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2018.09.29

激痛が突然身体を襲う!?痛風発作とは【痛風を防ぐ#1】

KenCoM公式:ライター・緒方りえ

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現在、痛風で悩む国民は100万人近くに上り、その予備軍は1000万人以上と推定されています。そして、この痛風という病気がさまざまな生活習慣と関係していることはみなさんもご存知でしょう。
痛風は尿酸が体内にたまり、それをキッカケに激しい関節炎を引き起こす病気です。そこでまず皆さんに知っていただきたいのは、この激しい痛みを伴う痛風発作とはどんなものなのかということ。その症状についてご説明します。
今回お話をしてくださったのは、東京慈恵会医科大学名誉教授で慢性腎臓病病態治療学を指導する細谷龍男(ほそや・たつお)先生です。

細谷龍男(ほそや・たつお)先生

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東京慈恵会医科大学 名誉教授

【プロフィール】
1974年に東京慈恵会医科大学を卒業。78年同大学院を卒業。79年より同大学第二内科講師に就任。96年には同大学第二内科助教授、97年には第二内科主任教授に就任。2000年から講座改編により、同大学内科学講座(腎臓・高血圧内科)教授に就任。2013年4月より現職。高尿酸血症に対する治療ガイドラインをはじめとしたさまざまなガイドラインの策定に携わり、同分野のリーダー的存在。

痛風、その代表的な症状は『痛風発作』

最初のうちは症状なく進むのに、ある日突然襲ってくる痛風発作の激痛。風が吹いても痛いなんて言う人もいますが、いったい身体の中でどんなことが起こっているのでしょうか。

解説!痛風発作が起こるメカニズム

なぜ、痛風発作は痛いのか。先生にわかり易くまとめていただいたので、こちらのイラストを参考にしてください。

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尿酸塩結晶が溜まりやすい場所とは

ダントツで多いのが足の親指の関節。初発症状の7割を占めています。
なぜ足の親指に溜まりやすいのかというと、身体の末梢(心臓から遠い場所)にあって温度が冷えやすく、尿酸が溶けにくい場所だからです。しかも、足の親指は体重などの圧がかかるため、滑膜に溜まっていた尿酸が剥がれ落ちやすいと言えます。
そして、尿酸は尿中でも溶けにくい物質です。長い間放置すると、尿路結石や腎障害を起こすこともあります。
意外な場所で言うと、耳も尿酸が溜まりやすい場所です。私たちが熱いものを触った時に耳たぶを触ったりしますが、それはつまり温度が低い場所だからです。

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関節の痛みはどれくらい続くのか

だいたい1週間〜10日で治ることが多いでしょう。痛みが落ち着くメカニズムは複雑なので説明は省略しますが、痛みのピーク時は歩けないどころか靴も履けないような状態になります。そして、1週間くらいかけて徐々に痛みが引いてきてケロっと落ち着くのです。
このような経過を辿るため、あんなに苦しんだのに「なぜか良くなっちゃったからいいかな」とまた放置して同じような生活をしてしまう人もいます。

痛風発作の前兆はあるのか

痛風発作には前兆があると言われていますが、何度か発作を起こしている人でなければ気づけないことの方が多いでしょう。関節の違和感があったり、靴の当たりが違う等の変な感じが2〜3日前からある時に「いよいよ痛風発作が来るな」とわかる人もいます。
また、皮膚にポコっと小さなコブができて気づく場合もあります。

痛風発作を繰り返すと……

発作と発作の間隔が短くなってきます。尿酸値をコントロールできていないと、最初のうちは痛風発作が1年以上なかったような人でも、3ヶ月に1回、月に2回と徐々に頻度が増えてくるのです。
繰り返し痛風発作を起こすと、関節が変な方向に曲がったまま変形してしまったり、動かしづらくなってしまう人もいるので要注意。また、最初は足の親指だけだったのが、他の関節でも発作が起こるようになる場合もあります。

痛風発作を繰り返さない

いかがでしたか?
今回は、痛風発作のメカニズムと特徴について詳しくお話ししました。経験したことがある人にしかわからない痛さは恐怖そのもの。これから痛風発作を起こさないためにも、しっかりと自分の身体の状態を把握する必要があります。
次回は「尿酸値とプリン体」についてご説明します。

■痛風をもっと知るならこちらから!

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

(撮影/KenCoM編集部 取材・文/緒方りえ)

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