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2018.12.04

4000万円の家は「増税」でいくら高くなるか|ライフプランや税制優遇の見極めも重要だ

東洋経済オンライン

増税前と増税後、家はいつ買えばいいのでしょうか(写真:freeangle/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/252456?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

増税前と増税後、家はいつ買えばいいのでしょうか(写真:freeangle/PIXTA)

2019年10月から消費税が10%に引き上げられることになりました。家にも消費税がかかるとなれば、住宅購入を考えている人にとって増税はやはり気がかりですね。

いったい、いくらくらいの負担増になるのでしょうか。物件価格だけでなく諸費用や引越費用も含め、4000万円住宅を購入する例で考えてみましょう(下図)。建売住宅を購入する例でいえば、46万円ほど税負担が重くなる結果となりました。

物件価格は40万円アップ

「4000万円の物件なら、8%と10%の差2%分で80万円くらいなのでは?」と思う人もいますが、消費税がかかるのは物件価格のうち建物部分のみ。土地には消費税はかかりません。

土地分(マンションなら敷地権)2000万円+建物分2000万円とすると、消費税率8%の今なら160万円、10%になると200万円が物件価格に加わります。つまり、今と消費税率10%の差は、物件価格については40万円アップとなる計算です。

なお、中古住宅については個人が売り主となることが多いのですが、消費税は個人間売買には課税されないため、物件価格にそもそも消費税がかからないケースが多いことは覚えておきたいところです。

さて、家を買うときは物件価格のほかに「諸費用」が必要ですが、その中の手数料にはもれなく消費税がかかります。中古住宅や建売住宅の購入時や注文住宅を建てる際の土地の購入時に、物件価格の3%+6万円相当額を支払うことになる「仲介手数料」にも、消費税がかかります。

また、新生活を始めるうえで避けられない引っ越し費用や、家電や家具などの耐久消費材といった出費にも消費税がかかりますから、負担感は想像以上に大きくなりそうです。

ちなみに、その他の諸費用の主なものとしては、保険料(火災保険料・地震保険料など)や税金(印紙税・固定資産税・不動産取得税)、住宅ローン保証料、マンションの修繕積立基金が挙げられますが、これらには消費税はかかりません。

ライフプランの視点が重要

「消費税がアップする前に買ったほうがいい?」と悩んだときは、消費増税による負担増の側面だけに捕らわれるのではなく、4つのポイントから判断する視点が重要です。

具体的には「金利」「物件価格」「ライフプラン」「税制優遇」です。まず、1点目の「金利」は史上最低水準にあり、今後に上る可能性はあっても下がる余地はほぼない状況にあるため、早めの購入のほうが確実に低金利の恩恵が受けられるといえます。消費増税は景気回復を前提にして推し進められていますが、景気回復は金利上昇を伴うのが一般的だからです。

対して、2点目の「物件価格」は、現在は割高な状況にあります。家の値段を形作る2大要素は材料費と人件費ですが、オリンピックや災害復興住宅の建設ラッシュのため、いずれもあちこちで不足気味です。

つまり、どちらも調達コストが非常に割高で、特に大都市圏では同じ立地の新築物件が数年前より数千万円単位で高くつくことも珍しくありません。つまり、物件価格から見ると、今は決して買い時とは言えない様相です。このトレンドは、消費税増税の前後で大きくは変わらないと思われます。

さて、特に重要なのが3点目の「ライフプラン」からの視点です。シングルや夫婦2人のケースなら、退職までに完済するうえでの返済期間や、社宅退去のタイムリミット、親の介護の必要性の有無、転勤の可能性などで、住宅購入の可否やタイミングを見ることが大切です。

子どもがいるケースでは、子どもの声にも耳を傾けることが重要です。転校の有無や受験に集中したい時期などの配慮なしに住宅購入した結果、「転校したくなかったのに」「塾や習い事を我慢しろと言われても、家を欲しいなんてひとことも言ってない。ひどいよ」など、後々家庭内でトラブルになったケースもよくあります。家族の幸せを願っての住宅取得が、不幸せを招く事態は避けたいところです。

4点目の「税制優遇」は消費増税とは密接な関係があり、消費税率が5%から8%になった際の大幅な拡充路線上にある今は、過去最高水準の税制優遇が実施されています。

住宅ローンの年末残高の1%が所得税・住民税から還付される「住宅ローン控除」は、10年間にわたり、対象となる年末残高が5%のときの2000万円から4000万円(長期優良住宅・低炭素住宅なら5000万円)に拡充されています(中古住宅の場合は、そもそも物件価格に消費税がかからないため、拡充対象とはならず2000万円まで)。

なお、各種税金(印紙税や登録免許税など)の負担も、低廉に抑える措置が継続中です。また、親から資金贈与を受ける際に贈与税を非課税にできる特例があり、消費税率8%時の上限額は810万円ですが、10%になると2610万円まで拡充されることが決まっています(2020年3月31日までに契約する場合)。

年収775万円以下で使える給付金

このほか、「すまい給付金」によって、年収510万円以下の人が住宅購入する際には最大30万円(妻が専業主婦で中学生以下の子どもが2人いる世帯の場合の目安)の給付を受けられます。

年収が高くない人は住宅ローン借入額も当然少なくなるので、住宅ローン控除対象の年末残高を4000万円に拡充しても恩恵が受けられないのではとの考えから、消費税率が8%になった際に新たに導入されました。消費税率が10%にアップする際には、775万円以下(目安)を対象に最大50万円の給付に拡充することが決まっています。

この「住宅ローン控除」の拡充と「すまい給付金」の新設によって、消費税率8%から10%へのアップによる影響は吸収できると、当初は考えられていました。ですが、想定より景気の回復が遅れているため、さらなるテコ入れとして、現在、住宅ローン控除の拡充が検討されている状況です。

これから家を買おうかなと思ったら、税制優遇の動向だけでなく、他の視点も交えながら、わが家に合った購入タイミングを検討してみてください。

手に入れた家の物件価格に何%の消費税がかかるかは、基本的には引き渡しのタイミングによります。2019年9月末までに引き渡しを受けられれば8%、10月1日以降なら10%です。

ただし、引き渡しが2019年10月以降になるケースであっても、契約を2019年3月末までに済ませていれば8%でOKという特例が用意されていることをご存じでしょうか。知っている人はすでに早めにアクションを起こしています。

新築マンションを購入したいという人の例で言えば、住宅ローンの審査に通過し、売買契約が2019年3月末までに済めば、マンションの完成・引き渡し・入居が10月以降になっても消費税率8%で計算されます。物件探しから契約までは通常2~3カ月ほどかかるため、絶対に8%でと考えている人は早めの情報収集がおすすめです。

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竹下 さくら:ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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