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2018.11.19

メタボは病気?医師に聞くメタボに関わる5つの疑問

kencom監修医:石原藤樹先生

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kencomでも度々登場する、「メタボリックシンドローム(通称:メタボ)」についてどの程度ご存知ですか?

今回は石原先生に、メタボに関する素朴な疑問を投げかけてみました!

最近お腹が気になる方から、健康診断でひっかかった方まで、読んでみれば理解が深まるかも?

メタボで気になる5つの疑問

Q1:メタボって病気なの?

A:メタボリックシンドロームというのは、内臓脂肪の蓄積に伴って、血圧や血糖の上昇などの代謝異常が起こった状態で、まだ病気ではなく、病気の予備群とでも言える状態のことです。今メタボの健診(特定機能健診)で保健指導を行っているのは、糖尿病や心筋梗塞などの病気にならないように、生活を改善して予防するためなのです。

Q2:今は健康だと思うけどメタボは治すべき?

A:メタボリックシンドロームの状態では、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが、1.5〜2倍くらい増加すると報告されています。つまり、メタボリックシンドロームは心血管疾患のリスクなのです。特に今症状がなくても、生活改善が必要であるのはそのためです。

Q3:男性・女性で差はある?

A:今の日本のメタボリックシンドロームの基準では、腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上がメタボの条件となっています。この理由は日本での調査により、それが内臓脂肪100平方センチメートル以上とほぼ一致していたからです。ただ、アメリカのメタボの基準は、男性が90センチ以上で女性が80センチ以上ですから、日本と男女が逆転しているのです。

一方で心筋梗塞は女性より男性に多く、60歳を過ぎるとその差が縮小するという性別の差があることが知られています。

Q4:原因はなに?いつから何をすればよい

A:内臓脂肪が増加すると、血中の糖の量をコントロールするインスリンというホルモンの効きが悪くなります。これを「インスリン抵抗性」と呼んでいます。インスリン抵抗性は糖尿病のリスクを高めるだけでなく、動脈硬化を進行させることが分かっています。

メタボリックシンドロームが病気の予備群となるのは、インスリン抵抗性を高めて、動脈硬化を進行させることが、その主な原因なのです。
健康診断や特定健診で診断されたら、すぐに生活改善を始めましょう。

具体的には、定期的な運動の習慣を付け、食事は炭水化物の摂りすぎに注意して、野菜や果物、魚や豆類などを多く摂るように心がけましょう。脂の多い肉や揚げ物、菓子パンなどはなるべく控えるようにしましょう。タバコを吸われている方は、禁煙が一番の健康法です。

Q5:規則正しい生活ってはなぜ続けるのが難しい?

A:忙しい生活の中では、どうしても楽な方に流れがちです。巷には健康情報があふれている一方で、健康に悪い食べ物や習慣の宣伝も多いのも事実です。揚げ物やスナック、菓子パンが身体に良くないと言っても、不規則な生活の中では、どうしてもそうした食品が手軽で手に入り、味も美味しいので選びがちになります。また、運動は面倒なのでなかなか続かないという人も多いでしょう。
生活を急に大きく変えるのではなく、出来ることから1つずつ習慣にしていくことが良いのではないでしょうか。

メタボのアラートを、生活改善のきっかけにしよう

いかがでしたか?
気軽に「最近メタボ腹でさー」と言っていたことが、意外と大きな病気のリスクであることが分かったのではないでしょうか?

もしちょっとでも気になりだしたら食事や運動習慣の見直しから始めましょう!

監修医プロフィール

石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

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