2019.01.16
食で風邪対策!冷えやすい冬に身体を芯から温める食養生・東洋編
「冷え」の概念の発祥地、東洋の風邪・冷え性対策
古代東洋の考え方では、身体を冷やさず温めるというのが風邪の対策として一番最初に出てくるくらい重要です。特に冬場は体の末端が冷える「冷え性」という独特な概念があり、それを解決するための食材が数多く記録されています。
これらを使った各国の食材を紹介しつつ、最後にはお手軽なレシピをご紹介します。
各国の風邪予防・冷え対策の食事
韓国……参鶏湯
高麗人参、クコ、生姜などの生薬が入って、免疫力を高め、体力回復に役立ちます。
メインに使われている鶏肉は、ほぼ丸々1羽使われている上に、中にはもち米がたっぷり。タンパク質と炭水化物を同時に摂れるのも魅力です。
インド……マサラー・チャイ
インドでよく飲まれている甘く煮出したミルクティーに、香辛料を加えたものです。
加えられる香辛料は、冷え対策として最も知られている食材の1つであるショウガのほか、シナモン、カルダモン、クローブなど身体を温め、免疫力を高めるとされるものを使用しています。
インドでは、身体の芯から温めることで、外気の暑さに負けない身体を作るのに利用されることが多いそうですが、寒い国では、冬こそ飲みたいものとして重宝されています。
インド……ターメリック(主にカレー)
カレーの主原料であるターメリックも冷え・風邪対策としてよく用いられるもの。最近では和名のウコンの方が有名かもしれません。
インド原産のショウガ科の多年草植物ターメリックは、殺菌作用、抗酸化作用があると言われています。毎日カレーを食べるインドや周辺のバングラデッシュ、パキスタンの人たちは、常日頃から風邪の予防として、様々なスパイスを取り入れているそうです。
日本……ショウガ湯 くず湯
ショウガを入れたショウガ湯や葛を入れたくず湯、その両方を合わせたショウガくず湯などは、日本では昔から風邪に効くとして飲まれてきました。
ショウガと葛は、漢方の風邪薬として有名な「葛根湯」にも使われるように、身体を温める効果が期待できます。
ちなみに葛根湯は起源200年頃の中国の医書に出てくるものでその歴史も古いですが、風邪の初期症状や肩こりの症状を和らげる薬として現代でも人々の間に知れ渡っています。葛根湯は、葛の根が主原料でそのほか、生姜、シナモン、ナツメ、マオウ(麻黄)、シャクヤク(芍薬)、カンゾウ(甘草)などが調合されています。
日本……ゆず湯 金柑の甘露煮
ビタミンCが多く摂れるゆずや金柑も冷え性や風邪の対策として用いられてきたものの1つ。
特に喉に良いとされ、のど飴の原料にも使われることが多い食材です。日本では前述のショウガ湯やくず湯と同じようにゆず湯としていただくほか、金柑は甘露煮にしておせち料理や普段の食事の箸休めとして使わています。
冷え対策食材でつくる!『くず湯風ショウガはちみつ湯』
くず湯はその特性として温めるととろみがつくので冷めにくいのも特徴です。ただ、一般の家庭にはあまり置いていない食材なので、今回は同じくとろみがつく片栗粉で代用し、くず湯風のショウガとはちみつを混ぜたホットドリンクのレシピをご紹介します。
※片栗粉はマクロビオティックでは身体を冷やすといわれていますが、中医学では「平性」であり、身体を温めもしなければ冷やしもしない性質と言われています。
【材料】(1人分)
A
ショウガ(すりおろし) 大さじ1/2~1
片栗粉 大さじ1/2
はちみつ 大さじ1
水 大さじ1/2
レモン汁 1/2個分
熱湯 150cc
【作り方】
1:熱湯を、鍋で沸かすか電気ポットで沸かすかして用意しておく。
2:耐熱性のあるマグカップなどにAの材料を全て入れ、かき混ぜながら熱湯を注ぎ入れる。
3:材料が混ざり合ってとろみがついたら出来上がり。
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著者プロフィール
■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。