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2018.08.15

「お墓参り」知らないと恥ずかしい基本の基本|トゲや花粉のある花を供えるのは要注意

東洋経済オンライン

「お墓参り」の正しいマナーを、ちゃんと知っていますか?(写真:千和/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/233469?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

「お墓参り」の正しいマナーを、ちゃんと知っていますか?(写真:千和/PIXTA)

現在、日本の民俗行事である「お盆」は8月15日を中心に行われています。

もともとは旧暦の7月15日を中心に行われており、7月13日の迎え盆から7月16日の送り盆までは商いや農作業を休み、ご先祖を思い感謝する期間として伝えられています。

「お盆の季節」が地域によって異なる理由

お盆の過ごし方は全国共通ではなく、地域や、宗教・宗派などによって異なります。仏壇の前に盆棚・精霊棚といわれる棚を設置するケースが多いのですが、机を置くだけの簡単なものから、机の周囲に四本の竹を立ててその周囲をわらの縄でつなぎムシロを敷いたもの、また、やぐらのように大がかりなものまでさまざまあります。

盆棚の正面には、先祖代々の位牌を並べ、その周囲にたくさんのご馳走が並びます。キュウリやナス、大豆、スイカなど季節の野菜が中心で、キュウリとナスにいたっては、「ご先祖が馬にのって早く帰ってくるように」「牛にのってゆっくりお帰りください」という願いを込めて、馬牛のカタチにみたてた形で置かれます。

お盆は旧暦の7月(現在の8月中旬頃)とされており、七夕から中元、お盆へと続く一連の行事の中にありました。ところが、旧暦から新暦に移行する際に、お盆の時期にズレが生じました。

1873年(明治6年)に新暦に移行した際、明治政府のお膝元であった東京は暦の変化に合わせてお盆の時期を新暦の7月にずらしました。しかし、新暦の7月は農作業の繁忙期に当たります。東京以外の多くの地域では、あわただしい時期にのんびりと、お盆行事をしている余裕はありません。

そこで一部の地域では、旧暦のお盆に近い一カ月遅れの新暦8月15日をお盆としたわけです。

東京以外では、沖縄などで現在も旧暦どおりの暦でお盆行事が行われています。そうした旧暦採用地域の場合、お盆の時期は新暦の固定スケジュールではなく、毎年少しずつ日程が異なります。

お墓参りする上で「知っておきたい2つのこと」

お盆が近づくと、葬儀業界で働く筆者は「お墓参りの正しいマナー」についてよく尋ねられます。ですが、お墓参りに「こうしなければならない」という厳密なルールは、ほとんどありません。

もちろん墓地・霊園の管理規約等にそって禁止されていることは避けたほうがいいでしょう。寺院墓地の場合は、境内に入ったらご本尊に一礼するとか、宗教・宗派にそった作法で行うなどの決まりごとはあります。

ですが、「掃除の手順」や墓参りの「日程や時間帯」などを気にしすぎる必要はありません。

知っておきたいことその1:墓石の洗い方について

ただし、「墓石に水をかけるか、かけないか」は是非がわかれます。墓石に水をかける派は、「仏様に水を手向ける」「墓石を清める」という意味からOKとし、水をかけない派は「冷や水を浴びせる」ことにつながるのではという考えからNGとしています。

水をかけることの是非はさておき、墓石をクリーンにするという意味では、まずは水で汚れを洗い流し、水をたっぷりと含ませた柔らかい素材のスポンジなどで丁寧に汚れを取り除いていくのがお手入れ方法の基本です。

知っておきたいことその2:墓石に供えるお花について

墓前にお供えする花は、長持ちする花が好まれます。菊が定番になっているのは、リーズナブルで手に入れやすいというほかに、長持ちするという理由からでしょう。

仏教では如来の精神や知恵を表す青(緑)、黄、赤、白、黒(紫)の五色が揃うと教義にそった色合いになりますが、基本的には日持ちのする花であれば、和花・洋花問わず好みの花を選んでかまいません。

一方で、毒性のある花や香りの強い花は「相手を攻撃するという意味」から避けたほうがいいという説もあります。しかし、異臭や毒性の強いヒガンバナは遺体を動物から守るという意味で、墓地周囲に植えられていた形跡があちらこちらにありますし、水仙やカラーなど毒性のある花は市販の切り花でいくらでも存在します。また、香りにいたってはまったく根拠がなく、香りが強い花がダメなら、ユリ、フリージア、ヒヤシンスなどのほか、仏花といわれる菊さえもNGになります。

さらに仏教で使われる樒(シキミ)という植物は、香りが強く、全株が有毒成分です。特に果実の中の果皮は、有毒成分が多く「悪しき実」と呼ばれ、そこからシキミと言われるようになったほど。シキミの有毒成分や香りが、死体の臭いを消し、墓地を外敵から守る意味で古くから樒はお供えに使用されてきましたから、香りや毒のある花はむしろ歓迎されていたのかもしれません。

そのほかに、注意したほうが良いのはトゲや花粉です。近年バラは供花として定番になっていますが、清掃員が枯れたバラを撤去する際にトゲでケガをしてしまうケースが多発しています。バラを供花するにしても、トゲの部分を取り除いてお供えするといった配慮が欲しいところです。

ユリなどについている大きな花粉は、墓石に落ちて放置されるとシミになってしまうため、あらかじめ取り除いておくか、カットしてからお供えすると良いでしょう。

お盆は正月と並ぶ日本の行事のひとつで、日本では7世紀頃から都に住む貴族たちの間で行われていたという記録があります。現代まで形を変えながら続いているお盆の行事。他の冠婚葬祭の慣習と同様、簡素化が進み、地域による特色が少しずつ失われつつあります。今後、またルールやマナーが変化していくかもしれません。

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吉川 美津子:葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント

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