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2019.03.28

何かを習慣化したいなら『体重記録』から始めよう!【習慣の心理学#9】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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何かを習慣化したいと思っている方は多いでしょうが、それと同じ数だけ何から始めたらいいのか迷っているという方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は、数値できっちりと結果が出る『体重記録』がおすすめです。今回は、体重記録に注目して習慣化のコツを紹介していきます。

体重を量る=記録を残す有効性

体重記録は最も簡単な「報酬」

習慣化には記録が強力な後押しになりますが、特に数値の記録は有効です。
本連載で多くお話している、健康や運動の習慣化のために必須だと思うのが体重の記録です。
記録することの利点はなんと言っても、その記録自身が「報酬」になるからです。体重の記録が報酬になるのは、体重が理想的である人だけだと思われるかもしれませんが、それは違います。

体重は、どんな人でもそれを量れば報酬になります。

「真実を知る」欲求を満たすと得した気分になれる

その理由は単純で、私たちの脳には「現実の真の姿を知りたい」という欲求があるからです。どうしてそんなものが知りたいんだ、と思われるかもしれませんが、多くの場合、それは生きるためです。
純粋に生き延びるために、自分自身の現在の姿を知っていた方がいいのは間違いありません。

私個人の意見がどうであれ、脳というのは太古からゆっくり進化した器官です。
太古の世界ではそこら中にヘビやら蜘蛛やらがうようよいて、今よりもはるかに危険でした。ちなみにいまでも脳は潜在的にヘビや蜘蛛を異常に恐れます(だからヘビ恐怖症や蜘蛛恐怖症があります)。実際にはヘビだの蜘蛛だのをそんなに怖がるのは理不尽なのですが……。

そんな世界で「真実」に興味なく、「外の世界は安全だ」と思っていた人間は、すぐにヘビにかまれて命を落としていたでしょう。
だから世界の現実に深い興味を持って、何かしら新しい情報を仕入れると何か得したような気になるようです。

体重や体脂肪率やそのほかの数値についてもまったく同じことです。健康診断の結果について、多くの人はある程度までわくわくするはずです。
ただそんなのは子供じみていて理不尽な感情だと抑え込む癖をつけているうちに、面白くもないような気がしてきているのでしょう。人はまた暗示にもとても弱いものですから。

数字を追いながら自分の好不調に当てはめるのもあり

まずはかまわず「数字」の記録を楽しみましょう。最初の数字がどうであろうと、そんなことはどうでもいいはずです。
だんだん数字が「良いトレンド」に乗るようになれば、ますます楽しくなっていきます。計るのが楽しくなれば、ダイエットであれ健康な習慣であれ、軌道に乗っていくものです。

現に私は、ここ3ヵ月、「体脂肪率を安定させる」というおもしろくもなんともなさそうな努力を楽しめるようになりました。0.5%の変化まで記録できるのですが私の体脂肪率は11%〜14%で推移します。

それを13%に安定させていると、感覚としてはかなり調子がいいのです。逆に14%に乗ると、なんだか不調になります。11%台というのも、決して好調ではありません。
このように個人的な数字ながら、調子と合わせて考えるとより楽しみ方が広がってきます。
なにをすればどうというのが非常にわかりにくく、それだけに挑戦しがいもありますが、私の場合どうやら食べ物と、歩行距離、それからお風呂の時間の長さに左右されるようです。

もちろん、体脂肪率だけにこだわる必要はまったくありません。体重でも、血圧でも、とにかく変動する現実的な数字を記録し、追ってみるとよいでしょう。
すると変動から必ず何かが見えてきて、喜びにつながっていきます。

体重記録も自動化を進めるとより楽に

体重記録が面倒臭いという方は、スマートフォンと自動連携できるものを選んでみると非常に楽チンになります。
体重記録のようなものは、自動的に記録されるほど理想的となります。本当はどんな記録でも自動的であるのがいいのはすでに述べておりますが、特に体重のように数値だけの記録となれば、自動化した方が手間が省けるでしょう。

私の場合は〈Withings〉の《スマート体重計 Body +》を使っています。これは自動的に乗ったユーザーを判断してくれるので、手間がかかりません。
もしもこれから体重計を買うのであれば、お手持ちのデバイスに合わせて自動連携できるモデルを選ぶといいでしょう。

体重記録から習慣化を盛り上げよう!

不思議なことに、人間は数字の記録を連日目にしていると、その数字をよくしたくなるものです。
その結果、健康的な何かを習慣化する、という選択肢を取りやすくなります。

著者プロフィール

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■ささき・しょうご
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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