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2018.10.19

勉強に効く!受験戦争に負けない健康食事法|甲子園優勝校の食育担当が伝授する「勉強飯」

東洋経済オンライン

受験を勝ち抜くにはまず食事から考えよう(写真:PIXTA/Fast&Slow)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/243098?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

受験を勝ち抜くにはまず食事から考えよう(写真:PIXTA/Fast&Slow)

来年1月19・20日に実施される大学入試センター試験まで残すところ3カ月。受験生の皆さんは、迫りくる高い壁にプレッシャーを感じていることだろう。受験生の親御さんもまた、我が子にできることはないかと思っているに違いない。そこで、2017年夏の甲子園優勝校として知られる花咲徳栄高等学校の食育担当である會田友紀教諭が、本番に負けない「食事法」と「勉強飯」を紹介する。

社会に出れば、一発勝負の連続だ。受験は言わば、本気を出す練習なのだ。いざというときに結果を出すためにも、集中を切らさないことが大切。勉強に集中するためにも、食事は大切な要素の1つとなる。あなたが食べている物で頭脳と体は作られている! そう断言して差し支えない。

筆者が教諭として勤務する花咲徳栄高校では、さまざまな食育指導を推進してきた。2014年度より3年連続で文部科学省事業「スーパー食育スクール」の指定校となり、2017年には同省の「つながる食育推進事業」で高等学校唯一のモデル校となった。

その取り組みの一例として、本校独自で実施しているスタディメシ(略称:スタメシ)について紹介したい。

スタメシの一例:手前左から時計回りの順で、▼アサリとツナのスパゲティ▼タンドリーフィッシュ&新じゃがとアスパラガスのソテー▼パイナップル▼豆腐サラダ▼カボチャのポタージュ(筆者撮影)

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スタメシの一例:手前左から時計回りの順で、▼アサリとツナのスパゲティ▼タンドリーフィッシュ&新じゃがとアスパラガスのソテー▼パイナップル▼豆腐サラダ▼カボチャのポタージュ(筆者撮影)

食生活こそ勉強の基本

スタメシ:アサリとツナのスパゲティ(筆者撮影)。アサリは吸収率の高いヘム鉄が豊富、ツナにはDHAが豊富

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スタメシ:アサリとツナのスパゲティ(筆者撮影)。アサリは吸収率の高いヘム鉄が豊富、ツナにはDHAが豊富

昨今、アスリート選手が食事に着目するようになり、「スポーツ食育」というワードがよく聞かれるようになった。そうした流れもあり、筆者は運動だけでなく、学力向上にも食事が深く関わっていることを理解してほしくて「スタメシ」を考案した。名前のせいなのか、よくスタミナ飯(ガッツリ系)と勘違いされるが、スタディメシ=勉強飯と考えてもらえばいい。

そのコンセプトは、集中力や記憶力のアップにある。献立では、集中力や記憶力を向上させるといわれるDHAやレシチン、カルシウム、鉄分を強化している。

スタメシ:くるみをトッピングした「豆腐サラダ」(筆者撮影)。くるみには健康に良いとされるオメガ3脂肪酸がナッツの中ではもっとも豊富。オメガ3脂肪酸は動脈硬化を防ぎ、コレステロール値や中性脂肪値を下げるなど、生活習慣病の予防に効果がある

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スタメシ:くるみをトッピングした「豆腐サラダ」(筆者撮影)。くるみには健康に良いとされるオメガ3脂肪酸がナッツの中ではもっとも豊富。オメガ3脂肪酸は動脈硬化を防ぎ、コレステロール値や中性脂肪値を下げるなど、生活習慣病の予防に効果がある

たとえば、青魚に多く含まれるDHAや、ナッツ類(アーモンドやくるみなど)や大豆製品(豆腐や油揚げなど)に多く含まれるレシチンなどは、集中力や記憶力をアップさせるのに効果的な食材だ。

