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2019.01.03

30・40代転職希望者は注意!「年金の移管問題」|中途退職時にもらう退職金は実は2種類ある

東洋経済オンライン

30・40代で転職を考えている人は退職金に注意したほうがよい。でないと一生後悔する可能性も(写真:IYO/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/258040?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

30・40代で転職を考えている人は退職金に注意したほうがよい。でないと一生後悔する可能性も(写真:IYO/PIXTA)

小売、物流などを中心に人手不足が本格化しています。労働市場の流動性も以前では考えられないくらい増していて、転職する人もやはり増えています。それも、若手だけでなく中堅の社員も珍しくないと聞いて、退職金の行く末が気になりました。なぜなら、勤続年数10年、20年になる30代、40代で退社する場合、それなりの退職金が支払われるからです。

退職金は文字通り、退職時に支払われるものですが、制度によっては「ポータビリティ」と言って、転職先に持ち運びしたり、公的年金に上乗せしたりする仕組みがあるのをご存知でしょうか。

前職の年金を転職先に持ち込むのは、実は難しい

そもそも退職金は、退職時まで会社が預かってくれているものです。例えば、それを35歳で転職したときに受け取るとします。実はそこそこの大金を手にして「いつのまにか全部を使ってしまった」という人は少なくないのです。すると、気づいたときには老後資金がまったく足りないなんて事態になりかねません。こうならないためにも、転職や独立を考えている人は、将来のために退職金をしっかり老後資金として引き継ぎ、殖やす方法を知り賢い選択をしていただきたいと思います。そうすることで、定年時にまとまった金額の老後資金が準備できるからです。

一口に退職金と言っても、「持ち運びができる退職金」と「できない退職金」があります。一般的に「退職金」と言われているのは、正確には「退職一時金制度」のことです。これは文字通り退職日に全額受け取ることしかできません。一方、持ち運びできるタイプの退職金制度には、「年金」と言う名前がついています。「確定給付企業年金」、「厚生年金基金」、「確定拠出年金」といった制度です。

「確定給付企業年金」と「厚生年金基金」は、退職時以降の年金支払額をあらかじめルールで決めて、それに合うように会社が資金を拠出し、その資産を全社員分まとめて運用しています。大企業から大企業への転職であれば、同タイプの制度が双方にある可能性は高いでしょう。しかし、自社で適用している年金制度とルールの異なる資産を持ち込みされると、別勘定で特別な管理をしなければなりません。そのため、前職の年金のタイプが異なる場合、受け入れてくれる企業は少ないと思ったほうがいいでしょう。

一般的な持ち運びの選択肢は、以下の3つになります。

① 元の勤務先の確定給付企業年金、厚生年金基金に資産を預かってもらって60歳以降に受け取る

② 厚生労働大臣の認可団体である企業年金連合会に預けて、公的年金に上乗せして終身で受け取る

③ 確定拠出年金(企業型、または個人型)に移して自分で運用する

退職時、すぐに使うあてがないのであれば、まずは①から検討するのがいいと思います。なぜなら、①も②も、預けている期間の金利が市中の預金金利より高く、特に①であれば2%ぐらい付与してくれるケースも珍しくありません。ただし、それだけいい条件ですから、①は勤続年数20年以上に限るなど、利用できる方が制限されています。会社によって、勤続年数や年齢による条件、さらに、60歳以降の受け取り方の選択肢もさまざまです。一時金だけでなく分割して受け取るなど、会社によって仕組みが違うので、現在の勤務先に確認してください。

転職時の退職金は運用益非課税の「iDeCo運用」が有利

②は企業年金連合会に事務手数料を払って資産を移し、厚生年金に上乗せして終身で受け取る方法です。資産を移したときの年齢によって、0.5%から1.5%の金利を付与してもらい、厚生年金同様に終身で受け取ることができます。さらに、万が一、80歳より前に亡くなってしまった場合には、80歳まで生きていれば受け取るはずだった金額相当を、遺族の方が一時金で取ることができます。現在の金利情勢からすれば、検討してみる価値は大いにあると思います。自分のケースを企業年金連合会のリーフレット「通算企業年金のおススメ」の試算などで確認してみてください。

③は転職先の企業型確定拠出年金、または個人型確定拠出年金(iDeCo)に移して、その後の積立額と一緒に自分で運用していくという方法です。低コストの投資信託が運用商品としてラインナップされていますし、運用益は非課税ですから、課税口座で運用するよりコスト面でとても有利な方法といえます。

確定拠出年金は個人が主体的に資産を管理するので、資産の受け入れ、持ち運びが簡単であることが特長の1つであり、「確定給付企業年金」、「厚生年金基金」、「確定拠出年金」いずれの制度からも資産を自分の確定拠出年金口座へ移し入れることができます。しかし、いったん確定拠出年金の口座に入った資産は、老後資金として少なくとも60歳まで引き出すことが認められていません。遠い将来のために備えることを会社ではなく法律がサポートしてくれます。

今回は、中途退職時の退職金を60歳以降の老後金として残す仕組みをご紹介しました。いずれの方法も退職金を受け取る前に、現在の勤務先や制度事務局に他の制度への移管の意思を伝える必要があります。あとで「しまった!」ということがないように事前に選択肢を確認し、できればうまく活用して老後に備えてください。

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大江 加代:確定拠出年金アナリスト

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