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2018.12.14

【医師に聞く!】お風呂と健康にまつわる疑問Q&A

KenCoM編集部

前回の記事では入浴の効果や入浴法についてご紹介をしました。
今回はお風呂と健康に関する疑問をテーマに、引き続きKenCoM監修医の石原先生にお話を伺います。

Q1.全身浴と半身浴どちらが健康にいいの?

A.全身浴は心臓までお湯につかることから、水圧作用により血圧が上昇します。また、体温の上昇幅も大きいことから健康に悪影響を与えるのでは?という意見があり、一時期半身浴が多くのメディアでブームになったのを覚えている人もいるのではないでしょうか?
確かに半身浴は直接心臓に負担をかけないため、心臓に疾患のある人には適した入浴方法であると言えます。ですが、水面から上のお湯につかっていない部分が冷えてしまうため、浴室を暖めたり、温かいタオルを肩にかけるなど準備も必要です。

健康な人が40℃前後のお風呂に10分程度つかるのであれば、不調をきたすほど負荷がかかることはないので、最近では全身浴を勧める医師が増えている傾向があります。前回の記事で説明したように、入浴がもたらす3つの作用(温熱作用・水圧作用・浮力作用)は半身浴だと半減してしまうのも事実です。
自分の健康状態に合わせて全身浴・半身浴を選んで入浴するのがいいと言えるでしょう。

Q2.風邪をひいていたり熱があるときは、入浴しない方がいい?

A.入浴は言わば運動と一緒。少なからず身体に負担がかかるため、風邪をひいて体力が落ちているときは入らないほうがいいでしょう。また、熱があるときは脱水になりやすい状態。入浴すると脱水がさらに加速してしまいますから、やはり入浴は控えるべきです。

Q3.湯船につからずシャワーだけでもいい?

A.清潔を保つという意味ではシャワーだけでもいいですが、温熱作用などのお湯につかったときに得られる作用はシャワーだと全くありません。リラックスしたい場合は、湯船につかることをおすすめします。

Q4.入浴することでダイエットできる?

A.入浴をすると発汗作用が働くため、お風呂から出た後は軽い脱水状態になっています。「お風呂に入ったら体重が減った」という経験があるかもしれませんが、体内の水分がいくらか減っただけなので、同じ量の水分を飲めば元に戻ります。

脂肪や贅肉の削減を目的としたダイエットにはなりませんが、入浴をすると代謝がよくなるため全くの無意味というわけではありません。

Q5.冷え性の人は長くつかるといい?

A.入浴により血行がよくなるため、末端の冷えが多少なりとも緩和されるとは言えますが、その効果が持続するとは考えにくいでしょう。さらに、入浴時間を長くしたり42℃以上の熱いお風呂につかることは、逆に健康を害する恐れもあります。

入浴後から就寝までの時間が短いと、就寝時の手足の冷えを感じにくいと言われていますので、冷え性の人は入浴後は早めに就寝することを心がけるとよさそうです。

40℃前後、10~15分が基本の入浴方法と覚えよう

いかがでしたか?
気になっていたお風呂に関する疑問は解消されたでしょうか?
今までシャワーのみで済ませていた人は、週に数日でもいいので湯船につかってみるといいかもしれませんね!

(取材・文 KenCoM編集部)

監修医プロフィール

石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

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