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2019.02.06

国内に200万人以上!ドロドロ血液の恐怖【動脈硬化の一因に!脂質異常症#1】

KenCoM公式ライター:黒田創

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皆さんは脂質異常症という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「以前健康診断で高脂血症と指摘されたことはあるけど、それとは違うの?」という方も多いと思います。
簡単に説明すると、高脂血症と呼ばれていた疾患は脂質異常症の一種。従来血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂肪分が多すぎて問題となる状態を高脂血症と呼んでいましたが、後から述べます善玉のHDLコレステロールは逆に多い方が良いので、従来の名称では病態を正しく表していないということで、現在は脂質異常症と呼ばれるようになりました。

今回は脂質異常症の原因や症状などについて、脂質異常症や糖尿病の治療を専門にしている山王病院の岸本美也子先生にお話を伺いました。

岸本美也子(きしもと・みやこ)先生

山王病院(東京都港区)内科部長。国際医療福祉大学講師。糖尿病と脂質異常症の治療が専門。治療のうえで必要な個々の患者の自己管理が長く継続できるよう、個人の生活状況に応じた無理のない親身な療養指導を心がけ日々診療を行っている。

脂質異常症の基本を総確認

脂質異常症ってどんな病気?

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血液中の脂質、すなわちコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)の値が異常値を示す病気です。皆さんも健康診断等で耳にしたことがあると思いますが、コレステロールの中にはLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールがあって、LDLコレステロールの値が基準よりも高い、もしくはHDLコレステロールの値が低すぎると動脈硬化のリスクが高まってしまいます。

動脈硬化は血管系の病気を引き起こす危険性があるため、まずは脂質異常症に十分注意する必要があるのです。

脂質異常症の原因とは

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脂質異常症の多くは、生活習慣によって起こります。特に重要なのが食事面で、脂肪分の多い肉類や高コレステロールの卵、レバーといった食事を頻繁に摂り続けることでLDLコレステロールの値を高め、血中脂質を上昇させてしまうのです。
これを改善するには肉類は脂身の少ない部位を選び、野菜や海藻類をたっぷり摂り、大豆製品を積極的に摂るといった食生活の工夫が必要となってきます。また、運動不足や肥満(内臓脂肪型)なども大きな要因です。このあたりの改善方法については次回以降で改めて詳しく述べたいと思います。

生活習慣以外にもいくつかの要因で血液中の脂質バランスが悪くなることがあります。
そのひとつが原発性脂質異常症。これは遺伝的な要因によるもので、遺伝子の異常により血液中の中性脂肪やコレステロール値が増加してしまうのです。
もうひとつは二次性(続発性)脂質異常症で、甲状腺機能低下症、肝胆道系疾患、腎臓病、糖尿病といった他の疾患やステロイドホルモン剤、避妊薬といった薬剤の影響により脂質異常が引き起こされるというものです。

脂質異常症には自覚症状がほとんどない?

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脂質異常症でやっかいなのは自覚症状がほとんど見られない点です。それで健康診断などの血液検査で発見されるケースが多いのですが、まれにアキレス腱の肥厚による靴擦れや踵部の自発痛、また原発性高脂血症や重度の高脂血症においては特徴的な黄色腫を生じることで、診断の助けとなることがあります。さらに眼球に角膜輪と呼ばれる白い輪がみられたり、高カイロミクロン血症による肝腫大がみられることもあります。

脂質異常症が進行すると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞等の動脈硬化性疾患を発症することがあり、それらの疾患の症状が出て気づくケースもあります。
だからこそ、健康診断など早い段階で脂質異常症を発見して改善することが大事になります。

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日本における脂質異常症の現状

厚労省の統計によると、血清総コレステロール値の平均値は男性で196.3mg/dL、女性207.6mg/dLであり、2006年から2016年の10年間では男女とも有意な増減はみられません。また血清総コレステロール値が240mg/dL以上の方の割合は、男性9.8%、女性17.3%であり、こちらもこの10年間で男女とも有意な増減はありません。

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とはいえ1980年から2008年という長いスパンで見ると、他の先進国では血清総コレステロール値が低下しているのに対し、わが国においては食生活の欧米化により上昇しているという報告もあります。つまり昔に比べて日本人脂質異常症および動脈硬化の発症リスクが高くなっているとも考えられるのです。

生活習慣の乱れでいつの間にか罹っているかも

食事が脂肪分に偏ったり、運動不足になったりでいつの間にか進行している可能性がある脂質異常症。
逆に言えば、生活習慣を整えることで予防・改善が図れます。具体的にどんな方法があるのでしょうか。

次回は、脂質異常症がもたらすこれらの疾患の詳細や治療法などについて、さらに深く触れてみたいと思います。

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著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。