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2019.01.11

つい先送りしたくなることを防ぐ仕組みづくり【習慣の心理学#1】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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はじめまして! 佐々木正悟と申します。
ふだんは、「ビジネス書」を書いたり、このような連載を書いたり、あるいはセミナーを開催して、収入を得ているものです。テーマは「心理学」と「ライフハック」。
人はどんな心理や動機から行動を起こしたり起こせなかったりするのか。タスクリストや手帳に夢を書いたりすることで、感情に火をつけたりすることができるのか。
そんなことについつい興味を引かれるため、ライフハックと心理学というテーマでずっと仕事をするようになりました。

こちらでもITツールやそれによって変化する心理を中心テーマに、習慣化する際のコツを書いていきたいと思っています。今回のテーマは「ついつい先送りしてしまうのを防ぐにはどうしたらいいか?」です。

同じことを続けるためには己を知ることが大事

できない理由を書き出そう

ジム通いや体力作りを先延ばしにしたくなる日というのは、必ずやってきます。

毎日条件は変わります。
天気の良い日、悪い日。
日の長い日、短い日。
気温の低い日。高い日。

運動したくない理由は様々ですが、そもそも家から一歩も出たくないということもあるでしょう。
そんなとき、例えばジム通いを「延期しよう」と思う直前に、一瞬でいいので、できない理由を考えてノートに書き出してみましょう。

劇的な変化はそう簡単に訪れない

「今日の自分はどうもだめだが、明日の午前の自分なら元気だろう」などと思っていませんか?
もちろん、熱があったり、下痢をしているというならそうかもしれませんが、「なんとなく明日にしたい」ときの90%は、「今日と全く同じ明日が来る」ことがわかっていないのです。
絶対ではありませんが、極めて高い確率で次の2つの事実があります。

・今日と明日は同じように時間がない
・今日と明日は同じように調子が良くない

この2つです。
もちろん、ごく希に、明日になってみたら絶好調、ということはあるかもしれません。
(ただこれは善し悪しで、そういうことが起こりやすい人の場合、明日になってみたら絶不調、ということもあります)。

今日できたことは、明日もできる公算が大きい

特に運動の習慣化といった「長期戦」を要する物事に取り組む場合、

今日と明日は全く同じような日になる可能性が高い。また、今日と明日の自分は大きく変わるわけではない。

としつこいくらいに自覚することが大切です。
私は「今日やったこと」のすべて(爪を切ることからトイレに行ったことまで)を必ず記録するようにしています。すると非常にはっきりとわかることがあるのです。

今日やったことは、だいたい明日もやる。
今日と明日にやったことは、かなり高い確率で、一週間続ける。
一週間続けてやったことは、相当高い確率で、一年間続ける。

こういうものなのです。
そして、ブログを書くことから、ランニングすることなど、新年早々(今がまさにそうですが)から挫折してしまうことというのは、「一日もやらないまま一年が過ぎる」のです。
このことは、いいことでも悪いことでも同じようになるのが不思議です。

たとえば、今日なんとか、寒くてみぞれの降りしきる中でウォーキングを20分でもできたら、明日快晴で体調が良い中でも、ウォーキングを20分できるでしょう。
反対に、今日ついつい朝から甘いお菓子をふたつ食べてしまうと、明日もふたつ食べてしまう公算が大きいのです。

だから私は、一日のうちにやったすべてのことを記録しているのですが、運動が目的であれば、運動のことだけでもいいから記録に残しておくと良いでしょう。
今日の記録に残ったことは、習慣化できる確率が飛躍的に高まります。
つまり、今日の記録に残すために、ジョギングをしたりジムに行ったりすると良いわけです。

たいしたことがない実行記録が貴重になる

三日坊主という言葉があるように、一日だけできたからといって、ずっとできるとは思えない、という方もいるでしょう。
それにはまたそれなりの理由がありますが、つらい中でできたことは、つらくない中でもできるということは事実なのです。だからつらい中でやった「たいしたことのない実行記録」は貴重です。
多くの人は、「雨の中、5分だけランニングした」ようなことは、書き残しません。毎日40分はランニングしているのに、5分だけ行って帰ってきただけでは残念だと思うのでしょう。

しかし、成果が乏しかったときは、状況が良くないはずなので、むしろ詳細を記録することで、後々の自分を鼓舞することができます。

■『習慣の心理学』の他記事はこちら

著者プロフィール

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■ささき・しょうご
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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