜は、まったくプランBを想定していませんでした。今思えば単にラッキーでした。絶対に想定しておくべきだったのです。
実際、四時起きが習慣化し始めて10日ほどたったとき、外に雪が降っていました。その頃は、何はなくとも朝起きたら散歩をするという、これまた今思えば無謀な挑戦を続けていました。
ただ、少しでもいいから散歩することにしておいたのは賢明だったと言えるでしょう。
5分でもいいから散歩するという習慣は、早起きをするには非常に良い工夫だったのです。

しかし雪が降っていた光景を眺めた私は絶望し、危うく二度寝するところでした。しかし、その日はたまたまそれほど眠くもならなかったのでシャワーを浴びることにしたのです。それ以来この「シャワーを浴びる」という行為が私の早起きプランBとなったのです。

朝起きたら、何はともあれ外に出る → プランA
外に出るのがはばかられる天候ならばシャワーを浴びる → プランB

本当であればさらにプランCも必要です。必ずシャワーが浴びられるとは限らないからです。シャワーが浴びれる体調ではない場合だってあります。また滅多にないことですが、断水中ということもあれば、お湯が出ないということだってあるわけです。
現に私はそんな事態に遭遇したこともあって、やはりそういうときには途方に暮れてしまいました。早起きというものは習慣化できた後も簡単なものではなりません。ツライ日はとてもツラいものなのです。

今では、プランCとしてどれほどひどい天気でも、玄関の外に出て空気を吸って動画を撮るというコースを想定しています。

あなたにとってのプランBを作ろう!

何かを習慣化したいなら、常に次善策も考えておくようにしましょう。
例えば食事内容をコントロールしているのに、レストランで望ましい食事がない。そんな場合にはドリンクだけで済ませたり、その分他の食事で調整するなど考えられるはずです。
完璧主義に陥らず、すこし遊びを持たせるようにすると、習慣化をよりしやすくなるはずです。

著者プロフィール

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■ささき・しょうご
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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