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2018.08.12

皮膚科医に聞いた!紫外線の脅威から身を守る方法【紫外線の脅威②】

KenCoM編集部

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前回の記事では、emiスキンクリニックの中﨑恵美先生に、紫外線によってもたらされる脅威について、教えてもらいました。

ここでは、紫外線から身を守るために私たちができる具体的な対策方法をご紹介してきます。引き続き中﨑先生にお話を伺います。

紫外線から肌を守るためにやるべきこと

中﨑先生「ここからは紫外線が与える脅威から肌を守るための対策についてです。特に有効な日焼け止めの正しい選び方や使い方を中心に、その他の対策方法も合わせてご紹介します」

対策①日焼け止め:「SPF30、PA++以上」をたっぷり使おう!

中﨑先生「紫外線に対してすぐにできる簡単な対策は、ご存知の通り、日焼け止めを使うことです。日焼け止めには『吸収剤』や『散乱剤』という成分が入っていて、紫外線対策にはとても有効だからです。

吸収剤は、紫外線を吸収するというもの。皮膚荒れを起こしやすいと言われていますが、最近のものは改良されているものも多くきちんとしたものを選べば問題ありません。散乱剤は、紫外線を跳ね返すもの。しかし白浮きしやすいという特徴があります。

選び方のポイントは、日常生活であればSPF30、PA++以上のものを使いましょう。また、自分に合ったタイプを選び、多めにつけることをおすすめします。さらに、汗などで落ちてしまうことが多いため、こまめに塗りなおしたいところです」

★SPFとは?

中﨑先生「SPFとは『Sun Protection Factor』の略で、シミや皮膚がんの原因になると言われているUVB(紫外線B波)という紫外線をカットする数値で、この数値が大きくなるほど効果の時間が長いことを示します。

例えば、10分間紫外線を浴びて肌が赤く炎症してしまう人がSPF30の日焼け止めを使うと、10分×30の300分間、紫外線による炎症のリスクをカットできるという意味です。

最近では、SPF50~100といった高い数値のものもありますが、正直日常生活においてはここまで高いものは必要ありません。海や野外のフェスなどの長時間の活動時でしたら、SPF50もあれば問題ありません」

★PAとは?

中﨑先生「PAとは『Protection Grade of UVA』を略した値で、肌の奥にまで浸透して、シミやシワ、たるみ(これらを光老化とも言う)を引き起こす紫外線A波(UVA)をカットするものです。その値は、+で表現され、最近だと++++が最大値となり、数が多ければ多いほどその力が強いことを表しています。

日常生活であれば、++または+++あれば十分ですが、野外に長くいるという場合は++++に上げてもよいでしょう」

★自分に合ったものとは?

中﨑先生「自分にあったものというのは、その方の肌質によって異なるため、本来であればまずは試供品を使用してみたり、皮膚科で一度相談されることがベストです。しかしそんな時間もないよという方は、敏感肌用の日焼け止めを選ぶようにしましょう。赤ちゃんも使える優しい成分で出来ているものもあります」

★量はどのくらい使うべき?

中﨑先生「量は各メーカーが推奨している量で問題ありません。しかし、塗りなおすことが面倒だったり、汗や水などで落ちてしまうことも多いため、顔に塗る場合は500円玉くらいたっぷりと使っておくほうがよいでしょう」

★どのくらいのぺースで塗りなおすべき?

中﨑先生「汗をかいたり、水に濡れたと思ったときはなるべく塗りなおしましょう。

ウォータープルーフタイプならば、そこまで塗りなおしの頻度を高くしなくてもよいのですが、肌に刺激が強いものも多いということを覚えておいてください」

★特に塗るべき場所は?

中﨑先生「身体であれば露出している箇所はまんべんなく塗りましょう。実は忘れがちなのが、耳や首の後ろです。ここも日焼けしやすい部分なので、注意してみてください。また、顔であれば紫外線に最もさらされやすい、おでこや鼻、頬を少し厚めに塗っておくことをおすすめします」

★クリーム、ジェル、スプレー…どんなタイプを選べばよいの?

