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2019.01.29

骨が弱くなる理由とは?医師が教える40代からの骨粗しょう症対策#1

KenCoM公式ライター:黒田創

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突然ですが、皆さんは自分の骨の強さについて意識したことはありますか?

子供の頃は両親に「カルシウムをたくさん摂らないと骨が強くならないよ!」と言われて小魚を食べたり牛乳をゴクゴク飲んだ覚えがある方も多いと思います。しかし、大人になってからはダイエットや筋トレに興味関心が行ったとしても、骨について考える機会はほとんどなかったのではないでしょうか。

そんな人は要注意。年齢と共に大きくのしかかってくる骨の問題、それが今回から3回に渡ってご紹介する「骨粗しょう症」です。
もしかしたら名前は知っているかもしれませんが、「なぜなるのか」ということは意外と知らないのではないでしょうか。

今回は未病治療や予防医療を積極的にすすめる虎の門中村康宏クリニックの院長、中村康宏先生にお話を伺いました。

中村康宏(なかむら・やすひろ)先生

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関西医科大学卒業後、国家公務員共済連合会 虎の門病院に入職。内科医および消化器内科医として従事する中で再発予防、増悪予防の重要性を痛感し、最先端予防医学を学ぶため渡米。NORC NYCなどの予防に特化したクリニックでの研修を通して、多面的・総合的にアプローチする予防医療を習得。同時に公衆衛生学修士号も修得する。帰国後、健康増進、健康防衛のための医療を提供する「中村康宏内科クリニック」を京都で開院。その後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」を東京で開院。

骨粗しょう症ってどんな病気?

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自覚症状なく進む、骨の強度が低下する病気

骨粗しょう症とはさまざまな要因から骨密度、つまり骨の強度が低下して、骨折しやすくなる状態を指します。骨がもろくなってしまうと、つまずいて手や肘をついたり、大きな咳やくしゃみをするといったわずかな衝撃でも骨折してしまうことがあるのです。

ガンや心筋梗塞、クモ膜下出血などのように直ちに命に係わるわけではないのですが、自覚症状がなく、目に見える変化も乏しいまま進行してしまうのがこの病気のポイント。ですので、その重大性を現段階ではなかなか理解できないかもしれません。皆さんは健康診断などで「少し高血圧気味ですね」と指摘されてもそれほど問題視しないと思いますが、骨粗しょう症もそれと同じことが言えるのです。ゆえに、骨粗しょう症を生活習慣病としてとらえる考え方も近年は広がっています。

女性の割合が高いが、男女ともにかかるリスクがある

骨粗しょう症と聞くと一般的には女性に多いイメージがあるかと思います。実際、有病率は女性の方が圧倒的に高い。その原因については後ほど触れますが、患者さんの7~8割は女性です。しかし有病率の性・年代別分布をみると、女性が50代から急激に高まる一方、男性も60代からじわじわと高くなり、70代後半になると2割程度の男性が骨粗しょう症という調査結果もあります。つまり、男性も決して無視できない病気なのです。

骨粗しょう症の主な3つの原因

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骨粗しょう症の主な原因として、閉経、加齢、生活習慣病という3つの要因を挙げることができます。

原因1:閉経に伴うホルモンバランスの変化

女性の場合、閉経に伴うエストロゲンなどの女性ホルモン低下により、内分泌や体液に様々な変化が生じることで骨量が減少します。人間は生まれた時から体内で骨の分解と形成を絶えず繰り返しており、常に組織が新しく置き換わっていますが、エストロゲンはこの分解作用を抑える働きを持っています。それで女性ホルモンが出ている20~40代は比較的一定に骨密度が保たれるのですが、閉経でエストロゲンが不足すると、骨の分解が急激に進行してしまう。多くの女性が閉経を迎える50代頃から女性の骨粗しょう症患者が増えていくのはそれが原因です。

参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版(一部改変)

参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版(一部改変)

原因2:加齢による骨細胞の機能低下

加齢によって起こる身体の様々な変化も骨に大きな影響を与えます。一つ目は骨細胞の機能が低下することで骨を作る能力が落ち、それまでの骨量を維持できなくなってしまうこと。そして二つ目は、腸管でのカルシウム吸収が加齢とともに低下したり、腎臓におけるビタミンD活性酵素の働きが落ちること。それらの変化で骨の材料が不足しがちになり、結果として骨が弱くなってしまうのです。

原因3:生活習慣病による連鎖的な発症

最後は生活習慣病です。高血圧や脂質異常症といった生活習慣病は、動脈硬化の原因となりますが、そのメカニズムの一部は、実は骨粗しょう症の発症にも関わっています。特に酸化ストレスの増加や血中ホモシステイン(必須アミノ酸のメチオニンが代謝されて生成されるアミノ酸。脳梗塞などの危険因子とされる)の濃度が上昇すると、動脈硬化を促進するだけでなく、骨の成分のひとつであるコラーゲンの質の低下を招き、骨の脆弱化を招いてしまいます。

今回は病気の知識や原因から骨粗しょう症をご紹介しました。

次回は、この病気への対策が必要な理由や治療法、予防法などについて説明します。

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著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

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