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2019.05.24

何となく不調=『未病』は放置せず中医学観点でセルフケア!

KenCoM編集部

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「特に病気でもないけれど何だかツライ」といった状況、ありますよね。慢性的な不調の場合、ほとんどの人がその状態であることが当たり前になってしまいがちです。そういった状態のことを、中国で生まれた伝統医学である中医学では『未病』と呼んでいます。
西洋医学的に明らかな異常がない未病の状態を多くの人は放置しがちですが、自身の体質や不調の原因、どこに偏りがあるかを早めに知り対処すれば、本格的な病気に進行するのを食い止められる場合もあります。
そこで、薬剤師であり国際中医薬膳師である田村英子さんに、自身の体質のセルフチェック法や体質に合ったライフスタイル、摂るべき薬膳食材について、中医学の観点からご紹介いただきました。
自分に合ったライフスタイルを知ることで、何となく不調=未病を改善しましょう!

田村英子(たむら・えいこ)さん

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薬剤師・国際中医薬膳師
東京薬科大学薬学部卒業。調剤薬局に勤務した後、漢方の世界に可能性を感じ転身。漢方相談薬局の老舗・東西薬局を経て、現在は漢方養生堂にてカウンセリングを行う。カウンセリング歴12年、オンラインでのカウンセリングも大好評実施中。
カウンセリングで多くの患者と向き合う中、漢方を飲む以前の食習慣を含めた生活習慣の問題を解決するため、薬膳教室『カラダが変わる12か月のズボラ薬膳』を主催。また、『大人女子のプチ不調セルフメディケーション講座』(ニールズヤードレメディーズ)『東洋医学×ヨガ〜働く女子の夏朝時間〜』(丸の内朝大学)など、各地で漢方・薬膳を普及する活動を行う。

中医学の本質とは?

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中医学では、身体と心は全て繋がっていて、互いに協調し合ったり抑制し合ったりしながらバランスを取っていると考えられています。その人の体質を見ていくには、不調についてだけではなく、精神状態や睡眠、食欲、排便の状態や口の渇きなど身体に関係することはもちろん、生活環境や職業など身体とは関係のないことまで聞き出し、体質を割り出していきます。個人との対話を重視していく、「オーダーメイドな医学」と言えるでしょう。

中医学の基本・五行説とは?

現代医学とは異なる考え方

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中医学の基本の考え方に、五行説というものがあるのはご存知でしょうか?
五行の五というのは、自然にある木・火・土・金・水を表しており、この世のものは全て五つに分けることができ、木・火・土・金・水の性質を持っているとされています。行は『巡る』という意味を持ち、五つの要素が循環することで万物が成り立っているという考え方が五行説です。
この説を人間の身体に応用すると、肝・心・脾・肺・腎の『五臓』に分類することができます。五臓は現代医学の臓器の名称と同じですが、それぞれ機能や人の身体活動全般に対する働きを表した、中医学独自の考え方です。

まずは、自分の身体の中で、どの機能が弱りやすいのかを知ることから始めましょう。知ることで、不調が表れやすい季節や弱った時に摂るべき食材まで割り出すことができます。
チェックリストで最もチェックが多かったものが、自身にとって特に弱りやすい機能です。

体質チェックリストで今すぐチェック!

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どの機能が弱りやすいか把握できましたか?
タイプ別の特徴や不調の原因、さらに不調を改善するワンポイントアドバイスをお伝えします。

肝(かん)が弱りやすいタイプの人

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肝は木に属しています。このタイプの人は、樹木が枝葉をのばすように空に向かってずんずん伸びるイメージで、圧迫されることを嫌がります。責任感や正義感がとても強いため、ストレスを抱えてしまいがちな人が多く、怒りに変わりやすいとも言われています。

肝の役割と失調する原因

肝は、体の隅々まで栄養を運んでくれる血(※1)を蓄えているところです。また、気(※2)や血の流れを調節して自律神経のバランスを整えているところでもあります。
五臓の中でも一番ストレスに弱いため、ストレスやプレッシャーがかかると肝の機能を失調しやすくなります。また、イライラや目の使い過ぎ、夜更かしなども肝の失調を引き起こす原因となりますので、注意が必要です。

※1 東洋医学でいう血とは、気と対比した概念で、体内を循環する赤い液体を指します。身体に酸素を配って栄養を与えてくれるものです。
※2 体に流れている目に見えないエネルギー。体力や気力、免疫力などが関係してきます。

今日からできるワンポイントアドバイス

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リラックスすることが苦手なこのタイプの方は、オン・オフの気持ちの切り替えがなかなかうまくいかないかもしれません。無理して気持ちをうまく切り替えようとするよりも、アロマオイルを入れたお風呂などでリラックスするのがおすすめです。

不調を感じたら摂るべき薬膳食材

五味(酸・苦・甘・辛・塩)のうち、肝の働きを助けてくれるのは酸味。気・血の巡りをよくし、イライラを解消してくれます。グレープフルーツやレモン、すだち、かぼす、酢、梅干しなど。香りのある食材も、同様の効果があります。セロリや三つ葉、紫蘇、ミントなどのハーブ類もいいですね。お茶にして飲むと、ふわっと気が巡るようになりますよ。

心(しん)が弱りやすいタイプの人

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心は火に属します。このタイプの人は、火のように熱い情熱を持っている人で、情に厚くもらい泣きしやすい人、心優しい人が多いと言われています。しかし、弱ってくると華がなくなったり、感受性が強いことで疑り深くなったり、人の目が気になってしまうことも。

心の役割と失調する原因

心は、血を循環させたり、感情や思考、意識、判断などの精神的なものを担うところとされています。
考え過ぎや心配のしすぎ、焦ったりすることは心の失調を招きます。また、中庸を重んじる中医学では、喜びすぎても心が失調してしまうので注意が必要です。