中﨑先生「日焼け止めと一言で言っても、最近では様々なタイプが出ていますよね。これは好みやライフスタイルに合わせて選んでいただいて問題ありませんよ。優秀なものも多いためきちんとした使い方をすれば効果もそこまで大きく変わらないでしょう。

一般的に汗や水に強く密着度が高いものならクリーム、べたつきが気になったり日常生活での紫外線対策ならばジェルやスプレーがおすすめです。スプレータイプは、化粧品の上から重ねられたり、髪の毛にも噴射できるので、特に女性にはよいかもしれませんね」

対策② 表は白・裏は黒の「帽子」や「日傘」を使う

中﨑先生「紫外線を直接的に受けないようにするためにも、帽子や日傘も取り入れましょう。

白は紫外線を反射し、黒は吸収する色と言われていますので、内側が黒、外側が白のものであれば(※)、上から降り注ぐ紫外線を反射して、アスファルトからの照り返した紫外線を吸収することで、肌への反射を抑えることができるかもしれません。実際に商品として出ているものもありますので、取り入れてみるのもよいでしょう」

※一部表記について2018年8月14日修正しました。「内側が白、外側が黒」と表記しておりましたが、正しくは「内側が黒、外側が白」となります。

対策③ 大きめのサングラスをかける

中﨑先生「紫外線は、角膜炎や白内障、翼状片と呼ばれる目の病気の原因にもなりますので、サングラスはぜひ積極的に取り入れましょう。

よく目から入る太陽の光を遮ることでメラニンの生成が抑えられるといった噂がありますが、はっきりと分かっていません。ただし、紫外線による目の病気や、皮膚が薄く弱い目の周りの肌を保護するのには役立つアイテムであることは確か。

なるべく大きめのものを選ぶようにすると、日に焼けやすい頬骨のあたりもカバーできるのでおすすめです」

日に焼けてしまった後の対策方法

中﨑先生「日に焼けてしまった後は、すでに肌に炎症が起きている状態です。身体の外側と内側、両方からのアプローチを行うようにしましょう」

赤味が続く場合は皮膚科に行く!

中﨑先生「日焼けの度合いにもよりますが、もし赤くなって痛みが強い場合はやけどと同じ状態ですので、皮膚科にかかり、適切な処置を受けることをおすすめします」

患部を冷やす!

中﨑先生「日焼けをしてしまった部分は炎症が起きて熱を持っている状態です。ですから、炎症を早く治めるためには保冷剤などを使ったり、冷たく絞ったタオルで患部を抑えるなどして冷やすことも有効です」

ビタミンCをとる!

中﨑先生「ビタミンCをとることもおすすめしている対策のひとつです。日焼けをした肌の中では、皮膚の色を黒くするメラニン色素を働かせるメラニン細胞が活性化し、炎症が起きるとタンパク質がどんどん消費されて体力と免疫力が著しく低下してしまいます。ビタミンCには、メラニン細胞の活性化を抑えたり、免疫力を上げる効果があるのです。

日に焼けてしまったと思ったら積極的にビタミンCをとるようにしましょう」

紫外線対策を日頃のルーティンに組み込もう

日焼け前と後の紫外線への有効な対策方法を教えていただきました。いかがでしたでしょうか?

有効な手段のひとつである日焼け止めは、目につくところに置いておいて、朝外出する前に必ず塗るなど、日常のルーティーンに組み込めると習慣化できそうです。また、スプレータイプの日焼け止めを持ち歩いて、気が付いたときにシューッと吹きかけるのはいかがでしょうか?

自分に合ったスタイルで、紫外線対策を忘れずに行うようにしましょう!

監修者プロフィール

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■中﨑恵美(なかざき・えみ)先生
emiスキンクリニック松濤院長/日本皮膚科学会皮膚科専門医/日本レーザー学会認定医
2000年に埼玉大学医科大学卒業後、東京医科大学皮膚科入局。その後、都内などの大手美容皮膚科に勤務する傍ら、北里東洋医学研究所病院にて漢方研修を行う。2016年には、emiスキンクリニック松濤を開院。

(取材・文/KenCoM編集部)

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