最近は、脳を健康にするとされる「ブレインフード」というものが注目されている。これは要するに、青魚、ナッツ類、カカオ、アボカドなどの食材のことである。

これらの食品に含まれるオメガ3脂肪酸などが、記憶力や集中力を高める効果について信頼性の高いデータが集まっている。また、脳と食事についての研究も進んでいるという。

スタメシ:タンドリーフィッシュ&新じゃがとアスパラガスのソテー(筆者撮影)。アスパラガスに含まれるアスパラギン酸は疲労回復の効果がある

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スタメシ:タンドリーフィッシュ&新じゃがとアスパラガスのソテー(筆者撮影)。アスパラガスに含まれるアスパラギン酸は疲労回復の効果がある

スタメシでは、魚を使用することが多い。ところが、高校生の魚離れは顕著だ。高校生には特に、魚の栄養やおいしさを知って、ぜひ積極的に摂取してもらいたい。最近ブームのサバ缶などは上手に活用するといい。

生徒たちを観察していると、朝食欠食や炭水化物のみ(おにぎり・パンだけ)で食事を済ませたり、お腹が空くとスナック菓子を食事代わりにしたりしている姿が多く見受けられる。「たくさん食べる=太る」という概念で、食事の量が圧倒的に少ない生徒がいることも気にかかる。

基本は毎日、バランスのいい食事(主食・主菜・副菜・汁物・乳製品・果物)を心掛けるべきだ。とはいえ、勉強に部活にバイトに……と忙しい高校生にとって、日々バランスのとれた食事を摂るのは難しいのが現状なのかもしれない。

勉強と一緒で効率が大切

疲労回復効果や集中力アップにはチョコレートがオススメだ(写真:PIXTA/kai)

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疲労回復効果や集中力アップにはチョコレートがオススメだ(写真:PIXTA/kai)

そうであれば、せめて注目の栄養素や食材を意識して摂るような姿勢を持ってほしい。小腹が空いたら、スナック菓子ではなく、ナッツ類やチョコレート(カカオが70%以上含まれている成分の高い物)を少量食べるなど、実践してみよう。

ちなみに、チョコレートには疲労回復効果や集中力アップが期待できるのでオススメだ。ただし、食べ過ぎには注意。1日20~30グラム程度を目安に摂るようにしよう。

食事は最低20分かけてよくかんで食べることも大切である。よくかむことは、脳が活性化されたり、胃腸の働きが良くなったりする効果が期待できるからだ。

勉強と同様、効率よく栄養素を摂取するには、栄養素の相性の良い組み合わせがあり、単独で摂取するより、吸収率がアップする食べ物がある。DHAは緑黄色野菜と、鉄分はビタミンCと、カルシウムはビタミンDやビタミンKと一緒に摂取することで相乗効果となるのでオススメだ。

本校には普通科とは別に食育実践科があり、筆者はそこで教えている。普通科は近年進学校として実績を上げ、食育実践科も食育指導の推進母体となって、調理師養成施設校として食育のリーダーを育成している。

実は、本校独自の取り組みであるスタメシは、食育実践科の生徒が献立を考案し、教員が修正を加える形で作っている。生徒たちは献立を考えるに当たり、栄養価計算も行い、エネルギー量は1000~1200キロカロリー、カルシウム量、鉄分量も1日に必要な3分の一から2分の一を目安にしている。

食育実践科の生徒が校内インターンシップとして、本校にある集団給食施設において、毎回150~170程度の食事を、冷凍食品を使わずに一から手作りしている。旬の食材や生の果物を使うことも心掛けている。

学校全体で食育に着目した取り組みが功を奏してか、硬式野球部が4年連続夏の甲子園出場、2017年は全国制覇を達成できた。また、レスリングや空手道、女子サッカーや女子硬式野球など、全国大会に出場する部活動も多い。

本番に負けない「アスメシ」

アスメシの一例:手前左から時計回りの順で、▼焼きうどん▼ツナサラダ巻き&がんも煮▼ピーマンの肉詰め焼き&ゴボウサラダ&生野菜▼玉子豆腐▼キウイフルーツ▼若竹汁(筆者撮影)

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アスメシの一例:手前左から時計回りの順で、▼焼きうどん▼ツナサラダ巻き&がんも煮▼ピーマンの肉詰め焼き&ゴボウサラダ&生野菜▼玉子豆腐▼キウイフルーツ▼若竹汁(筆者撮影)