今日からできるワンポイントアドバイス

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考えすぎると心を弱らせてしまいがちなので、考えない時間を作ることが必要です。お掃除など黙々とやる単純作業がおすすめです。

不調を感じたら摂るべき薬膳食材

五味のうち苦みのあるものを摂るとよいです。薬膳では、苦いものは熱を取り除くと言われており、興奮を落ち着かせてくれる役割があります。例えば春菊やゴーヤ、大根の葉っぱ、パセリ、ピーマン など。また、赤い食材も心と相性がいいとされています。トマトなどの夏野菜やスイカが、体にこもった熱を排泄物とともに放出してくれますよ。

脾(ひ)が弱りやすいタイプの人

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脾は土に属します。母なる大地と言われるように、土は耕して色々なものを産み育てるものです。おおらかで人望が厚く、人と人の付き合いが上手で「和」を大切にするタイプです。感情では「思う」と関係が深いので、感情に左右されやすく、思い悩みすぎてくよくよしてしまうこともあります。

脾の役割と失調する原因

脾は、食べ物や飲み物の消化・吸収を担っているところです。食べ過ぎや早食い、冷たいものの摂り過ぎなどは脾に負担がかかり失調しやすくなります。燥を好み湿を嫌うので、じめじめした梅雨時期や、湿度の多い環境で弱まりやすいので注意が必要。ちなみに日本は湿度が高いことから、胃腸が弱い人が多いのです。

今日からできるワンポイントアドバイス

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食べ過ぎや早食いは脾に負担がかかります。ゆっくり舌の上で食材の持つ味や食感を味わいながら食べましょう。また「足るを知る」という言葉のように、腹八分目を心がけて食べ過ぎないように注意してください。

不調を感じたら摂るべき薬膳食材

五味の中では、甘味が脾の力を強くしてくれます。甘味と言ってもお砂糖などではなく天然の甘みのものがおすすめです。さつまいも、山芋、かぼちゃ、栗、トウモロコシなど、色で言うと黄色、質感で言うとホクホクしたものが、脾に働きかけて余分な湿気をとりのぞいてくれます。

肺(はい)が弱りやすいタイプの人

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肺が属するのは金。金は清潔とか清らかという意味もあり、硬い金属のようにプライドが高い一面もあります。そのため、なかなか「はい」と言えない頑固な人も。また、色白美人な人が多いのも特徴です。精神的には「悲しみ」と関係が深く、感情をひきずりやすい人が多いと言われています。

肺の役割と失調する原因

肺は、空気中から身体に必要な気を取り込み、不要になった気を排出するところです。疲れて気を消耗している状態だと、肺の力が弱くなりがちです。また、肺は乾燥を嫌い、潤っている状態を好みます。秋から冬にかけての乾燥する季節には弱まりやすいので注意が必要です。

今日からできるワンポイントアドバイス

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疲れた時には休むことが必要ですが、疲れているからと言って全く身体を動かさないでいると、省エネモードになり気を生み出せなくなってしまいます。適度な運動を心がけてください。運動が苦手な人は、毎日の歩数を少し増やすことを意識するといいでしょう。

不調を感じたら摂るべき薬膳食材

蓮根、大根、梨、かぶ、百合根、山芋などの白い食材が肺を強くしてくれ、美肌や風邪予防にもつながります。また、りんごやぶどう、柿などのフルーツも潤いを与えてくれるのでおすすめです。
五味のうち辛味のあるものは肺に行き届くものが多いのですが、沢山摂りすぎると潤いを消耗してしまうことも。適量であれば肺の機能を上げてくれるでしょう。天然の辛味、例えば大根やかぶ、生姜、たまねぎなどを摂取してみてくださいね。

腎が弱りやすいタイプの人

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腎タイプの人は、自由に形を変えてさらさら流れる水のように柔軟性があります。様々なことに興味を持っていて、器用にこなすマルチタスクな人が多いですが、器用にこなす分、生命力そのものがすり減るくらい消耗してしまうことも。腎の力が落ちてくると根気が続かなかったり、新しいことへトライすることに恐れを感じるようになってしまいます。

腎の役割と失調する原因

腎は、「精」という両親から受け継いだ生命の根本をなすものを宿しているところです。この精は生殖や発育に関係していて、これが充実していると成長・発育し、衰えると老化が始まります。また、身体の中の水を調節しているところでもあります。
腎の力は年齢と共に減少していきますが、徹夜続きの長時間労働や大病を患ったり、過度なセックス、出産などでも消耗します。

今日からできるワンポイントアドバイス

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腎の不調は、単純に疲れているというより生命力が弱ってしまっている状態です。しっかり休むように心がけてください。起きる時間が決まっていても、寝る時間を決めていない人が多いようです。毎日寝る時間を決めて、規則正しい生活を意識しましょう。

不調を感じたら摂るべき薬膳食材

五味でいうと塩味、例えばわかめやこんぶなどの冷たい荒波に揉まれて育ったものには生命力があるので、腎の働きを助けてくれます。また、貝類など天然の塩気のあるものも食楽になるでしょう。
黒いものとも相性がよく、先出のわかめやひじきなど常食することで、白髪、しみ、ほくろなどの予防にもつながります。その他、黒米や黒豆などもおすすめです。

原因を知って不調を取り除こう

今まで何となく感じていた不調の原因を知り日常生活を見直すことも、健康への近道なのかもしれません。
それでも不調が取り除けない場合病院に行くことをおすすめしますが、まずは自分にできることから始めてみませんか?

参考文献

神戸中医学研究会『中医学入門』東洋学術出版社 
邸紅梅『わかる中医学入門』燎原書店

(文:KenCoM編集部)

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