メニュー

2018.07.14

寝苦しい夜よ、さようなら!熱帯夜でも超快眠しませんか?

kencom編集部

熱帯夜、なかなか寝付けなくて何度も起きてしまうことってありませんか?そうなると疲れが取れずに、仕事もはかどらないですよね。

そこで今回は睡眠の専門家である東京西川のスリープマスターである安藤 翠さんに、夏でも快眠できる方法について教えてもらいました!

記事画像

安藤 翠(あんどう・みどり)さん

1991年生まれ。東京西川の独自の資格で、睡眠について幅広い知識を有するスリープマスターを取得。東京西川の研究機関である日本睡眠科学研究所に所属し、大学・企業と協力しながら、睡眠が生体に及ぼす影響についての研究や、より良い睡眠を提供できる寝装・寝具の開発を行っている。主に「眠りと健康・美容(アンチエイジング)の関係」について担当。

真夏の夜に快眠できる方法とは?

温度と湿度を最適に保つことが必要

安藤さん「熱帯夜って、なかなか寝付けないですよね。実際に冬よりも夏のほうが平均の睡眠時間が少ないというデータもあります。そもそも寝苦しいと感じる理由はどこにあるのかご存知ですか?それは温度と湿度が大きく関係しています。

人は体温が下がり始めるときに眠気が高まると言われていますが、熱帯夜では部屋の温度が高くなっているため、いつまでたっても体温が下がりにくいため眠ることが難しくなるのです。

さらに、湿度が高いのもその要因のひとつ。人は汗をかき、それが蒸発することで体温を下げるなどの調整をしていますが、湿度が高いと汗が蒸発されないために、身体は熱いままでムレてしまうんです。

快眠するためには、温度は26~28℃、湿度は50%以下が最適だと言われています」

夏の寝苦しさを解消する快眠術

記事画像

実際に、快適な温度(室温)を作るためのテクニックを紹介してもらいました!

すぐできる!快眠のための環境づくり

1 窓・クローゼットを開けて部屋の換気をする

安藤さん「もし日中はお仕事などで外出されている場合、帰宅したらまず部屋にこもった熱気を少しでも逃がすために窓を開けて換気をします。

このとき、実はクローゼットやチェストにも熱気がこもっているので、それぞれの扉も開けるようにしましょう。

さらに壁や天井の熱も高くなっているので、扇風機があれば壁に向けて風を送り、空気を循環させるのも手です」

2 クーラーをつけて部屋の温度を下げる

安藤さん「次に、クーラーを少し低めの温度(自分が気持ちいいと思うところ)に設定します。それによって早めに部屋の温度を快適なところまで下げていきます。ただし、冷えすぎは要注意です。手足が冷えるなと思ったら温度を調節しましょう」

3 ぬるめのお湯で湯舟につかる

安藤さん「人は体温が下がるときに眠気が高まります。ですから、寝る前に入浴して体温を上げると、スムーズな眠りに入ることができます。38~39℃程度のぬるま湯で20分間ほど入ると、身体の中心部まで温まります」

4 クーラーは26~28℃に設定する

安藤さん「実は、身体のためによくないと思われているクーラーのつけっぱなしですが、快眠のためには正解です。実際にそのほうがよいというデータもあります。このときの温度は、眠りに最適な26~28℃に設定しましょう。また直接風が身体に当たらない設定にすることも大切なポイントです」

夏用の寝具を選ぼう!

記事画像

安藤さん「夏の寝苦しさを解消するためには、寝具選びも大切なポイントです。吸放出性(湿気の吸収と放出性)にすぐれたものや、涼感のあるものを使いましょう」

掛け布団は「麻」または「ウール」素材!

安藤さん「汗を吸って放出してくれる素材でオススメなのは、麻を使ったものです。汗をかいてもさらっとして爽やかな状態が続きますので、寝ているときにもムレにくいのが特長です。

さらに、サマーウールも知っていただきたい素材です。吸放湿性に優れていて、温度と湿度を快適に保つ機能を有しています」

暑がりさんには、ヒンヤリ気持ちいい冷感寝具を!

安藤さん「最近は、肌に触れたときに冷たく感じる冷感寝具も人気です。これには接触冷感素材と呼ばれる素材が使われています。イメージしていただきたいのは、金属を触ったときです。金属に触れると冷たく感じますよね?けれどしばらく触っていると慣れてきます。しかし、手を離して再び触ると冷たく感じる。金属は熱伝導率が高いのですが、これと同じような機能を持つ素材が接触冷感素材です。寝返りを打つたびにヒンヤリ感を感じていただけますので、クーラーが苦手な方や、暑がりな方にはおすすめです」

枕は「パイプ」や「そば殻」素材!

安藤さん「枕は、汗をかきやすい頭を支える大切な部分ですので、通気性・吸放湿性に優れたものを選んでいただくとさらに快適に眠ることができます。

枕の中身の素材は、夏はパイプやそば殻などが最適です。パイプは通気性が高く、弾力性・復元力に富んでいます。虫やホコリがつきにくいため衛生的で、自宅での洗濯も可能です。そば殻は、そばの実を乾燥させ、実を取り除いたもの。涼感があり、放熱性に優れています」

パジャマは「天然素材」の「長袖長ズボン」が理想!

安藤さん「夏の夜にはいかに汗を発散させるかがポイントなので、パジャマも吸水性に優れた綿や麻、シルクといった天然素材のものを選びましょう。そして、暑いとつい薄着になりがちですよね。しかし、できれば長袖長ズボンタイプのほうがベター。これもかいた汗を吸収しやすいからです。短パンやノースリーブの場合だと、かいた汗が吸収されず肌に残り、寝冷えの原因になったり、汗や皮脂が直接カバーやシーツに付着するため、衛生的ではありません」

寝具は頻繁に取り替えられたらなお良し!

安藤さん「衛生的な環境を作ることも快眠につながります。枕カバーは2日に1回、シーツは1週間に1~2回程度替えられたらよいですね。市販の除菌剤スプレーなどは、一時的には効果があるかもしれませんが、使いすぎると布団の生地を固くしてしまう場合があるので、注意したいところです」

睡眠のことで悩んでいたら直接相談を!

安藤さん「東京西川では『ねむりの相談所』というサービスを展開しています(全国20店舗※2018年6月現在)。ここにはスリープマスターと呼ばれる眠りの専門家たちがいて、小型計測器を用いてデータをとり、ご自分の睡眠の質などを見える化することができます。それをもとに、快眠のためのアドバイスをしています。もし睡眠についてお悩みがある場合は、ぜひお店にいらしてみてください。きっとお力になれるはずです」

温度・湿度を意識した環境づくり&夏用寝具で快適に

真夏の暑苦しい夜を乗り切るための快眠テクニックは、いかがでしたでしょうか?
汗を発散させて体温を下げるためには、冷房器具や寝具によって環境を適切に整えるすることが大切なのだとわかりましたね。
まずはできるところから始めてみませんか?

参考文献

早石 修『快眠の科学』2002,朝倉書店

(取材・文・撮影/KenCoM編集部)

この記事に関連するキーワード