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2018.12.01

「週末の寝だめ」でどんどん疲れていくワケ|「社会的ジェットラグ」を知っていますか

東洋経済オンライン

平日の分まで寝なければ!とダラけるのは逆効果?(写真: A_Team/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/251279?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

平日の分まで寝なければ!とダラけるのは逆効果?(写真: A_Team/PIXTA)

やっと来た週末!土曜日はお昼ごろまで寝るのを楽しみにしている方も多いと思います。そんな「週末の寝だめ大好き派」の方たちにお話を聞くと、平日は仕事や家事で忙しいため、自分の時間や睡眠時間を十分に確保しづらいとのこと。その代わり比較的自由に時間を使える週末は……。

だいたい金曜日は時間を気にせずにお酒を飲んだり、YouTubeやSNSを見続けたり、趣味に没頭したり、ひたすらダラダラ過ごしたり。「久しぶりの自由」を満喫するため金曜日は遅くまで起きていて、土曜日や日曜日に朝寝坊をして日ごろの睡眠不足を補うことが多いそうです。

月曜日のダルさの原因は?

そして皆さん口ぐちに、「月曜日は朝から体がダルくて、木曜、金曜日くらいにやっと本調子になる」とおっしゃいます。それもそのはず、「週末に寝だめ」をすると、月曜日からダルくなりやすいのです。これは、週末の朝寝坊が原因。

人間の体内時計は「24時間と少し」です。そして私たちが午前中に太陽の光を浴びることで、「地球の1日=24時間」の周期に体内時計がリセットされて健康的に暮らすことができています。

逆に遅寝遅起きなどで、地球の24時間の周期に体内時計を合わせられない時期が続くと昼夜が逆転してしまうことがあります。たとえば、引きこもりで学校に行けないお子さんの多くがそうです。いったん体内時計が昼夜逆転すると、たとえ行きたくない理由がなくなって登校しようと思っても、「明け方まで眠れず、お昼頃にならないと起きられない」スパイラルから抜けるのが難しくなります。これは「気合い」が足りないのではなく「体内時計」の問題です。

体内時計は体中にあり、メインである親時計は脳の視交叉上核(両耳をつないだ中間あたり)にあります。また、サブの子時計は胃腸などの内臓はもちろん、血管、肌、髪の毛などさまざまな細胞の中にあります。

週末に極端な朝寝坊をするなど不規則な生活をすると、親時計はもちろん体中の子時計が気ままなリズムで動いてしまうためにすぐにホルモンバランスが崩れてしまいます。その結果、体温、メラトニン分泌、睡眠と覚醒のリズム、代謝リズムなどさまざまなリズムがバラバラになることで、ダルさを引き起こしてしまうのです。

たとえば、せっかく月曜日から金曜日までの平日は規則正しく6時や6時半などある程度決まった時間に起きているのに、土曜日や日曜日にお昼ごろまで寝てしまうと、翌月曜からまた6時や6時半などの早起き生活に戻ることで、海外旅行や海外出張に行った時の時差ボケのような状態になります。これを「社会的ジェットラグ」と呼びます。国内にいながらにして時差ボケ状態になることです。

ちなみにご参考までに、皆さんがいま、どれくらいの時差ボケ状態にあるかを計算してみましょう。「眠りに落ちた時刻」と「朝起きた時刻」の中間時刻を「睡眠中央時刻」といいます。そして平日と週末の睡眠中央時刻の差が「社会的ジェットラグ」の指標になります(ご興味のある方は、ミュンヘンクロノタイプ質問紙のサイトで自動計算することもできます)。

週末の朝寝坊は何時間までなら大丈夫か

たとえば平日夜中の1時に寝て朝6時に起きる場合の睡眠中央値は3.5時です。その人が週末は夜中の3時に寝て午前11時半に起きるとすると中央値は7.5時になり、社会的ジェットラグは7.5-3.5=4時間。ということで、この人の体は週末に時差4時間のモルディブに行き、月曜の朝に日本に戻って出社するのと同じ程度の時差ボケ具合ということになります。

さらに2015年5月の『Journal of Obesity』(肥満ジャーナル)」によると、社会的ジェットラグの時間が長い人ほど、BMI、体脂肪率とメタボ率に高い相関があるとのこと。また社会的ジェットラグの時間が長い人ほど、生活習慣病のリスクが高く、抑うつ症状が強いことが睡眠医療関係者の間で定説になっています。

睡眠不足を解消するために、次の1週間を元気に過ごせなくなってしまったり、生活習慣病などになる確率がアップしたりするのは本意ではないですよね。実は睡眠は足りなければ「ただ寝ればいい」のではなく、ダルくならない、間違った寝方で余計な病気を引き起こさない「コツ」が3つあるのです。

① 朝寝坊は2時間まで

睡眠不足をてっとり早く解消する方法は、やはり週末の朝寝坊です。と、ここまでは前述の「週末の寝だめ派」の方たちと同じですが、朝寝坊は「2時間まで」と決めてください。2時間を超えると、体内時計が狂いやすくなるからです。たとえばいつも会社に行くために6時半に起きている方は、休日は8時半までに起きてください。

金曜日に遅く寝ると、朝起きるのが辛くて週末の寝坊が2時間を超えてしまいそうな方は、金曜日も平日同様早めに寝るなど、自分は8時半に起きるためには逆に何時に寝ればいいのか金曜日の就寝時刻を研究してみてください。

金曜日に早く寝ると、案外「土曜日と日曜日がこんなに有効に使えるんだ!」と驚くかもしれません。逆に「金曜日は心ゆくまで起きていたいんだ!」という方は、心を鬼にして8時半に起きてください。その代わり、午後に次にご紹介する②のお昼寝を取り入れると、気持ちも体もだいぶラクになるのでオススメです。

