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2019.03.13

日本人に急増!死因の上位に入るCOPDとは?【慢性閉塞性肺疾患#1】

KenCoM公式ライター:森下千佳

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認知度が極めて低いのにもかかわらず、男性の死因の第8位である『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』。
症状の悪化が分かり辛いため見逃されやすく、知らないうちに重篤な病気に発展していることもあります。しかし、早期発見と毎日の心がけで緩和することもできる病気。
COPDについてしっかり知って、今日からできる事を始めていきましょう。今回は東京医科大学呼吸器内科学分野主任教授である阿部信二先生にお伺いしました。

阿部信二(あべしんじ)先生

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2001年日本医科大学大学院医学研究科修了。日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学准教授などを務めた後、2018年より東京医科大学呼吸器内科学分野主任教授に就任。
呼吸器疾患を通して、患者さんの人生に向き合えるような全人的医療に取り組んでいる。

知らない間に忍び寄る幅広い病気『COPD』を紐解く

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そもそも慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?

端的に言うと「有害な微粒子で肺が壊れてしまう」病気です。
一般的にはタバコの煙といった有害な微粒子を長時間吸い込むことで気管支が刺激され、炎症を起こして空気の通り道である気道が狭くなります。また、その微粒子は気管支の先にある肺胞にも影響を及ぼし、肺胞壁を破壊していきます。肺が穴だらけになったり、肺が異常に拡大する「肺気腫」が起き、肺胞からの空気が出て行かなくなり強い息切れや呼吸困難に至ります。
進行してしまうと大変辛く、苦痛が長く続いてしまう病気です。

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男性の死因8位にもかかわらず、95%以上が未診断

非常に患者数は増えています。死亡率は、日本では男性の死因の第8位ですが(2017年現在)、世界では第4位。2015年のWHOの調査では近々世界で第3位になると言われています。
非常に問題なのは潜在的な患者さんが大変多くいらっしゃること。治療が必要な状態にもかかわらず、たった4%ほどの方しか治療を受けていません。つまり、95%以上の方が未診断か他の疾患と誤って診断されているのが現状です。
認知度が極めて低いというのも、COPDの問題です。

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タバコの煙だけじゃない!女性、非喫煙者の患者数も増加

少し前までは「タバコ病」と認識されていましたが、ここ数年で考え方が大きく変わってきています。実は非喫煙者の女性の患者数が増えてきていて、副流煙やPM2.5などの大気汚染や料理の煙などが原因ではないかと言われています。
アメリカの調査では、主要都市で女性のCOPD患者が男性を上回っているという結果も出ていますし、日本でも東京などの大都市では女性の比率が増えてきています。
女性でタバコを吸わないからCOPDにはならないという事ではありません。

本人の自覚がないまま進行してしまっていることも

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何らかの自覚症状があって病院にいらっしゃる患者さんは、病気が進行してしまってる方が多いです。「息切れ」が病気の大事なサインなんですが、COPDは基本的に歳をとってから発症しますので、皆さん「自分が歳をとったせいで早く歩けないんじゃないか?」などと思ってしまう。
そのために、変化を見逃しやすいというのがこの病気に気が付きにくい原因の一つだと思います。また、初期のCOPDはレントゲンでは区別が付かず、見落とされることが多いのも現状です。

肺がんや糖尿病を引き起こす可能性も

COPDは肺ばかりでなく、糖尿病、心・血管疾患や骨粗鬆症など全身にさまざまな病気を引き起こします。また、肺がんになる可能性も上がりますし、実は鬱の合併症も多いと言われています。
COPDの怖さは、負のスパイラルを起こしやすいことです。呼吸困難で身体を動かすのが億劫になり、無意識のうちに運動量が減っていく。その結果、筋肉量や栄養状態が悪くなり体重が落ちて痩せてしまう。すると、ますます呼吸状態が悪くなり、さらに身体を動かすことが辛くなる。ますます合併症なども起こしやすくなり、生活の質が落ちて、命に関わることがあります。

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もはや『肺の生活習慣病』ともいえるCOPDの恐怖

悪化すれば命にも関わるCOPDは、もはや肺の生活習慣病といっても過言ではないほど生活習慣に左右されます。
自覚症状を見逃さないためにも、どんな事に注意をしたら良いのか?
次回の記事では、早期発見のチェックリストで早速確認してみましょう。

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著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信している。