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2018.11.22

転職の前に押さえたい「生涯賃金」という視点|退職金、年金はどうなる?

東洋経済オンライン

転職をするとき、「お金」よりも「60歳を超えても続けられるか」が重要になってくる(写真:Fast&Slow / PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/247476?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

転職をするとき、「お金」よりも「60歳を超えても続けられるか」が重要になってくる(写真:Fast&Slow / PIXTA)

転職市場が活発な昨今、より条件のいい会社に移りたいと考えている方もいるかもしれません。しかし、転職には意外な落とし穴もあるものです。

ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに、転職の損得について聞きました。

転職の相談を受ける際、「業界全体の給与水準が低い」「この職種は平均年収が安いから」といったことを言われることがあります。

確かに、業界などによって平均収入は異なりますが、職業の選択は収入だけで決められるわけではありません。やりがいや好きな仕事、得意な仕事もあるでしょうから、給与水準だけで考えるのは心配です。

ちなみに、転職後年収が上がったか、下がったかについては、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査2017」をみると、半数以上の人が年収が上がった、もしくは変わらなかったと答えています。ダウンした人も相当数います。一概に上がるとも下がるとも言えないようです。

転職1年目で年収が 10 %以上アップ…… 31 %
転職1年目で年収が 10 %以上ダウン…… 44 %
転職2年目で年収が 10 %以上アップ…… 39 %
転職2年目で年収が 10 %以上ダウン…… 42 %

ただし、人生100年時代を迎えて、今後は働く期間が延びていくと予測されています。

60歳を超えても続けていける仕事かどうか、楽しんで仕事ができるかどうか、という視点も大切です。生涯の収入で考えると、長く働けるほうが有利になります。

ただし、年金や退職金については転職すると不利になる面もあります。金額だけ考えるなら、その点も注意してみてください。

退職金・年金はどう変わる?

転職する際に考えたいのは、生涯賃金がどれくらい変わってくるかです。転職すると、現在の収入が変わるのはもちろんですが、将来受け取る退職金や年金額も変わってきます。

退職金は、その会社で長く勤め上げ、定年退職する人にとって厚い制度です。そのため、中途で退職したときは額が低かったり、勤続年数が少ないとゼロという場合もあります。また、自己都合退職か、会社都合退職かでも変わってきます。

少し古いものですが、厚生労働省の「平成25年就労条件総合調査結果」によると、同じ勤続年数20年以上かつ45歳以上の退職者であっても、大学卒の人が定年を迎えた場合、1941万円、一方、自己都合で退職した人の平均は1586万円と差がついています。

ただし、それ以前に退職金制度がない会社があることにも留意してください。

年金は、収入が上がれば増える

厚生年金の場合、年金額は収入によって変わりますので、収入が上がれば年金額も上がると考えてよいでしょう。

公的年金の不足を補うために、企業年金などに加入している場合には、計画が狂わないよう、注意が必要です。基本的に年金は、毎月積み立てて長い期間運用していくことで、将来の年金を増やすしくみになっています。そのため、途中で脱退したり、一時金として受け取らなければならなくなった場合、計画していたような年金受け取りができなくなります。自社の制度をよく調べる必要があります。

企業型の確定拠出年金に加入している場合、基本的には転職先に持ち運んで運用を続けられます。ただし、転職先に企業型の確定拠出年金制度がないケースもあります。

その場合、放置しておくと自動的に国民年金基金に移されてしまい、運用できなくなってしまいます。そうならないように、個人型の確定拠出年金(iDeCo)に移管して、自分で運用していくようにしましょう。

なお、企業型の確定拠出年金の場合には、加入したものの運用実績はチェックしていないという人も多くいます。いずれにしても、まずは自分がどのような制度に加入しているか、また現在どのようになっているかをチェックするべきでしょう。

会社で厚生年金基金に加入している場合も、原則として転職先が厚生年金基金に加入していれば持ち運ぶことができます。厚生年金基金に加入しているかどうかは、給与明細に「厚生年金保険料」のほかに「厚生年金基金保険料」が引かれているかどうかでわかります。引かれている場合、加入しているということなので、加入証を持っているかどうかも確認します。基金や会社などの規定で持ち運びができないケースもあるようです。

なお、転職時に厚生年金基金を持ち運ばない(持ち運べない)場合には、退職一時金を受け取ることになります。この場合、自分の年金を早期に受け取ることになるので、iDeCoに移管するなど対策をとるほうがよいでしょう。いずれにしても、自社の規定と転職先の規定もチェックする必要があります。

なお、次の仕事を見つけるまでに間が空いてしまった場合は、その間国民年金の加入手続きをするのをお忘れなく。間が空くと、その分年金も不利になります。

損しないための退職時のお金

最後に、損しないための退職時のお金についてまとめておきます。

退職金(退職手当)

会社の規定によって支払われます。ただし、自己都合退職、会社都合退職、病気・死亡などによる退職などの理由によっても変わってきますし、当然、仕事をしていた年数に応じても支払われる額は変わってきます。

失業給付金

失業状態のときにもらえる給付金です。主に会社員が加入する雇用保険から出るものです。

こちらも退職の理由や勤続年数、年齢によって変わってきますが、最長で330日分が給付されます。給付の額は、退職前賃金の50~80%程度です。

なお、雇用保険に入っていれば、早期に再就職することでもらえる「再就職手当」というものもあります。したがって、転職先のメドがついていても、退職をしたらハローワークでの手続きはしておいて損はないかもしれません。


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国民年金

1カ月当たり1万6340円(平成30年度)かかります。これは前払いすることで割引が適用されます。たとえば、「2年前納」すれば2年間で約1万5000円程度お得です。

なお、次の就職先が見つかるまで年金の加入手続きを忘れると、年金の加入期間が少なくなりますので、確認してください。

健康保険料

こちらは在職時の健康保険に引き続き加入する「任意継続被保険者」になるかどうかを選択します。任意継続にするには退職後20日以内に手続きをしなければならないことに気をつけてください。

住民税

会社にいるときは会社が納税してくれますが、退職したら自分で支払うことになります。前年の給料によって税額が変わります。

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横山 光昭:家計再生コンサルタント

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