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2019.04.04

習慣化に必要な「成功体験」ってこんな簡単なことだった!【習慣の心理学#10】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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何かを習慣化するときに「小さな成功体験を積み重ねていくのが大事だ」とよく聞くことがあると思います。
『成功』とついていると、ついついハードルを高く見てしまいがちですが、果たしてそうなのでしょうか。
今回はその「成功体験」について考えてみましょう。

「なんか良さそう!」を上手く使えば習慣化しやすい

「成功体験」って実はこんなに簡単なもの

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カギ括弧で「成功体験」としたのは、じっさいに「成功」するかどうかは大事ではないからです。

そんなふうに言われると「なに?」と思われるかもしれませんが、このことはベストセラー「習慣の力」(講談社)にいやになるほど書かれていることです。
たとえばみんなが毎日使うようになった歯磨き粉の話が出てきます。その歯磨き粉をみんなが使うようになったのは何のことはなく「使うと歯がヒリヒリしたから」だったのです。
歯がヒリヒリしたからと言って、歯がきれいになるわけでも、虫歯になりにくくなるわけでもありません。ただ「歯がきれいになった気がする」だけです。

私たちにとっての「成功体験」とはこういうものなのです。
だから習慣化のカギは、行為のたびに「これはいいことが起こっている」という実感であると言えます。実感がないと、それをする意味が感じられないので続かないのです。

単にタスクを小さくするだけでは習慣化できない

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本連載でも話題にした「小さな習慣」のカギは「小さい」ことにあるわけではありません。習慣が小さければ成功するというのであれば、本当にばかばかしいほど小さくすればいいことになるでしょう。
たとえばランニングを3分だけどころか、3秒だけにするとか。貯金を毎日1円にするとか。さすがにこれではうまくいかないでしょう。一年貯めても365〜366円にしかなりません。
そうではなく、習慣が習慣化されるのは、脳の中の「報酬系」が刺激されるからです。「何かいいこと」があったと思えるからです。
習慣がよくても悪くても、それが習慣になっているのは「いいこと」が実体験として起こっているからです。
ついついお夜食を食べてしまう人は、夜にお腹が減ったときにソース焼きそばを食べて、強烈な報酬を味わってしまったからです。
同じ人間なのに、お昼はサラダバーで済ませてダイエットの習慣化に成功させている人は、体重計に乗ったときや鏡で自分の裸体を眺めたときに「痩せてきた!」「かっこいい!」と口にしなくても実感してしているのです。

小さな習慣が比較的うまくいくのは、習慣がばかばかしいほど小さいからではなく、小さくても、何か実感できる「成功」がともなっているからなのです。
ここを誤解してはいけません。成功体験は、小さくてもかまいませんが、なくてはならないものです。

「何かいい気がする」を「成功体験」にしよう!

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私は去年の暮れから、冬の早朝の真っ暗なうちから、小走りするようにしています。はっきり言って、冬の早朝に走る意味は、ないと思います。
しかし私の脳は、ある意味ではけっこう愚かなので、冬の、寒い朝、真っ暗なうちに、走る、ということによって何かいいことが起こるような気になってしまうのです。

実際それ以来、この冬は「風邪を引いていない」し「インフルエンザにもかからなかった」のです。
たぶん偶然でしょう。
しかし脳はこれをしっかり「成功体験」として記憶します。するとまだ「真っ暗で寒い中に走る」ことが、習慣化されるのです。
歯がヒリヒリする歯磨き粉を使うと、虫歯にならない(ように誤解する)から繰り返し使うというのと、これはまったく同じメカニズムになります。

まずは自分が感じている「成功体験」を認識しよう

これから何か習慣化するならば、タスクを小さくするよりも、自分がどんなことに快感や楽しみを覚えているのかを考えてみましょう。
その体験を習慣化したいことに入れることで、グッと取り入れやすくなるはずですよ。

■もっと習慣化する方法が知りたい方はこちらからどうぞ!

著者プロフィール

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■ささき・しょうご
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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