メニュー

2019.02.19

堀ちえみさんが患う「口腔がん」はどんな病気か|早期発見しにくく日本では毎年7000人が罹患

東洋経済オンライン

堀ちえみさんのソロコンサート「青春の忘れ物」の会見で=2005年7月28日、大阪市(写真:日刊スポーツ新聞社)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/266713?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

堀ちえみさんのソロコンサート「青春の忘れ物」の会見で=2005年7月28日、大阪市(写真:日刊スポーツ新聞社)

タレントの堀ちえみさん(52歳)が、自身のブログで「口腔がん」の一種である舌(ぜつ)がんのステージ4であることを明かし、驚きが広がっています。

がんは全身のさまざまな部位にでき、舌がんに限らず、いずれのがんも早期発見がかなり重要です。日本人に多いのは胃、大腸、肺、前立腺、乳房などで、これらの部位は種々の診断機器を使った検査技術が発達したため、早期発見率も上がっています。一方で、口腔がんは直接目に見える部位なのに、ほかの部位に比べるとご自身でのセルフチェックの認識の低さや、自覚症状の少なさから、早期発見が遅れがちです。

筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中でも強く訴えていることのひとつが、口腔がんという病気の恐ろしさです。一口に口腔がんといっても、舌がんや歯肉がん、口底がんなど、さまざまあります。

歯が舌に当たることが一因と考えられている

このうち堀ちえみさんが闘病中であることを告白した舌がんは、歯が舌に当たることで慢性的な刺激になり、がんの一因になると考えられています。

舌がんは飲酒や喫煙を長期に及んで続けていない人の場合は、歯が欠けて慢性的に舌に当たっていたという人や、合わない義歯を長期的に使用していたなども可能性もあると考えられています。また、初期の舌がんは口内炎に似ているため、正確に見極めることが難しい場合が多いです。

口内炎が1週間経っても治らないような場合は、かかりつけの歯科医院や専門医院をできるかぎり早めに受診することをお勧めします。さらに形がはっきりとした丸形ではない、表面がざらつき、しこりが触れるほどになっているときにも注意が必要です。

舌がんは進行すると、表面が潰瘍(かいよう)になり、痛みや出血、強い口臭といった症状が現れます。さらに転移などがみられる場合は首のリンパ節に転移する場合が多く、首のリンパ節の腫れなどが現れることがあります。また、舌の奥にある舌扁桃という扁桃腺との見分けも難しい病気です。

日本では年間で約7000人が舌がんを含む口腔がんになっています。もしかすると、口にがんができるということすら知らなかった人もいるかもしれません。体に不調を感じればすぐにでも病院に行きますが、口の問題となると生活に支障が出るぐらいにならないとなかなか歯医者には行かないものです。虫歯にしても、痛みを感じて初めて歯医者に行くという人は多いでしょう。

会社で行われている健康診断に関しても体の検診は義務ですが、歯科に関しては義務化されていないのです。国の健康政策として義務化されればベストですが、予算的にもなかなか難しいでしょうから、せめて個人単位で認識しておいてもまったく損はありません。お住まいの地域によっては、地域の歯科医師会などで、無料の口腔がん検診を行っていますのでぜひ活用されることをお勧めします。

初期段階では自覚症状がほとんどない

口腔がんは初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどありません。痛みやしこりなどの自覚症状が出てきたときにはすでに進行しているケースが多いです。痛みが出た時には遅い可能性があるため、早めの検診が欠かせません。

臓器系のがんと違って、口の中は直接見ることができるので、口腔がんも本来は早期発見しやすいはず。しかし、自覚症状がなく、初期の段階では口内炎のようにしか見えないのが発見が遅れる要因です。

歯科医の知見から述べさせてもらうと、普通の人が初期段階において自分で口腔がんに気がつくのはかなり難しいといえます。実際は検診や歯科の受診中に歯科医や歯科衛生士の目によって発見されるというケースがほとんどです。自分でわかるくらいになったときは、やはりかなり進行している状態が多いのです。

そもそも口腔がんにならないために気をつけなければいけないこととは何でしょうか。どれも当たり前なのですが、ポイントは3つです。

①タバコ、酒を控える

②偏食せず、バランスのいい食生活を心がける

③歯磨き、うがいをしっかり行い、口の中を清潔に保つ

特に喫煙者の口腔がんの発生率は、タバコを吸わない人に比べて約7倍も高いといわれています。

さらに気をつけなければいけないのが、飲酒時の喫煙です。普段はタバコを吸わないのに、お酒飲むときだけ吸う、なんて人もいらっしゃいますよね。飲酒時の喫煙は、タバコに含まれている発がん性物質がアルコールによって溶け、口の粘膜に直接作用するため、余計にリスクが高くなると言われています。

バランスのいい食事はもちろんですし、口の中に治していない虫歯や、磨き残しで汚れている歯があると、口の粘膜が傷つき口腔がんになりやすい環境になります。

最近、歯医者に行っていなかったり、口に違和感があったり、歯石を取ったことがない、歯がしみるなどの症状があったりする人は予防の意味も含めて歯医者を受診して、悪いところは治し、クリーニングをして口の中を清潔に保ちましょう。それも、口腔がんの予防になります。免疫力を高めることも重要です。体の免疫力を高めると、悪性腫瘍ができにくいことがわかっています。

口腔がんにならないためのセルフチェック10カ条

まずは、口腔がんにならないために、簡単ではありますが以下のことに気をつけましょう。

まず、セルフチェックとして、

1.なかなか治らないしこりや腫れはないか?

2.赤くなっていたり、白くなっているところはないか?

3.2週間以上治っていない口内炎はないか?

4.合わない入れ歯を使っていないか?

5.食べ物がのみ込みにくいなどはないか?

6.1日にタバコを40本以上吸うか?

7.1日に日本酒換算で3合以上飲むか?

8.口が開きにくくなってきたりしていないか?

9.唇や舌がしびれたりしないか?

10.抜歯後など、口内の傷の治りが悪くなってないか?

口腔がんにならないためには、生活に気をつけるのがいちばんです。口腔がんで手術などになれば、食事や発音などに支障が出て生活の質はどうしても落ちてしまいます。繰り返しになりますが、健康でおいしく食事をしていくためにも、定期検診は本当に大事なのです。

記事画像

小林 保行:歯科医師/キーデンタルクリニック院長

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します