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2018.08.01

注意!会社員がやりがちな「法・規則違反」行動|「ちょっとした悪さ」がとんでもない事態に

東洋経済オンライン

喫茶店で時間を潰していたのにウソの報告をしたら、服務規律違反で懲戒の対象になる場合もあります (写真:さわだゆたか / PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/230971?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

喫茶店で時間を潰していたのにウソの報告をしたら、服務規律違反で懲戒の対象になる場合もあります (写真:さわだゆたか / PIXTA)

多くの新入社員は仕事にも慣れ、1人で行動する機会が増えているだろう。

それに伴って、「営業に行ったフリをして喫茶店でサボる」といった”裏技”を覚えてしまった人もいるのではないだろか。また、親しくなった取引先などに、ついつい社内情報を話してしまったりしていないだろうか。



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軽い気持ちかもしれないが、実はそうした行動は、場合によっては、懲戒処分の対象となる場合がある。

そこで今回は、会社員として「やってはいけないこと」についてまとめた。許されると思っていても厳密には法に触れる行為も少なくない。ぜひ本稿を読んで、参考にしてほしい。

まずは、最も怖い法律違反からみてみよう。

軽い気持ちでも刑事罰や懲戒処分の対象になる

「法律違反と一言で言っても、問われる責任には、『刑事責任』と『民事責任』の2つがあります」と話すのは、フォーサイト総合法律事務所の由木竜太弁護士だ。

刑事責任は、罰金や懲役など具体的な刑事罰を伴う責任だ。窃盗、恐喝、詐欺などを思い浮かべる人が多いだろう。身近なところでは交通違反が挙げられる。

「罪刑法定主義という憲法上の理念があります。これは、犯罪者として処罰するためには、法律によってあらかじめ罪(構成要件)と罰を明確にしておかなければならないというものです。だから刑事責任を伴う行為については、『法的にやってはいけないこと』という整理ができると思います」(由木氏)

たとえば、オフィスのトイレからトイレットペーパーを盗めば、刑法で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と決められているので、窃盗罪にあたる。

「このようにやってはいけないと定めていることを構成要件といいます。刑法では構成要件に当たらないかぎりは、基本的には違法にはならないわけです」(由木氏)

それに対して、「民事責任」は、一言で言えば、被った損害をお金で賠償することで、不法行為や債務不履行がそれに当たる。不法行為は、故意、または過失によって損害を与えること。パワハラや横領などが典型だ。

債務不履行は契約で決められたことを守らないこと。「支払いを頼まれていたのに忘れていた」「納期を勘違いしていて納品が遅れた」……こんなうっかりミスでも損害賠償請求をされる可能性がある。

職業や立場によっても「やってはいけない」は違ってくる。典型は守秘義務だ。

「たとえば、弁護士は弁護士法で、税理士は税理士法で定められた守秘義務を負っていますが、サラリーマンの守秘義務を定めた法律はありません。ですが、サラリーマンであっても法的な守秘義務を負うケースはあります」(由木氏)

うっかりミスで損害賠償請求という事態も

“法律上の守秘義務”はないが、“法的な守秘義務”はある。何だかややこしいが、その拠り所となるのは就業規則だ。就業規則は、残業や休暇など労働条件に関する部分と、組織の秩序を守るために必要なルールから構成されている。ルールを守らなかった場合には、厳重注意や譴責(けんせき)、出勤停止、解雇といった罰則があることについても規定しているのが一般的だ。

サラリーマンは、入社する時に、会社に対して就業規則を守るという契約をしている。その中に、守秘義務があれば、当然、それも守らなければいけない。就業規則としての守秘義務を守ることが、法的な守秘義務にあたる。仮に違反すれば、会社の処罰の対象になるし、賠償請求されることもある。

守秘義務違反の多くは、刑事罰にはならない。しかし、そうなるときもある。

「インサイダー取引に関する情報漏洩は、一般サラリーマンでも刑事罰の対象になることもあります」(由木氏)

JPX(日本取引所グループ)のホームページによると、インサイダー取引とは、「上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社の株式等を売買する行為」と説明されている。そしてインサイダー取引をしていたと裁判で認定されれば、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。

