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2019.02.06

胃腸がラクに!「酒とつまみ」最高の組み合わせ|飲む人に教えたい「食前キャベツ」習慣

東洋経済オンライン

体のことを考えながら飲酒していますか?(写真:recep-bg/iStock)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/263903?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

体のことを考えながら飲酒していますか?(写真:recep-bg/iStock)

酒の飲みすぎは体によくない――。そうわかっていても、仕事の付き合いで飲まなければいけないとき、ストレス発散のためどうしても飲みたいとき、ありますよね。そんなときに注目すべきは「おつまみ」です。医学博士の藤田紘一郎氏に、健康にもいい酒の飲み方とつまみの食べ方を語っていただきます。

「つまみはいらない」は危ない

お酒の好きな人なら一度は体験したことがあると思います。それは、「ああ、喉が渇いた」と言いながら、キリッと冷えたビールをゴクゴクと飲み干す行為です。夏の暑い日や運動して汗をかいた後のビールのおいしさは格別。その快感を否定はしません。

しかし、「酒さえあればつまみはいらない」という人は、かなりの酒豪か、アルコール依存症に限りなく近づいている人かもしれません。通常はお酒が体内に入ると、胃や腸が目覚めてぜん動運動を始め、何か食べ物を欲するようになるはずだからです。つまみはいらない、もしくは気にしないというのは、医学的にはちょっと危ない状況です。

普通はアルコールが胃腸を直撃しているため、粘膜を荒らしてしまいます。相当、胃腸内がが荒れてしまっているのではないでしょうか。ちなみに、お酒を飲むと太ると思われているかもしれませんが、お酒と一緒に食べるつまみの選び方と、食べる順番、量がとても影響しています。お酒を飲んだら太ったというのは、多くの場合、太りやすいつまみをいっぱい食べたことが原因です。

体にいい「おつまみ」第1位は?

体のことを考えると、最高のおつまみは何と言っても、キャベツです。なぜキャベツ? そう思われたでしょうか。キャベツはつまみにもなれば、お酒の前の準備運動にもなります。もちろん胃腸に大変有効な成分がたくさん含まれています。いちばん注目しておきたいのが、「食物繊維」です。

食物繊維には、セルロースなどの不溶性のもの以外に、水溶性のものがあります。水溶性の食物繊維は腸内細菌のエサとなるので、善玉菌を増やす効果があります。一方、不溶性の食物繊維は消化されにくく、胃や腸の中をゆっくりと時間をかけて通過するため、お腹が空きにくくなり、ダイエットにも最適です。

善玉菌のエサとなる水溶性の食物繊維を含む食材はたくさんありますが、とくにオススメなのがこのキャベツです。とにかくお酒を飲む前にキャベツをバリバリ食べる。飲みながらもバリバリ。それが食物繊維を取るうえでいちばん有効な方法です。

私が提唱するのは「食前キャベツ」というもの。キャベツを一定量食べるとお腹が膨らんで、その後の食事を食べすぎなくなります。キャベツには食物繊維が豊富に含まれているので、できれば毎食、最低でも1日1回、キャベツの千切り100グラムを食前に食べると、善玉菌のエサとして腸内環境を整え、さらに満腹感が得られるためダイエット効果もあります。

キャベツの食べ方はいろいろあります。そのままちぎって食べてもいいですし、千切りにして、塩やオリーブオイルなどをかけて生で食べることもあります。なかでも私のオススメは、酢と合わせた「酢キャベツ」です。酢は健康の代名詞のような食材で、キャベツとの組み合わせは最強と言えるでしょう。大量のキャベツを千切りにして、酢キャベツとしても冷蔵庫に常備しておくと、日持ちするので、今日は生キャベツ、翌日は酢キャベツと、食べ方にバラエティーが出て飽きることもありません。

鶏の唐揚げはアリ!

おつまみの人気メニューと言えば、鶏の唐揚げ。油を使った揚げ物ですから、体によくなさそうなイメージがあると思います。確かに揚げ物を食べすぎると余計な脂肪がつくので、ダイエットでは禁じられています。しかし、鶏肉はお酒のつまみに大変向いていると思います。動物性のタンパク質は、魚を食べても摂取することはできます。魚には体をつくるのに有効なオメガ3系の油が多く含まれているので、できれば毎日何らかの形で魚を食べていただきたいのですが、それでも不足するのが動物性のコレステロールです。

良質なタンパク質の摂取で二日酔い軽減

そこで牛肉や豚肉、鶏肉などの動物性のタンパク質を取ると、同時にコレステロールを摂取できるという点が、肉食をオススメするポイントです。唐揚げは、良質な鶏のタンパク質を手軽に取ることができます。もちろん食べすぎると脂肪分の取り過ぎで体にはよくありません。なるべくなら、蒸し鶏を使った「棒々鶏(バンバンジー)」とサラダを食べるといいでしょう。良質なタンパク質と野菜を食べることによって、食べすぎ飲み過ぎの後の二日酔いや、資質や炭水化物の取り過ぎを軽減してくれます。

