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2019.01.28

胃液の込み上げ、実は病気かも!【増えてます!逆流性食道炎#1】

KenCoM公式ライター:黒田創

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遅い時間に仕事を終え、やっと一息。憂さ晴らしや空腹を満たすために焼き肉やラーメンなど脂っこい物を食べたり、お酒を飲んだりすると美味しいですよね。
しかし就寝中や翌朝に胸やけやみぞおちのもたれ、ゲップや吐き気、喉の違和感、酸っぱい液体が喉元まで上がってくるといった症状が頻繁に起こっていないでしょうか。

もしそうだとしたら逆流性食道炎の可能性が考えられます。こうした症状が続くようだともっと大きな病気につながる可能性もあるんです。
そう警鐘を鳴らしているのが日本消化器内視鏡学会指導医で医学博士の近藤慎太郎先生。今回は近藤先生に逆流性食道炎について詳しく伺いました。

近藤慎太郎(こんどう・しんたろう)先生

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東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部付属病院を経て山王メディカルセンター内視鏡室長、クリントエグゼクリニック院長などを歴任。消化器専門医として多くのがん患者を診療し、年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手がける。著書に『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』(日経BP社)など。今年東京・渋谷に近藤しんたろうクリニックを開院。

密かに患者が増加中!逆流性食道炎とはどんな病気?

年々増加中の逆流性食道炎

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私は約20年間消化器専門医として医療現場の最前線にいますが、逆流性食道炎に罹患している患者の数は年々増えている印象があります。
かつて逆流性食道炎は珍しい病気のひとつでしたが、内視鏡所見などによる私の実感では、消化器系の診療で訪れる患者さんの3~4割は逆流性食道炎に罹っていると考えられます。
実際、厚労省の患者調査でも患者数は増加傾向にあります。

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患者数が増えた原因については後ほど触れるとして、次に逆流性食道炎がどのようにして起こるのか詳しく解説します。

逆流性食道炎の発生メカニズム

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皆さんご存知の通り、私たちの身体は食べ物や飲み物を口にすると、喉から食道を通って胃の中に送られ消化される仕組みになっています。胃の中では胃酸という強い酸性の消化液が絶えず分泌されていて、これが食べた物をドロドロに溶かしたり、食べた物についている雑菌を殺す役割を担っています。
その胃酸は胃や十二指腸などで作用する分には臓器に大きく影響しないのですが、胃の上にある細長い筒状の食道に逆流すると食道内部の粘膜を傷つけてしまい、炎症が起こりやすくなってしまいます。
食道は胃まで食べ物を送り込む廊下のような役割にすぎず、それほど強い器官ではないのです。これが「逆流性食道炎」の大まかな発生メカニズムです。

本来、食道と胃のつなぎ目は下部食道括約筋という筋肉でギュッと締まっていて、胃の内容物が逆流しないようになっています。しかしさまざまな原因でこの筋肉が緩んでしまうと、ちょっとしたはずみで胃酸や食べた物が逆流し、食道が炎症を起こすのです。

この下部食道括約筋が緩んでしまうのは、加齢によるものや内臓脂肪が多く、胃に腹圧がかかって胃酸や食べ物が逆流しやすい状況にあること、過度の飲酒による嘔吐を繰り返すといったあたりが理由として考えられます。あとは夜遅く食事をしてすぐ寝るのも要注意。胃の中で食べ物が十分消化されないうちに横になると、胃から食道へと内容物が横移動して逆流しやすくなってしまうのです。

「胃炎」とは異なる病気

受診される皆さんと話していると、意外と逆流性食道炎と逆流性胃炎を混同しがちです。しかし逆流性胃炎という病名はなく、あくまで胃から食べ物や胃酸が逆流して食道を傷つけ、炎症を起こすのが逆流性食道炎です。胃に炎症が起こっている胃炎とは別物。
食後によく胸焼けを感じたり、ゲップや喉に酸っぱいものなどがこみ上げてきたりするなら、胃ではなく食道の問題を疑ってみてください。

胃液が込み上げてくる感覚がある人は注意!

歳をとって胃液が込み上がってくる感覚を普通と思ってはいけません。それが大きなリスクにつながるかもしれないからです。
次回は逆流性食道炎の患者が増えている原因やその大きなリスクについて触れてみたいと思います。

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著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

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