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2018.11.03

溜まったストレスを思いっきりリフレッシュ!“心を整える旅”とは?

KenCoM編集部

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仕事やプライベートなど、日々多忙に過ごしている現代の私たち。
ストレスを感じる状態が続くことによって、心だけでなく体調面に不調が現れてしまう人もいます。そうなる前のメンタルケアの手法として、“旅行”に関する研究が進んでいるってご存知でしたか?
観光心理学を中心に研究を行っている立教大学の小口孝司先生に「旅からの心の健康」の在り方について伺いました。

小口孝司(おぐち・たかし)先生

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立教大学 現代心理学部心理学科教授
東京大学大学院社会学研究科社会心理学専攻博士課程修了、博士(社会学)。立教大学(社会学部)、日本労働研究機構、昭和女子大学、千葉大学を経て、立教大学現代心理学部心理学科教授。ジェームス・クック大学客員教授、パデュー大学客員研究員を歴任。主な著書として、『仕事のスキル』『社会心理学の基礎と応用』『観光の社会心理学』『よく分かる社会心理学』等がある。The Journal of Travel & Tourism Marketing等のEditor、日本観光研究学会常務理事等を務めている。

旅が与えるストレスへの効果とは?

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知っていますか?ストレスへの対処法

観光や旅によって、人が感じているストレスを軽減したり、より創造性を高められる可能性について研究しています。
過度なストレスを感じ続けていると、心や身体の不調としてでてしまう方もいます。

そうした深刻な不調が起こる前に行って欲しいこととして、私が提唱しているのが“メンタルヘルスツーリズム”です。
メンタルヘルスツーリズムとは、古来から日本で行われていた湯治のように、旅先での癒やしによって心の健康を取り戻す観光や旅行を言います。

実際に、ストレスが高いと感じている方々に千葉県の海洋療法(タラソテラピー)施設や農作業を体験してもらう実験を行い、日帰りや一泊のショートステイであっても、気分の向上やストレスの低減が認められ、旅によってストレス改善が有効であることが示されました。

※すでに診療を受けている方は、主治医と相談の上実行しましょう

“心を癒やす”効果的な休暇のとり方

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癒やしを実感できる。豊かな自然と溶け込む場所

メンタルヘルスツーリズムの研究により取り組むようになったのは、熊本県の黒川温泉へ行ったことがきっかけです。アクセスは不便な場所ですが、全国的にも大変人気のある温泉地として知られています。
この場所を全国有数の観光地にした立役者の方と出会い、旅行者の声を真摯に受け止め、温泉地を改善していく取り組みにとても感銘をうけました。
点在する温泉街を一つの街として楽しめるように、いくつもの旅館の温泉に入れる手形を作って温泉地を回れるようにしたばかりか、自然に溶け込む温泉、建物、さらには街づくりを追求されていたんです。
結果的に不便な場所にもかかわらず、旅行客が癒やしを実感し、リピーターとして何度も訪れる場所になっていました。

1ヶ月に一度、近場でリフレッシュするのが効果的

ストレスを感じている人々にとっては、自分が癒やされたと感じられる体験が大事です。
温泉や豊かな森林など、日本にはメンタルヘルスツーリズムに最適な場所があふれています。
そういった場所へ大体1ヶ月に一度ほどの頻度、距離としては100km圏内の場所へ旅することを薦めています。なぜかというと疲れているのに、電車や飛行機に何時間も乗ると、その移動自体がストレスになってしまうからです。
ですから、遠い場所よりは自宅から90分以内で行ける所を選んでみてください。

例えば関東なら、箱根や伊香保などはまさにベストな距離ですね。
また期間としてはなるべく長期で行くのが良いのですが、仕事や家庭があるとなかなか難しいので、日帰りでもいいのででかけてみてください。
旅による心理的ストレスのリフレッシュ効果は1ヶ月ほどで効果がなくなるので、私は1ヶ月に一度は自然を求めて旅行に行くようにしています。

お菓子のお土産も効果あり?!

旅行へ行ったとき、できればお土産を買ってみてください。ご自身への記念としてのお土産は、旅の楽しみを味わったり、思い出したりするのに役に立ちます。しかしそれ以上に、身の回りの方に配れるちょっとしたお菓子を買うのがおすすめです。配りやすいように、なるべく個別包装になっているものが良いです。
お菓子を配ると、配った人が幸せになれるということが私の研究からわかっているので、旅行に行った楽しい気持ちや思い出を周りの方におすそわけしてみてください。旅の効果がさらに高まりますよ。

メンタルヘルスツーリズムへの期待

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有給取得促進による生産性の向上

休暇を充実させることで個々が持つストレスを解放し、マイナスをゼロにするというポジティブな効果があれば、それは企業にとっても積極的に従業員の有給取得を促すきっかけになることでしょう。
人々が日々の活力を高めることができれば、ホワイトカラーの生産性向上も望めます。
観光や旅を効果的に取り入れるとストレスを軽減することに役立ち、働きながら生活が充実する方法であることは、まだそこまで知られていません。

セイバリングの能力を高めるのが鍵

近年、うつ病のようなメンタルヘルス不調の患者数は増えていて、厚生労働省の調査によれば平成26年には390万人を超えたという報告があります。
社会構造や労働条件など人々は大幅な変化を経験しており、そのような変化はストレスの増加を引き起こす原因となります。
このような背景から、メンタルヘルスに不調をきたす人数が増加しており、日本において大きな問題となっています。

私はそんなストレスが多い社会において、人々が持つ心理的なストレスを減らすために、旅行に行かれることと共に、セイバリングの能力を高めることを推奨しています。セイバリングとは、今やっているポジティブな経験を心から味わって楽しめることです。
このセイバリングが低いと、例えどんなに良い体験をしても体験を楽しめないので、体験の効果が低くなってしまうのです。

旅によって自然に触れ、様々な体験を楽しむことで心を整え、さらにそうした楽しみをより感じることができるようになれば、日々の充実に繋がりますし、さらには仕事の充実も図れます。

心をメンテナンスする旅へでよう!

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ストレス社会と言われる現代社会で生き抜くためにも、定期的に心のメンテナンスをしておきたいですね。
どうしても日本人は、限界まで我慢をしてしまいがち。
次におでかけの予定がある方は、近場で緑あふれるところを探してみてくださいね。
心身共に健康であるためにも、今一度「旅の在り方」について見直してみましょう!

▼参考文献

(撮影/平野晋子 取材・文/KenCoM編集部)