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2019.04.08

「考えがまとまらない」を防ぐにはこうしよう!【ココロノセンタク#8】

KenCoM公式:臨床心理士・小室愛枝

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こんにちは。臨床心理士の小室愛枝です。
今日のテーマは『考えをまとめるのが苦手』です。自分のことかも?と思い当たる方も多いのではないでしょうか。
早速一緒に考えていきましょう。

考えていることを文字にして、頭から出してあげよう!

うまく考えを伝えられないことがストレスになっていませんか?

「私は考えていることを人に伝えるのが得意です!」という人にはなかなか出会わないものですが、「思っていることを言葉にして伝えることは苦手」、という人にはよくお目にかかるような気がします。
口頭で伝えることもそうですし、計画書や報告書のような文章、メールや手紙の文面を考えることが苦手な人も少なくないかもしれません。

いいアイディアや思いがあっても、人に説明しようと思うとうまく言葉にならず伝えられない。そういった経験をしている人は案外多いのではないかと思います。
説明しているつもりでも実は表現がわかりにくいのでよく相手から誤解される人や、「なんでみんなちゃんとわかってくれないんだろう」と思う人もいるかもしれません。

そのうち慣れてしまうかもしれませんが、理解してもらえないストレス、もっと言えば、悲しい気持ち、もやもやした気持ちは、知らぬ間に積み重なってしまうこともあります。
どうせ言っても伝わらないからいいや、と思うようになり、「一生懸命やっていない」「やる気がないんだ」とレッテルを貼られることになって、いろいろなことがうまくいかなくなる、なんていうことにもなりかねません。

まずは書き出して『見える化(視覚化)』してみよう

よく言われることではありますが、考えていることをまとめるとき、頭の中だけでまとめずに『見える化(視覚化)』するのがひとつの手です。
思いつくままにノートや付箋紙に書いてみましょう。単語でも文章でも、思いついたとおりでかまいません。それを組み合わせて、文章を作っていきます。

「てにをは」などの助詞や、主語・述語の関係に意識を向けながら、まずは日本語として正しい文章を作ることが大切ですね。
最初はキーワードを付箋紙に書いて、それを組み合わせながら一文ずつ作るとよさそうです。

できた文章を『信頼できる人』に見てもらうのも大切

そして、ポイントは『誰か信頼できる人に見てもらう』ということです。
もともと頭の中で考えをまとめることが苦手な人は、自分で何度見直しをしても、考えた説明文がわかりやすいかどうかの適切な判断がつきにくいようです。
ならば、同僚や気のいい先輩にランチなどをおごりながら文章チェックをしてもらうのがオススメです。
わかりにくいところを指摘してもらったり、よりわかりやすい表現を教えてもらったりして、具体的なアドバイスをもらえるといいですね。

また、自分の認知のクセや得意不得意がわかるような心理検査もあります。
心理士のいる心療内科等で受けられることが多いので、報告書がうまく書けない、考えていることをうまく伝えられない、ということでお悩みの方は、一度心理士など専門家に相談してみるのもよいかもしれません。
「考えていることを(頭の中でまとめて)言葉で伝えることが苦手です。心理検査で自分の得意不得意を知りたいです」と伝えていただけると、たいていの心理士には伝わると思いますよ。

書く→見てもらうの流れが大事

頭の中で考えたことを書き出してみると、気持ちをスッキリさせる効果もあります。
せっかくですからご自身の考えをまとめる意味でも、ストレス解消にも、書き出してみてはいかがでしょうか?
楽しんでいるうちにいつの間にか考えがまとまるようになってくるかもしれません。

■過去の記事はこちらから

著者プロフィール

■小室愛枝(こむろ・よしえ) 
臨床心理士・特別支援教育士。早稲田大学で心理学を学んだのち渡米。ボストンでカウンセリングの修士号を取得後、帰国。学生相談室・心療内科等での勤務を経て、現在は乳幼児の発達相談、小学校の巡回相談心理士、NPO法人らんふぁんぷらざ(発達に偏りを持つ子どもと家族のための支援機関)にて乳幼児から大人まで幅広い層の臨床を行っている。共翻訳著に『虐待・DV・トラウマにさらされた親子への支援――子どもー親心理療法――』(日本評論社)がある。

(文/小室愛枝)