肉に関して補足しておくなら、レバーは、脳卒中や心筋梗塞、認知症などを予防するのに必要とされる「葉酸」を多く含んでいます。どのレバーも葉酸の数値は高いのですが、とくに鶏のレバーは40g当たり520μgで、牛レバー(同400μg)、豚レバー(同324μg)よりも多くの分量の葉酸を含んでおり、効果的です。焼き鳥なら牛レバーの塩焼きなどがオススメです。ちなみに植物性の食材にも、葉酸を多く含むものがあります。例えば、ほうれん草、芽キャベツ、枝豆、アボカド、ノリ、さらに緑茶などです。

スルメを噛んで、食べすぎ防止

固い食べ物は、人の体を健康にしてくれます。そんな理由から、宴席で私がオススメしたいつまみは、スルメやエイヒレです。「噛む」という行為は、健康を維持するためにとても大切な行為です。野生の動物は歯が弱ってしまうと死に直結してしまうのと同様、人間も歯が重要です。噛む行為は、口やアゴから刺激が大脳に伝達され、頭を活発に働かせます。例えば記憶を司る海馬や、感情をコントロールする扁桃体などが活性化するわけです。これによって子どもならものを覚える力が、高齢者なら認知症などの予防に効果があります。

さらに、よく噛むと脳の満腹中枢が働き、食べすぎを防止することができますし、味を感じる感覚も養われていきます。噛むと唾液がたくさん出てくるので、胃腸の消化を助けるうえ、唾液によって口の中の雑菌を殺し、虫歯や歯槽膿漏などを防ぐ効果があります。また唾液には発がん性の物質を殺したり、力を弱めたりする酵素が含まれています。

スルメやエイヒレはとても固いものですから、必然的に何度も繰り返して噛むことが要求されます。しかも噛めば噛むほど味が出ておいしくなるという特徴があります。スルメを噛むたびに、脳がどんどん若返っていくと考えてもいいでしょう。固いという意味では、ビーフジャーキーなども同じ効果があります。

マグロは“最幸”のつまみ

脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンなど)を介してつながっています。腸や内臓で得た情報は神経を通じて大脳に伝わります。腸と脳は不安やうつ症状などの感情の変化を直接やり取りして、自律神経に働きかけてホルモンの分泌などを行い、生命活動を維持しています。

その生命活動において、精神状態をコントロールするホルモンが「セロトニン」です。セロトニンが不足すると、怒りやすくなるなど、感情のコントロールが不安定になります。うつ病の原因は腸内細菌にもあると私は考えており、とくに腸で生成されるセロトニンが大きく影響しています。腸内細菌のバランスが整っていないと、セロトニンは生成・分泌されません。セロトニンは脳に送られて多幸感を高め、集中力などをアップさせます。

セロトニンで幸福感が得やすくなる

セロトニンはタンパク質であるアミノ酸からできていて、ビタミンB6やナイアシン、葉酸などのビタミンを利用して分解・生成されます。つまり、セロトニンを不足させないためには、セロトニンのもとになる栄養素を摂取すればいいのです。都合のいいことに、タンパク質やビタミンB6、ナイアシン、葉酸などすべてを持った食べ物があります。それが、マグロの赤身です。マグロの赤身は、刺身、マグロのブツ、マグロの山かけなどとして居酒屋のメニューによくあるつまみです。

セロトニンは脳内に多く分泌されると、感受性が高くなり、幸せな気分を作り出します。マグロ以外の魚にもセロトニンのもとになる物質は含まれており、フィンランドで行われた調査では、週に2回以上魚を食べている人は希死念慮が低下し、自殺の可能性が減ることが確認されています。マグロは腸から幸せを運んでくれる、“最幸”のつまみといえるでしょう。

シメのラーメンは食べ方次第

お酒をいっぱい飲んだ後、どうしても気持ちが向いてしまうのは、「シメのラーメン」です。どこか空腹感があったり、気分的に「ここで終わり」という区切りをつけたくなったときに思い浮かびます。

まずそもそも、どうしてお酒を飲んだ後にラーメンを食べたくなるのか? それにはしっかりとした理由があります。お酒を飲んでいる間、肝臓は体内に入ってくるアルコールを分解しています。その際、肝臓は体内の糖分を消費しながら肝臓を働かせます。つまり、お酒を飲むほど糖分が失われていくのです。そこで血糖値が下がっていくため、空腹感が高まっていきます。

また、アルコールを100ミリリットル摂取すると120ミリリットルの水分が尿となって排出され、脱水症状になっていくのですが、尿と一緒に塩分も排出されるため、塩分不足にもなります。つまり、糖分、水分、塩分がすべて減少してしまうため、空腹感がつのり、食べ物や飲み物を求めるようになります。そんなときに、目の前にラーメン屋の看板があったら、心が揺らいでしまうのは実に当たり前のことです。


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しかし、ラーメンは塩分が多く、また背脂系が流行るように脂肪分がたっぷりと入っています。これをスープまで平らげてしまったら、それは太ってしまうのも当然です。そこで、ラーメンの糖質を分解しやすいように(腸が吸収しやすいように)、ビタミンB1を含んだ大豆のメニュー、例えば枝豆や冷や奴、納豆などの食材を、つまみとしてしっかり補充しておくのです。こうすることで、食後のラーメンも少しくらいなら食べることが可能になるのです。

いかがでしたでしょうか? せっかく飲むなら、少しでも体にいい飲み方をしたいですよね。そのために、味方につけるべきは「つまみ」。ぜひ賢いつまみの選び方をして、お酒とうまく“共生”しましょう。

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藤田 紘一郎:東京医科歯科大学名誉教授

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