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2019.04.03

オリーブオイルとサラダ油でこんなに違う!食用油の健康的選び方【ドクターズチョイス#4】

東京大学附属病院:稲島司先生

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普段何気なく使っている食用油ですが、改めて見ると色々な種類があることに驚くのではないでしょうか?
紅花油、サラダ油、オリーブオイル、荏胡麻オイル、亜麻仁オイル等々ありますが、健康効果が立証されているのは、じつはごく一部だそうです。
科学的根拠を元に健康的な生活を提案している東京大学附属病院の稲島司先生に、今回は油の選び方について聞きました。

Q:食用油は何を使っても同じですか?

A:現在、世界中で実験対象となり、良い結果が上がっているのは『オリーブオイル』だけです

世界中で食用油の研究はされているのですが、大規模でかつ良い結果が明確に出ている油というのは、現状ではオリーブオイルだけなんです。
研究者によっては、「飲んだ方が良い」と言われるほど健康に良いと言われています。どうも飲むというと悪い印象はありますが、どんな疫学調査をしてもオリーブオイルが良い結果を出しています。
すごいのはスペインが国を挙げて介入研究(※1)をした結果です。医学的に指導したダイエットと比較して、ナッツおよびエクストラバージンオイルを足した地中海食ダイエットの方が、心血管病のリスクを下げる結果が出ています。

こういう論文が好きな研究者や医者は、ナッツやオリーブオイルを摂りまくってますよ。
今の所研究では食べれば食べるほどご利益があるという結果になっています。

※介入研究とは疾病と因果関係があると考えられる要因に研究者が介入して新しい治療法や予防法を試し、従来の方法と比較して、その有効性を検証する研究手法。

実験では週1リットルの使用でリスク低下

この実験結果を詳しくみていくとびっくりするのですが、エクストラバージンオイルを週1リットル消費しています。
この結果から考えると、確かに飲んでるとしか思えないほどの消費量です。冗談ではなく、海外では浴びるように使っているのかもしれません。
おそらくサラダを含む、様々な料理にかけていると思います。

ちなみに私は使用量を増やすために刺身につけて食べるようにしています。
特に白身、イカ、タコなどの刺身に合うのですが、オリーブオイルに少し塩を振ったものをつけダレにすると素材の味も含め味わえますよ。

オメガ3などの油に関してはまだ実験結果が不足中

一時期流行ったオメガ3が豊富に含まれたオイルに関しての研究ですが、まだまだ少ないのが実情です。おそらくいいとは思うのですが、結果として出ていないので断言はできません。
特に日本の場合亜麻仁オイル、荏胡麻オイルなどが有名ですが、対象の人数も地域も小さいため、今後の臨床試験が待たれる分野です。

食用油として一般的なキャノーラオイルなどのサラダ油は、健康を害する恐れがあるという結果も出ています。あまり積極的に摂らない方がいいかもしれません。
しっかりとした科学的根拠をもとに健康のことだけを考えるのならば、オリーブオイルを重視した方がいいでしょう。

オイルを摂取する場合は、火を通さない方が良い

最後に、どの油にも言えることですが、できるだけ火を通さずに摂取することが望ましいようです。
油は加熱することで酸化が進みます。この酸化が進むことで、動脈硬化などを促進する要因となります。

例えば唐揚げなどを作るときにも浸すほどに油を入れるのではなく、炒め揚げのような方法をとることで酸化した油の摂取を可能な限り避けられます。
加えて、前述したようにサラダや刺身などに使うことで、生で摂取する率を増やすと、リスクを増やさずに摂取できるでしょう。

■以前の記事はこちらからどうぞ!

参考文献

著者プロフィール

■稲島司(いなじま・つかさ)先生
東京大学医学部附属病院 地域医療連携部助教 医学博士
2003年東京医科大学医学部を卒業。2008年東京大学大学院医学系研究科を修了。循環器内科の専門診療のほか、外来診療を中心に生活習慣病の予防・改善に携わる。東京大学医学部附属病院では地域医療連携部の専任医師として地域医療機関や介護・福祉施設との連携を推進。論文を中心とした医学エビデンスを紹介しながらの説得力のある講演や著作は人気を博している。内科認定医。循環器専門医。認定産業医、認定健康スポーツ医。
著作に『世界の研究者が警鐘を鳴らす 「健康に良い」はウソだらけ 科学的根拠(エビデンス)が解き明かす真実』(新星出版社刊)、『血管を強くする歩き方: パワーハウス筋が健康を決める』(木津 直昭との共著・東洋経済新報社刊)などがある

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