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2019.02.25

プロが伝授!お出かけ写真のワンランクアップ術

KenCoM公式カメラマン:石原敦志

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ますます便利で高画質に、高機能になって行くスマートフォンのカメラ。美しい写真を撮り記録に残すという作業が、以前よりもはるかに万人にとって身近なものになりました。さらに、SNSという発表の場でより多くのギャラリーからの反応を、即時に体感出来るようになり、ますます重要度が高まっているように感じます。

ここでは、スマホのカメラとはまた一味違う、一眼レフやミラーレスカメラ(以下:一眼)と言われる、旅先で撮影することを純粋に楽しめる相棒との上手な付き合い方をアドバイスします。
ちょっとしたことかもしれませんが、それを実践・体験・理解することで、大事な旅の想い出をより豊かに彩ってくれるはずです。

思い出を綺麗に残したいなら「撮り方」にちょっとこだわろう!

ここから風景、人物、料理の順にそれぞれ心に残りやすい写真の撮り方をご紹介していきます。
全て真似をするのは難しいかもしれませんが、まずは1つ2つ意識して撮影してみてください。

「風景」は主役を考えて引き算しよう!

夕陽が沈む海と、灯台などのシルエット。構図では、空と海の比率を多く撮ることで、沈む夕陽にも存在感を持たせて見た。1:1は避けたい。

夕陽が沈む海と、灯台などのシルエット。構図では、空と海の比率を多く撮ることで、沈む夕陽にも存在感を持たせて見た。1:1は避けたい。

旅先では素晴らしい風景に出会いますが、それは時期や時間・天候などによって表情を変えていくものです。旅程など、どのタイミングでそこに居合わせるのかによって見える景色も変わってきます。だからこそ、そのタイミングでしっかりとした写真を撮ることが求められるものです。
一眼は感度、絞り、シャッタースピードの組み合わせを駆使して、自分の理想に近い表現が出来るため、こうした瞬間を捉えるのに向いています。
もちろん、ご使用のレンズによって、画角(写る範囲)や明るさ(最小最大絞り=F値)が変わってくるので、暗い場合はF値を小さく、明るい場合はF値を大きくすることを心がけてみましょう。

紅葉の鮮やかな赤さと、レンズの持つボケ味を見せる。

紅葉の鮮やかな赤さと、レンズの持つボケ味を見せる。

あとはお好みのボケ味などを加味していくと、思い通りの写真ができてきます。
手ブレする場合は感度の設定や、三脚にレリーズを使用するなど、一工夫すると変わりますよ。この各種設定などは様々ですので、お手持ちの機材で如何様に表現するかはご自身の美意識に委ねたいと思います。
まずはいじってみて、どんな写真が撮れるのかを試してみましょう。

伊勢神宮本宮へと続く橋。橋の行く先を写さないことで、鎮守の森へと続く橋の先を想像させようとした。

伊勢神宮本宮へと続く橋。橋の行く先を写さないことで、鎮守の森へと続く橋の先を想像させようとした。

その上で、一点アドバイスをするならば、ご自身の構図の中で「何を一番見せたいのか?」ということを考えて、引き算してみていただきたいということです。

例えば、山歩きの最中の風景を撮るときに、美しい自然を撮るのであれば、自ずと構図の下側の景色の方が多くなってくると思います。しかし、空も美しいので、と欲張って両方同様なバランスで写真内に入れてしまうと、なんとなく平凡で迫力にかけてしまうものになってしまいがちです。
一度、心がけて試し、ご自身の傾向を把握するところから始めてみましょう。

「人物」はど真ん中を避けよう!

たのしそうなこどもの表情と楓の葉の奥にいる母親の優しげな表情を、ボケも使って想起させる。

たのしそうなこどもの表情と楓の葉の奥にいる母親の優しげな表情を、ボケも使って想起させる。

人物を撮る際に私がいつも心がけているのは、自分が『ここ!』と思った距離よりも更に一歩踏み込んでみることです。
普段会話をするような距離より、カメラを隔てているからこそ遠慮せず一歩踏み込んでみると、普段は見えない表情が見えて来たりします。

広大な尾瀬沼の景観の中、端に人物を配したことで、より一層広々と見せる。

広大な尾瀬沼の景観の中、端に人物を配したことで、より一層広々と見せる。

今回は旅先での撮影ですので、普段とは違う場所となるでしょう。そんな中近しい人を撮る状況はどんなものかと想像すると、「景色+人物」というシチュエーションが想像されます。

この「景色+人物」でしばしば目にするのが、ど真ん中に人物を入れている構図なのです。必ずしも悪いわけではないですが、大体の場合、景色とともに全身が映されているせいで人物が小さくなっていたり、バストアップの人物がど真ん中に写っていて、景色があまり見えなかったりと、満足がいきにくいものになりがちです。

ここでも意識したいのは、何を一番撮りたいのか。人の表情も見せたい場合は、左右どちらかにウェストアップ以上のサイズで人物を配して、景色を広く入れるようにしましょう。スケール感も見せるために、どうしても人物の全身を入れたいのであれば、左右どちらかに寄せて極力カメラ寄りの立ち位置に人物を入れてみては如何でしょうか?

こちらも心がけて、試してみてください。

「料理」は光の差しこみ位置で表情が変わる!

敢えてど真ん中に配したが、湯気が立ち上る出来立ての様をストレートに捉えた。

敢えてど真ん中に配したが、湯気が立ち上る出来立ての様をストレートに捉えた。

こちらも私は、ずずい、と寄ったものをまず撮ってみるようにしています。あれもこれも、と要素や素材を入れたくなるものですが、肉料理であれば肉。魚料理であれば魚が主役です。
一番食べたいものが、美味しそうに写る距離感で撮るのが、自分には美味しそうに撮れるのではないかと思いますし、その写真で伝えたいのもそこだと思います。

魚介の新鮮さと鮮やかな色味を押し出す。メニュー紹介のためだったので椀も入れているが、もっとギュッ!と寄っても、もっと伝わったはずだ。

魚介の新鮮さと鮮やかな色味を押し出す。メニュー紹介のためだったので椀も入れているが、もっとギュッ!と寄っても、もっと伝わったはずだ。

もう一点申し上げるならば、日中であればなるべく外からの光が入るところを選び、メインとなる照明が正面以外から差している光源を探してみましょう。ちなみに、私は後方が好みです。
その際に、露出は料理の一番暗くなってしまうところが、明るくなるように合わせて撮ってみましょう。
ワンプレートランチなどの、盛り付けの美しさを見せたい、というときなどは、皿の真上から撮ってみる、というのも試してみましょう。

まずは「主役」が何かを考えて撮るところから考えてみよう

本来写真はとても自由なものです。自分の気の向くまま、良いと思ったものを良いと思ったままに撮れるのがベストでしょう。
ですが、なかなか思い通りに撮れないのも、写真の面白さの一つです。
ぜひ今回の内容を踏まえて、ご自身が望む写真を1枚でも多く撮れるようになることを願っています。まずは主役を考えて撮ってみましょう!

著者プロフィール

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■石原敦志(いしはら・あつし)
『Tarzan』など雑誌を中心に活躍中のフリーカメラマン。風景から人物、食事まで被写体を選ばずに、心に残る写真を撮影している。その技術は幅広く、かつ深いため、撮影会や撮影講座などにも招聘されている。

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