起きたら体内時計をリセットするために30分程度は太陽の光を浴びます。太陽の光を直視することは危険なのでオススメしませんが、網膜で光をキャッチすることで体内時計がリセットされるので、背中で光を浴びるというよりは、太陽の方に顔を向けるようにしましょう。そして朝食を食べ、あとは普通に生活をします(窓際で太陽の光を浴びながら朝食、でも結構です)。

週末は2時間、平日は15~20分の昼寝を

② 昼寝は2時間までOK

てっとり早い睡眠不足の解消法として、1~2時間のお昼寝も効果的です。昼の12~15時の間に1~2時間寝るだけなら、「なかなか眠れない」「眠りが浅くなる」など夜の睡眠に悪影響がおよぶことはないといわれています。

筆者もお昼寝が大好きなので、実はその分、失敗もたくさんしています。あまりに気持ちがよくてうっかり3~4時間寝てしまう、15時ごろからお昼寝をスタートさせてしまうなどのルール違反のため、「寝すぎ」や「起きたら夕方の5時や6時!」になることが多々ありました。

そうすると起きた時に頭がズシンと重くボンヤリとして、活動が緩慢になるのと、その後ダルい、疲れているなど絶不調が数日間続くことをほぼ毎回体感。ですので、皆さんは、くれぐれも「12~15時の間の2時間まで」をお守りください。

ちなみに平日に関しては、12~15時までの間に15~20分ほどお昼寝をしてもOKです。睡眠不足の解消にはなりませんが、頭がスッキリして仕事の効率がUPするでしょう。なぜ15~20分かというと、それ以上寝ると深い睡眠に入ってしまうので、起きてから頭がボンヤリしてしまい仕事モードに戻るまで時間を要します。

筆者も20分寝るつもりが40分~1時間くらい寝てしまう時がありますが、長く寝るとやはり頭がボーっとすることが多いので、会議や商談の前など頭脳をシャープにしておきたい時は、教科書通り15~20分にとどめておく方が賢明です。ちなみに20分だけ眠る、なんて急に眠れないという方もいるかもしれません。そんな場合は、20分目を閉じているだけで大丈夫ですよ。続けていくうちに、だんだんと眠れるようになってきます。

平日の昼休みは12~15時の間に15~20分のお昼寝、週末はど~んと2時間までのお昼寝。これがお昼寝の基本です。ただし週末の夕方や夜に「千載一遇の大プレゼンや会食」がありシャープな頭脳にしておきたい場合は、週末でも例外的に15~20分のお昼寝に留めておきましょう。1人で、もしくは家族や気のおけない友人とゆっくり過ごすなどの平時は、睡眠不足の解消が第一優先なので2時間寝てほしいですが、頭脳のシャープさでいうと、やはり15~20分のお昼寝後が最強だからです。

無理なく睡眠負債を減らすには

③ いつもより30分早く寝る

①と②が、週末にど~んとまとめて睡眠不足を解消する方法。そして根本的解決法かつ毎日コツコツ返済する方法が、いつもより30分早く寝ることです。たとえばいつも夜中の1時に寝て、朝6時に起きている人の場合。まず午前0時半に寝て、朝6時に起きるという生活をしてみてください。

このように朝起きる時間は変えずに、1週間で30分ずつ寝る時間を早めていくのが、一番無理なく自分に合った睡眠時間に近づくコツです。それでも日中に眠気やだるさがあるようなら、次の1週間はさらに30分早く寝ます。30分早く寝る→日中の眠気やだるさなど様子をみる、を繰り返して、スッキリ起きられるようになり、午前中に過度な眠気もなくなり体調も良いようなら、それが自分にベストな睡眠時間です。

ちなみになぜいつもより「30分」の早寝をおすすめするかというと、眠りに落ちる準備時刻に関係があります。眠りに落ちるためには、深く眠る、そして適切な時間眠るための睡眠ホルモンであるメラトニンが十分に分泌され始めたり、活発に活動するための交感神経の働きが低下する必要があり、それが始まるのが、「いつも寝る時刻」の少し前、通常ですと1~2時間前だからです。

なので、いつもの2時間前、3時間前など就寝の時刻が早すぎるとこの準備時刻に達せず眠れないことが多いため、就寝時刻は30分~1時間早めるのが限界な場合が多いようです。ということで、「30分」が誰もが成功しやすい早寝の単位といえるでしょう。

一方で、いつもの2時間前、3時間前でも余裕で眠れる場合があります。この場合は極端に睡眠負債が貯まっている可能性が高いので、「早寝なんて無理」なんて悠長なことを言っている場合ではありません。緊急事態の「未病」対策だと思って、睡眠を第一に、一刻も早く、どんどん早寝をしてください。

こうしたコツを実践し、週末との睡眠時間の差が1時間以内になれば、睡眠負債もたまっていない状態になったといえます(2時間以内なら大丈夫という説もあります)。筆者は①②③を組み合わせて、2年近くかけてやっと週末との差が2時間になったので、次は1時間になるまでがんばろうと引き続き取組み中です。早寝にシフトしたプロセスは、前回(『実録!「禁酒」すると睡眠はどう変わるのか』)を参考にしてみてください。

会社に行ったり、家族の世話をしたり、いまの日本で社会生活を送っている以上、毎日ベストな睡眠時間を確保するのは簡単ではないはずです。また、睡眠負債はなるべく早く返し始めるに越したことはないので、早速今日や明日から3つのコツのうちできることから始めてみましょう。

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西川 ユカコ:睡眠改善インストラクター、昭和西川専務取締役

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