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2019.01.29

骨=カルシウムだけではない!医師が教える40代からの骨粗しょう症対策#2

KenCoM公式ライター:黒田創

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閉経や加齢、生活習慣病などが原因で骨の強度が低下し、骨折しやすくなってしまう骨粗しょう症。それ自体に目に見える症状はないのですが、放っておくと50~70代になって深刻な事態を迎えてしまうと言います。今回はそのあたりを虎の門中村康宏クリニックの院長、中村康宏先生に詳しく伺いました。

骨粗しょう症対策が必要な理由

寝たきりを予防し健康寿命を長くする

前回述べた通り、骨粗しょう症になって骨が脆くなると、少しつまずいただけでも骨折してしまう恐れがあります。しかしそれだけではなく、骨粗しょう症は寝たきり生活のリスクが高まってしまう。それがこの病気を防がないといけない一番の理由です。何歳になっても健康に生きるためには、早いうちから骨粗しょう症の予防をしておく必要があるのです。

骨粗しょう症を原因とする骨折としては、足の付け根の部分、具体的には大腿骨頭という太腿骨の骨折が多くみられます。転倒するとこの部分を骨折しやすく、回復するまで活動にかなりの制限がかかります。また筋力や免疫力が低下することで、生活の質を大きく損なってしまうのです。今まで元気に生活していたにもかかわらず、たった一度の転倒で大腿骨頭を骨折し、そのまま寝たきり生活になってしまう。こうしたケースも決して珍しくないのです。

食事から考える骨粗しょう症予防

将来寝たきり生活にならないために防ぎたい骨粗しょう症。では具体的に何をすればいいのでしょうか。大きなポイントは栄養摂取と運動なのですが、ここでは栄養摂取について詳しく述べたいと思います。

骨をつくるカルシウムをしっかり摂取

まず栄養摂取に関してですが、骨密度を若いうちに高めておくため、成長期にカルシウムをしっかり摂って健全な骨格を作る必要があります。実は体内のカルシウムの99%は骨にあって、残りの1%は他の組織や血液中に存在します。1%のカルシウムは割合としては非常に少ないものの、筋肉の収縮や血液の凝固、神経伝達など重要な働きをしています。

さらにはその血液中のカルシウムが足りなくなると、骨からカルシウムを補填しようとするのです。つまりカルシウムの摂取量が少ないと骨からカルシウムをどんどん血液に補わねばならず、骨の中のカルシウムが失われてしまう。だから意識的にカルシウムを摂ることが大事なのです。カルシウムを多く含むものとしては、以下のような食材が代表的です。

文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年より一部抜粋

文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年より一部抜粋

カルシウムを体内に吸収する栄養素もしっかり

とはいえ、ただカルシウムを摂るだけではあまり意味がありません。カルシウムを効率よく体内に吸収させるために、他にもビタミンDやマグネシウム、たんぱく質といった栄養素をバランスよく摂ることが必要です。たんぱく質については肉類や魚介類、卵、大豆製品や乳製品に多く含まれているのを皆さんご存知かと思いますので、ここではビタミンDとマグネシウムを多く含む食材を挙げます。

文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年より一部抜粋

文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年より一部抜粋

文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年より一部抜粋

文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年より一部抜粋

骨をつくるための栄養素があることを覚えておこう

皆さんの中には「若いうちならともかく、今更骨を強くするのは難しいのでは?」と思われる方がいるかもしれません。とはいえ、何もしなければ骨密度は低下する一方で、骨粗しょう症のリスクが高まります。現在の骨密度を維持するためにも、カルシウムをはじめ吸収力を高める栄養素を意識的に摂るように心がけましょう。

次回は骨粗しょう症のもうひとつの予防策、運動についてと治療法などについて解説します。

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監修医師プロフィール

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■中村康宏(なかむら・やすひろ)先生
関西医科大学卒業後、国家公務員共済連合会 虎の門病院に入職。内科医および消化器内科医として従事する中で再発予防、増悪予防の重要性を痛感し、最先端予防医学を学ぶため渡米。NORC NYCなどの予防に特化したクリニックでの研修を通して、多面的・総合的にアプローチする予防医療を習得。同時に公衆衛生学修士号も修得する。帰国後、健康増進、健康防衛のための医療を提供する「中村康宏内科クリニック」を京都で開院。その後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」を東京で開院。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

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