メニュー

2018.08.10

驚異的な猛威をふるう熱中症!今更聞けない熱中症の基本

KenCoM編集部

全国的に40℃近くにのぼる異常気象の影響で、体調を崩している人が増えています。中でも熱中症はその代表核。脱水症状をはじめ、重くなると意識を失って命に関わることもある怖い病です。

KenCoM監修医の石原藤樹(いしはら・ふじき)先生に、熱中症とはそもそも何か、また私たちは各々がどう対策するべきなのかについて教えていただきました。

「熱中症」とは、そもそも何!?

記事画像

石原先生「熱中症とは、高い温度と湿度の環境に人間の身体が適応できなくて、様々な症状を起こしてしまう病気のことを言います。

人の身体の深部温度(内臓の温度)は、どんなに寒い場所や暑い場所にいたとしても、37℃程度に常に保たれています。しかし、あまりの暑さではその体温の調節機能が正しく機能しなくなり、深部温度は高くなります。すると体内で様々な不調が生じてしまうのです。

深部温度が41度を超えてしまうと、体内のタンパク質の変質を引き起こし、死に至ります。自ら出す熱の場合は42度でも変性は起きませんが、外的な要因によって熱せられてしまうと、こういった事態に陥るのです」

どんな症状が引き起こされるのか?

石原先生「熱中症の主な症状は、めまい、頭痛、吐き気、筋肉のけいれん(特に足がつるなど)、身体全体が熱い、発熱、意識がなくなる、などです。そしてひどい場合には死に至ることもある怖い病気です。

また熱中症には、その症状によって一度から三度までの度合いに分けられます。具体的な内容については、次の記事で詳しくご紹介します」

人は汗をかくことで体温を下げている

石原先生「熱中症において欠かせないのが、汗との関係性です。汗は身体の深部温度を37度に保つために、外気によって温められることで体内から放出し、それが肌の表面で気化するときに、同時に熱を発散しています。

つまり乾燥していたり風通しのよい場所では、汗はすぐに気化しますので、体温を下げやすく熱中症にかかりにくいわけです。しかし、高温多湿な場所ではその気化現象が起こりにくく、いつまでたっても汗がひかずに熱が発散できないため、内側にこもってしまうのです。また特に多湿な環境では、気温が高くなくても熱中症になりやすいので注意しましょう。

また、脱水症状の場合も、体内に汗として出せる水分が足りていないため、汗をかくことができず、体温を下げることができない状態です。汗をかくためにも水分補給は必要です」

熱中症を防ぐために今すぐできる3つのこと

①水分をとる!喉が渇いたらでいい!

記事画像

石原先生「よく『喉が渇く前に水分をとるほうがよい』と言われることもありますが、これは間違いです。喉が渇くということは、身体が水分を欲しているわけで、その乾きがなくなるまで飲むのが身体にとっての必要な量だと言えます。逆に水を飲み過ぎてしまうことで、体内の電解質のバランスが乱れます。それがひどい場合は、低ナトリウム症といって、死に至ることもあります。

高齢の方で調節機能が低下している場合には一定の意味があります。しかし、乾いたから飲むということをしなくなると、身体にとって必要かどうかわからなくなってしまうので、喉が乾いたら水分をとるように意識していただければ問題ありません」

②1日に2時間ほどクーリングする

記事画像

石原先生「クーラーの効いた部屋で身体を冷やすことをクーリングといいます。高齢の方は体温の調節機能が低下しているため、特に気を付けましょう。少しでも身体が熱いなと感じたら皮膚温度を下げることが大切です。また、1日2時間は身体を冷やすことが熱中症予防には効果的だと言われています。

さらに、病気で薬を飲まれている場合は意識的にクーリングを行いましょう。血圧の薬やかぜ薬などにはコリン作用といって汗を出しにくくする作用のあるものがあります。すると熱に対する順応力が弱くなり、汗をかきにくくなるので、普通よりも熱中症になりやすくなります」

③暑さに身体を徐々に順応させる

記事画像

石原先生「熱中症の対策で、水分補給や身体を冷やすほかに大切なことが、身体を慣れさせることです。それによって熱中症にかかりにくくなります。

人間の身体は、徐々に慣れさせていけば外気温に対しても順応できる力があり、スポーツ選手なども海外試合などのときにはその環境に合わせるために、早めに現地に入って身体を慣れさせる訓練を行っています。

夏の暑さに慣れさせるためには、外(高温多湿の場所)に1時間いることから始めて、徐々にその時間を増やしていくのが有効です。なるべく同じ環境で、同じことをし続けると順応力が高まっていきます。ただし、無理は禁物ですよ。辛いと感じたらクーラーの効いた場所に入って身体を冷やすようにしましょう」

もしも熱中症になってしまったら!?

ここまでは、熱中症がなぜ起きてしまうのか、またその予防策についてご紹介しました。

もはや他人事ではなく、誰にでも起こりうる熱中症。では、実際になってしまったらどうしたらよいのでしょうか?次の記事では、熱中症の重症度別の具体的な症状と、その対策方法についてお伝えします。

監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

(取材・文/KenCoM編集部)