「勝つための体づくり」を目指す運動部員に対しては、アスリートメシ(略称:アスメシ)を推奨している。これも生徒たちと一緒に作っている。NHKの番組「サラメシ」からヒントを得て、アスリートメシを短縮し「アスメシ」と命名した。そのコンセプトは、アスリートに必要な高タンパク質、カルシウム、鉄分の強化にある。

アスメシ:ツナサラダ巻き(筆者撮影)。酢飯を使用しているので、酢に含まれるクエン酸は疲労回復効果がある。冷めたご飯にはレジスタントスターチ(大腸に届くでんぷん)が含まれていて、食物繊維と同じ働きをする

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アスメシ:ツナサラダ巻き(筆者撮影)。酢飯を使用しているので、酢に含まれるクエン酸は疲労回復効果がある。冷めたご飯にはレジスタントスターチ(大腸に届くでんぷん)が含まれていて、食物繊維と同じ働きをする

アスメシの目的もスタメシと同様、バランスの良い食事(主食・主菜・副菜・汁物・乳製品・果物)を意識させることにある。体格や運動量の違いによって、この一食だけでは足りない生徒もいる。偏りのない理想的なバランスを理解させ、自分に足りない物を自分で補えるようになることを期待している。

かつてスポーツ界では、日頃から昼食に米3合を食べる「三合飯」というものが流行った。もちろん、炭水化物はエネルギー源となる大事な栄養素であり、否定するものではない。ただ、あくまで他の栄養素にも注目し、バランスよく食べることに重点をおく必要がある。

ピーマンにはビタミンCが豊富に含まれている(写真:PIXTA/MIKO)

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ピーマンにはビタミンCが豊富に含まれている(写真:PIXTA/MIKO)

特に鉄分が不足すると、持久力やスタミナがなくなり疲れやすくなるスポーツ貧血という問題が起こることにも気をつけなければならない。したがって、貧血を予防・改善するためには、鉄が多く含まれる食品の摂取(レバー・あさり・牛肉・マグロなど)はもちろんのこと、鉄分の吸収をアップしてくれるビタミンC(かんきつ類・野菜など)が多く含まれる食品と組み合わせて食べるよう指導している。

試合で力を発揮するためには、日常の身体づくりが基本になる。そこで、日頃の食事の調整がとても大切だ。アスリートにとって栄養(食事)とトレーニング(運動)のバランスが崩れると、怪我や故障の原因となるからである。良いパフォーマンスのためには、3度の食事の他に補食をオススメする。

補食とは、朝・昼・夕の3食だけでは摂取しきれないエネルギーと栄養素を満たすための食事のことを言う。運動前や運動後、適した時間と内容の補食を摂取することが重要になる。運動前にはグリコーゲンの原料である炭水化物を、運動後はできるだけ早いうち(30~1時間以内)に炭水化物とタンパク質を摂ることが理想だ。

バランスのいい食事をとって受験に備えよう

筆者が勤める花咲徳栄高校。1982年開校。普通科・食育実践科あわせて2万人を超える卒業生を輩出し、文化、教育、芸術、スポーツ、調理など、世界を舞台に活躍している(写真:花咲徳栄高校)

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筆者が勤める花咲徳栄高校。1982年開校。普通科・食育実践科あわせて2万人を超える卒業生を輩出し、文化、教育、芸術、スポーツ、調理など、世界を舞台に活躍している(写真:花咲徳栄高校)

運動中の主なエネルギー源は、血中のグルコース(血糖)と筋肉・肝臓に貯蔵されているグリコーゲン。これらが不足すると空腹感・疲労感を起こしやすく、集中力が落ちるなどパフォーマンス低下の一因となり、運動時の体タンパク質の分解も多くなる。しかし、運動後、すみやかに炭水化物を摂取すると、何も摂取しなかった場合より運動後の筋タンパク質の分解が少ないことがわかっている。

「試合に負けない=良いパフォーマンス」のためには、トレーニングの内容だけでなく、栄養面をしっかり考えた食事の摂取が、最強のパフォーマンスにつながるということになる。それは勉強でも同じことだ。

受験生の皆さんには、ぜひバランスのいい食事を心掛けてもらい、勉強を頑張ってほしい。そして、受験生の親御さんは、お子さんが少しでも勉強に集中できるよう、バランスのいい食事を提供してあげてほしい。

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會田 友紀:花咲徳栄高等学校教諭

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