「上場会社の関係者」と聞くと、職位が上の人たちと考えるかもしれないが、一般社員はもちろん、アルバイトから取引先、従業員の家族、取材で訪れた記者などさまざまな人が含まれる。

「投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報」は、合併情報、新製品情報、不祥事、業績など、公表されれば株式等の価格に影響する情報のこと。上司や同僚などと、当たり前のように交わしている話、飲み会の席で聞いた話などが、インサイダー情報にあたることもある。

インサイダー情報があれば、値上がりが期待できる株式等を購入して儲けたり、値下がりしそうな株式等を売却して損を避けたりできる。一部の人だけが、このように得をすることは許されない。だから厳しく規制されているわけだ。

仮に、インサイダー取引のつもりがなくても、情報が公開される前に、その情報を知って株式等の売買をすれば、インサイダー取引の疑いをかけられる可能性もある。

「上場企業なら、たとえば、『自社株の売買をするときは関係部署にお伺いを立てる』『決算発表の前後は自社株の売買禁止』など、就業規則の中にインサイダー取引防止規程があるはずなので、それに従うことが基本」(由木氏)

就業規則のインサイダー取引防止規程に反する売買を行っても、必ずしも法律違反にはならない。しかし、就業規則に反したということで、社内の罰則の対象にはなる。

最も注意してほしいのが情報漏洩だ。自分は株式等の売買にかかわっていなくても、自分が漏らした情報によって売買がなされれば、インサイダー取引同様の罰則を科せられることもある。取引先や友人に、社内情報を聞かれて、うっかり漏らせば、刑事罰を科せられることもありうるので、話す内容は慎重に選びたい。ましてSNSなどに書き込むなど言語道断だ。

白紙の領収書を使って会社に請求すると詐欺罪に

最後に、日常的にやりそうな「やってはいけない」をまとめた。

まずは、営業担当者がウソの日報を書いてしまうとどうなるか。「アポが取れなかったので行き先がない。喫茶店で時間を潰していたが、日報には数社回ったとウソを書いた」……。こんなケースが考えられる。

軽い気持ちでやってしまうと、結構罪は重い。事実と異なることを書いているうえに、働いていないのに給与をもらっている。加えて、つじつま合わせのために行ってもいない場所の交通費をもらっていることもあるだろう。いずれも服務規律に違反しているし、詐欺に該当する可能性もある。理屈でいえば、1回のウソで懲戒処分になっても仕方がない。それほど重大な服務規律の違反になるのだ。

ちょっとした経費をごまかす、という話を聞いたことのある新人もいるかもしれない。たとえば、喫茶店代や飲み代。同僚、あるいは友人知人などと利用しただけなのに、取引先との打ち合わせや接待のフリをする。

安い電車代のルートで出掛けたのに、高い電車代のルートを使ったフリをする。プライベートで購入した本の代金を資料と偽って請求する……。こうしたケースは、いずれも厳密には横領や詐欺に該当する。

「領収書下さい」と頼むと、ときどき出てくる白紙の領収書。あれを使うとどうなるのだろうか? まず、白紙の領収書に、自分で数字を書き込めば文書偽造に該当する可能性がある。もし、違う価格を書いて、それを経理などに回せば、横領や詐欺に該当することもある。また、発行した側、もらった側ともに税法違反の問題が付きまとうという。

「中でも日常的にお金を扱う仕事についている人は、より罰則が厳しくなります。バスの運転手が2000円程度の売り上げを着服して、懲戒解雇が認められた裁判例もあるくらいです」(由木氏)

額が小さくても、仮に周りがやっていたとしても就業規則違反はダメ。場合によっては犯罪にもなる。そんなささいな不正で懲戒解雇になったら目も当てられない。

いずれにしても、「やってはいけない」ことのリスクは、やったことに見合わないほど高いことを認識すべきだろう。気を引き締める意味でも、あらためて就業規則に目を通して、社会人としての自覚を高めておきたいものだ。

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竹内 三保子:カデナクリエイト

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