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2019.05.29

将来の寝たきりリスクを減らす!ロコモ予防のコツはこれだ【ロコモティブシンドローム・後編】

KenCoM公式ライター:黒田創

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身体を動かすのに使われる骨、筋肉、関節、軟骨、椎間板といった運動器が加齢で衰え、立ったり歩いたりといった移動のための基本的な運動機能が低下した状態を指す『ロコモティブシンドローム』、通称ロコモ。
要介護状態になった人の2割以上がこのロコモを原因としており、日常生活で足腰を使う機会が減った今の働き盛り世代にとっても、老後を考えると今から十分意識しておきたい問題です。

若いうちから骨や筋肉を強化し、老後のロコモのリスクを少しでも減らすには何から始めればいいのでしょうか。前回に引き続き、「ロコモ チャレンジ!推進協議会」委員長を務めるNTT東日本関東病院手術部長の大江隆史先生に伺いました。

現状把握とトレーニングでロコモを改善

まずは自分のロコモ度をチェックする

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自分自身の状態がわからなければ、将来のリスクを把握するのは難しいものです。ここではロコモの進行具合を測るロコモ度テストを用いて行う自己判断方法をご紹介します。
このテストはご自身の移動機能のレベルを測るものです。ロコモ度テスト1~3のうち、年齢に関わらず1つでも該当する場合、ロコモ度1あるいはロコモ度2と判定されます。移動機能が低下していることを自覚し、運動習慣をつけて改善に努めましょう。
また、定期的にロコモ度テストをおこない、移動機能のレベルをチェックしてください。

①立ち上がりテスト

このテストでは下肢の筋力の衰えを測定します。
まず、40cm、30cm、20cm、10cmの4種類の高さの台を用意してください。
難しい場合には高さの異なるイスがあると行いやすいです。

テスト自体は、両脚または片脚で行います。
両脚の場合はまず40cmの台に両腕を組んで腰かけてください。両脚は肩幅(握りこぶし2つ分程度)に広げ、脛が床に対して70度(40cmの台の場合)になるようにしましょう。そこから反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒間ぐらつかないように立ち続けてください。
片脚の場合は、どちらかの脚を水平にあげてください。その際にやや膝が曲がってもOKです。

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②2ステップテスト

このテストでは歩幅の広さが適切かを測ります。実は歩幅を調べることで下肢の筋力だけでなく、バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価できます。
まずスタートラインを決め、両足のつま先を合わせます。その姿勢から、できる限り大股で2歩進み、両足を揃えます(バランスをくずした場合は失敗)。
2歩分の歩幅を測ります。測定距離はスタートラインから2歩目のつま先までです。
テストを2回行って、良かったほうの記録を採用します。進んだ距離を下記の数式に当てはめて、値を求めましょう。

2歩幅 (cm) ÷ 身長 (cm) = 2ステップ値

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③ロコモ25テスト

実際の生活スタイルや身体状況からロコモ度を判断します。
下記のURLで直接記入できるので、求めてみましょう。

診断結果の見方

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★ロコモ度1

移動機能の低下が始まっている状態です。
筋力やバランス力が落ちてきているので、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)を始めとする運動を習慣づける必要があります。また、十分なタンパク質とカルシウムを含んだバランスの取れた食事を摂るように気をつけましょう。
①立ち上がりテスト:どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない
②2ステップテスト:2ステップ値が1.3未満
③ロコモ25:結果が7点以上

★★ロコモ度2

移動機能の低下が進行している状態です。自立した生活ができなくなるリスクが高くなっています。特に痛みを伴う場合は、何らかの運動器疾患が発症している可能性もありますので、整形外科専門医の受診をお勧めします。
①立ち上がりテスト:両脚で20cmの高さから立ち上がれない
②2ステップテスト:2ステップ値が1.1未満
③ロコモ25:結果が16点以上

予防にはトレーニングと食事が必須!

