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2018.08.30

脂肪肝の原因を取り除く方法【身近に潜む病気『脂肪肝』を斬る!#3】

KenCoM公式:ライター・緒方りえ

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肝臓に脂肪が溜まってフォアグラ状態になってしまう脂肪肝。少し前まではアルコール性脂肪肝が注目されていて、お酒を飲まない人は脂肪肝になることなんて無いのではないかと言われていました。
しかし最近は、お酒を飲まなくても脂肪肝になる非アルコール性脂肪肝の存在がわかってきました。

今回のインタビューでは、脂肪肝の予防・改善に向けたダイエットのコツと、先生の体験談をお聞きしています。

お話をしてくださったのは新百合ヶ丘総合病院の消化器・肝臓病研究所所長の井廻道夫先生です。

自分の脂肪肝の進行度を知ろう

脂肪肝は生活習慣を改善せずに放置していると、どんどん進行していきます。
ここでは脂肪肝の先にある病気は何か、自分の脂肪肝はどれくらい進行しているのか、について解説します。
すでに検診で脂肪肝を指摘されている人は特に注意してください。

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肥満によって脂肪肝が引き起こされると、そのうちの約10%は脂肪肝炎という状態になります。さらには、肝硬変や肝がんに至る人もいます。
脂肪肝炎の場合、線維化(炎症して壊れたところを補充する形で、線維やコラーゲンが肝臓に溜まって肝臓が硬くなること)が進行して、肝硬変になる前に肝がんになる場合も。

そして、肝硬変まで進むと25%の割合で肝がんになります。逆に、肝硬変まで進行していなければ改善できる可能性があります。

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血液検査のデータがわかる人は、自分の肝臓がどれくらい線維化しているのかを計算することができます。

FIB-4 index=AST×年齢/(血小板×√ALT)

計算が苦手な人は、数値を当てはめれば簡単に計算結果がわかるサイトがありますので「FIB-4 index」で検索してみてください。

線維化が進行していないうちなら、まだ引き返せる!

一般的に、脂肪肝の線維化が進行していないうちに治療を開始すれば、改善や完治が期待できると言われています。では、どのようなことを心がければ良いのでしょうか。

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海外では非アルコール性脂肪肝炎に効く薬の治験が行われていますが、まだ評価に乏しいと言えます。というのも治験を行うと生活習慣自体を改善してしまう人が多いので、プラセボ効果での改善も多いのです。
つまり、生活習慣を見直すことは脂肪肝の改善が期待できるとも言えます。

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体重が数キロ減るだけで、脂肪肝の改善がかなり期待できます。

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日本人は飲酒などに対する代謝が低く、23以下にしないと脂肪肝が改善しない人も多いのです。
また、家族が脂肪肝だと体質が遺伝することがあるので注意してください。遺伝性の場合も、自分の努力(太らない、糖尿病の治療をする等)で脂肪肝を予防・改善できます。

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脂肪肝の治療では、減量することが一番大切です。運動しなかった日や食べ過ぎてしまった翌日でも、怖がらずに体重計に乗るようにしましょう。
食事面では、腹八分目以下を心がけると良いことは皆さんもご存知でしょう。注意していただきたいのは、最近流行りの低糖質ダイエットを行なう場合は肉ばかりを食べ過ぎないようにすること。肉などに含まれる飽和脂肪酸が身体の中に多くなると、動脈硬化を促進することもあるのです。やはりバランス良く食べる量を減らすことが大切です。
運動量の目安としては(少し教科書的になってしまいますが)、有酸素運動を毎日20分以上行うことを目標にしましょう。運動中の心拍数の目安は計算式を参考にしてください。

目標心拍数 = (220 - 年齢) × 60 〜 70%

油断できない!先生の経験談

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BMI=25をこえると50%、BMI=30をこえると80%は脂肪肝の可能性があります。

例え身体の隅々に脂肪の蓄えが無くても肝臓に脂肪が溜まりやすい体質の人は、標準体型であっても脂肪肝になってしまいます。アルコールを飲まないし痩せているのに、超音波エコー検査や血液検査をすると実は脂肪肝だったという人もいるのです。

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減量中はタンパク質が減らないように食事バランスを気にかけ、脂肪や炭水化物を少なめにしました。例えば、毎食の炭水化物を減らすために小さいお茶碗に替え、外食時の麺類は残すようにしました。
また、食べる順番を工夫することもダイエットに効果的。野菜→タンパク質→炭水化物の順が良いでしょう。野菜などの繊維性のものから食べることで、血糖値の上昇や脂肪の吸収が穏やかになります。
注意することは、カボチャやトウモロコシ等のように実は炭水化物である野菜もあるということです。

私はBMI=23で脂肪肝と判明して、BMI=22.5までダイエットを行ったら肝機能が正常になり脂肪肝も改善されました。たった0.5の差でこんなにも改善できるということを実体験することができたのです。
脂肪肝は個人差があるので、まずは自分の検査数値を知ってから、医師と相談しつつ改善していけば良いと思います。

脂肪肝は原因が取り除かれることで治る病気!

とにもかくにも、脂肪肝のうちにダイエットをすることがとても大切!
次の病気に進まないためにも早めの対処をしましょう。

脂肪肝の原因は余った脂肪。それを取り除くためにはしっかり体重を測ってBMI=25〜23以下にすること!
コツコツ努力をすることで、不規則な生活習慣のリバウンドを防ぎましょう。

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井廻道夫(いまわり・みちお)先生

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新百合ヶ丘総合病院 消化器・肝臓病研究所 所長

【プロフィール】
1972年東京大学医学部を卒業。1991年東京大学医学部第三内科助教授に就任。1993年自治医科大学消化器内科教授に就任。2003年昭和大学医学部第二内科教授に就任。2008年昭和大学医学部内科学講座消化器内科学部門教授に就任。2012年自治医科大学名誉教授に就任。現在は新百合ケ丘総合病院消化器・肝臓病研究所所長として活躍。日本内科学会認定内科医・指導医、日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医、日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医。モットーは患者さんには優しく接し、最高の医療を提供すること。

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

(撮影/KenCoM編集部 取材・文/緒方りえ)