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2018.12.06

脳梗塞ってなんだろう?【スピード勝負の脳梗塞対策①】

KenCoM公式:ライター・緒方りえ

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家族や知人など、身近な人から「脳卒中で倒れた!」と報告を受けたことがある人は多いのではないでしょうか。しかし、入ってくる体験談の情報は様々で、脳卒中って結局どんな病気? どれが本当の症状なの? といまいち理解できてない場合も。
そこで今回は「脳梗塞」に焦点を当てて、東京済生会中央病院の星野晴彦先生にお話を伺ってきました。

星野晴彦(ほしの・はるひこ)先生

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1959年生まれ。1983年慶應義塾大学医学部卒業後、東京都済生会中央病院内科研修医として勤務。その後、専修医、医員。1989年米国クリーブランドクリニック神経内科、英国国立神経病院、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校神経内科およびアルツハイマー研究所で臨床研修。帰国後、東京都済生会中央病院神経内科副医長、神経内科医長。05年慶應義塾大学医学部神経内科講師、07年慶應義塾大学医学部神経内科・脳血管障害予防医学講座特別研究准教授、11年より東京都済生会中央病院内科部長・神経内科部長・脳卒中センター長。2018年より東京都済生会中央病院副院長。神経内科専門医、総合内科専門医、脳卒中学会専門医、頭痛専門医。専門領域は脳血管障害。2013年より公益社団法人日本脳卒中協会東京都支部長として、市民向け脳卒中の知識・予防セミナーを開催。

脳梗塞とは?簡単に説明すると

脳の血管の病気の中で、突然始まるようなエピソード(症状)を持つものを一般的に「脳卒中」と言い、その中の1つに「脳梗塞」という病気があります。それでは、この「脳卒中」と「脳梗塞」についてご説明しましょう。

①脳卒中についての基礎知識

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割合は、脳梗塞は64%、脳出血は約25%、くも膜下出血は9%という滋賀県での調査結果が有名です。脳卒中の中では脳梗塞が1番多いと言えますね。この結果は、済生会病院の1万人のデータベースとほぼ一緒の結果になっています。

②脳梗塞についての基礎知識

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ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は、脳の血管の動脈硬化によって血管がつまって起こる、脳血栓症のこと。心原性脳塞栓症は心臓の中でできた血栓(血の塊)が流れていって脳の血管を塞ぐような形で起こるものを言います。
ここでは詳しく説明しませんが、他にはモヤモヤ病や血管解離など珍しい病気もあります。

③どんな症状が出るの?

実は、脳のどの部位にダメージを受けたかによって症状は様々なものになります。なぜかと言うと、脳は部位ごとに司っている機能が違うからです。例えば、前頭葉の一部である運動野には身体を動かす運動神経があり、後頭部はものを見るための視覚野があったりします。
逆にいうと、脳梗塞であれ脳出血であれ、ダメージを受けた部位によって症状は一緒になるとも言えます。

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④自分で症状チェック!!

症状チェックでは、一番わかりやすい「FAST」をおすすめしています。

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これは、顔・腕・言葉にいきなり普段と違う症状が出たら脳卒中を疑いましょうというもの。
もちろん、これ以外の場所にも様々な症状が出る可能性があります。例えば、後頭葉にダメージがあると半盲(右側半分あるいは左側半分が右目でも左目でも見えない)になったり、右側半分の脳にダメージがあると感覚障害が出て身体の左側に痺れがでたり、小脳にダメージを受けると急にバランス感覚が悪くなったりもします。

何かちょっとおかしいな、と思ったら

脳卒中の難しいところは「この症状」と1つに決まっていないところですが、「少しでもおかしいなと感じる症状が出たら、できるだけ早く治療をしないといけません」というのは共通しています。
脳卒中の症状などについて詳しく知りたい方は、日本脳卒中協会のホームページなどを参考にしてみると良いでしょう。

次回は、TIA(一過性脳虚血発作)についてご説明します。

▼次回以降の記事はこちら!

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

(取材・文・撮影/緒方りえ)

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