トレーニングで運動不足を解消

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ロコモ度1、ロコモ度2と判定結果が出た皆さんは明らかに運動不足です。しかし、いきなりハードな運動で改善しようとしても続くわけがありません。あくまで生活動作の延長と考え、身体に大きな負荷をかけない程度の運動に留めておくこと。これで毎日続けられますし、続けることが一番のロコモ対策になります。
まずは片脚立ちとスクワットから始めてみてください。

食生活の改善も立派なロコモ対策になる

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炭水化物多め、脂分多めの高カロリー食を長年続けて肥満になると、体重が増えた分、腰や膝に負担がかかり、ロコモの原因になります。かといって、無理な食事制限でダイエットして栄養が不足すると、骨や筋肉の量が減ってしまいます。ロコモに陥らないためには、肥満はもちろん痩せすぎにならないよう、食事面も注意しましょう。

私たちの健康、そして運動器の機能を保つのに欠かせない栄養素は炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの「5大栄養素」。これらを毎日3度の食事から摂ることが大切です。皆さんはお米やめん類などの主食を多めに摂る傾向にあると思われますが、それだけではなく肉や魚、卵、大豆製品のおかず(主菜)を1品、野菜やきのこ類、いも類の副菜を1品必ず添えましょう。さらに毎日、牛乳又は乳製品、そして果物を摂るよう意識しましょう。

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骨を強くするには、カルシウムはもちろん、肉、魚、牛乳、大豆などのタンパク質やビタミンD、ビタミンKも必要です。ビタミンDは腸でのカルシウムの吸収を高める働きがあり、鮭などの魚やキノコ類に多く含まれています。またビタミンKは骨の形成や骨質の維持に働いており、納豆や青菜に多く含まれます。他にもマグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸といったあたりも骨には大切な栄養素で、これらを毎日の食生活で組み合わせて摂ることが大切です。マグネシウムは大豆製品、海藻、魚介類などに、ビタミンB6はレバーや鶏肉、カツオやマグロ、ピーマンなどに、ビタミンB12はレバー、さんま、あさりなどに、葉酸はほうれん草や春菊などの野菜やいちごに多く含まれているので覚えておきましょう。

また筋肉量を増やし、筋力を高めるためには骨と同様にタンパク質が必要で、エネルギー源となる炭水化物や脂質も併せてしっかり摂っておくことが大切です。エネルギーが不足すると、身体はタンパク質を使ってエネルギーを産み出そうとするのが一番の理由です。タンパク質を多く含む食品は肉、魚、卵、乳製品、大豆製品が代表的。肉、魚、卵の動物性タンパク質の方が植物性タンパク質より吸収効率が優れていますが、含まれる必須アミノ酸(体内で合成できない食品から摂る必要があるアミノ酸)の量がそれぞれ異なることから、さまざまな食品を組み合わせて摂ることが大切です。さらにはタンパク質の分解や合成を促進するビタミンB6も、マグロの赤身やカツオ、赤ピーマン、キウイやバナナなどから摂るといいでしょう。

筋肉の減少は何歳からでも止められる

筋肉は40歳代から毎年0.5~1%ずつ減っていきますが、適切な運動習慣をつけ、きちんと栄養を摂りさえすれば減少を食い止めることができます。
86歳を迎えてなお世界的高山への登頂を目指す冒険家の三浦雄一郎さんは、60代の頃メタボ体型で余命宣告されたこともあったそう。
そこから骨を鍛え、筋肉をつけて再び強靭な身体を作り上げました。そこまでやるのは難しいにせよ、皆さんもずっと自分の足で歩き続けるために、今からロコモ対策を!

■ロコモの基本的な話はこちらから

参考文献

大江隆史(おおえ・たかし)先生

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NTT東日本関東病院手術部長、東京大学整形外科非常勤講師。東京大学医学部医学科卒業後、同大学整形外科医局入局。同大学医学部附属病院整形外科医局長などを経て現職。2010年「ロコモ チャレンジ!推進協議会」の設立とともに副委員長、2014年より委員長を務め、ロコモティブシンドロームについての啓蒙を行っている。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

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