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2018.05.16

身体と心の乱れを防げ!ハーブメインの食養生を大公開・西洋編

KenCoM公式:料理研究家・りんひろこ

西洋にもある!食べて元気になる『食養生』

食養生というと、東洋だけの考え方だと思いがちですが、実は昔から西洋にも、食事を通して心身を元気にしようという考え方があります。
今回は、西洋でよく食べられていた『食養生』食材と簡単なレシピも紹介します。

■東洋の食養生はこちらから

心身の疲れを取る食材

にんにく

にんにくは遥か昔エジプトにおいて、活力を生む薬として使われていました。実際、にんにくに含まれるビタミンB1はエネルギー代謝を促して疲労回復に役立つビタミンと言われています。

また、ニンニクの独特の強い臭い成分は「アリシン」といい、ビタミンB1以上に強い疲労回復効果がある上、ビタミンB1と一緒に摂ることでその効果が増すと言われています。

スウィッチェル

あまり聞き馴染みはないかもしれませんが、スウィッチェルはアップルサイダービネガー(リンゴ酢)に蜂蜜としょうがを加えて、水か炭酸水で割ったものです。

アメリカでは夏バテ防止ドリンクとして、または、農作業の時の疲労回復ドリンクとして昔から親しまれています。最近ではパリでも注目され始めるなど、今注目の伝統飲料です。

アップルサイダービネガーはポリフェノールやクエン酸、カリウムなどを豊富に含み、疲労回復や抗酸化作用もありますので、運動後などにも良いでしょう。

豚肉

豚肉に含まれるビタミンB1は、肝臓でぶどう糖をエネルギーに変える時に必要なビタミンの1つです。ビタミンB1が足りないと、甘いものを食べた時や、ご飯やパンなどの炭水化物を大量に摂取したときに、ぶどう糖がエネルギーに変わらないため、疲れやすくなると言われています。

不安を和らげる食材

各種ハーブ(ラベンダー、レモンバーム、ローズ)

かつてヨーロッパを中心に民間薬として親しまれてきたのがハーブです。現在ではリラックスしたい時や、気分転換したい時に香りを楽しむものとして使われることが多くなっていますが、食用にすることももちろん可能です。
特に、ラベンダー、レモンバーム、ローズなどのハーブには鎮静作用があり、ストレスでこわばった心身をリラックスさせ、不安や緊張、イライラを和らげる効果があると言われています。

これらのハーブをお茶として飲んだり、ミネラルウォーターに入れてフレーバーウォーターとして飲むのもおすすめです。

青魚

近年、地中海地方の食事がうつ状態の改善に効果があるといわれてきていますが、この地中海地方の食事というのが、青魚を中心とした魚や野菜、そしてオリーブオイル中心の食事です。

魚の中でも特に青魚にはαリノレン酸、EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸が豊富に含まれています。n-3系脂肪酸には抗炎症、免疫調整、神経伝達物質調整、神経保護など多様な作用があり、それらが抗うつ効果を示すとの研究報告もあります。疲れた時にこそ食べたい食材です。

チョコレート

19世紀のヨーロッパではチョコレートは薬として薬剤師のいる店に置かれていたそうです。
チョコレートには赤ワインの2倍のポリフェノールが含まれていて、血中の悪玉コレステロールを抑えたり、身体の酸化を防いで若々しさを維持する、いわゆる抗酸化作用があります。また、含まれているテオプロミンという成分は神経を鎮静させる作用があり、リラックス効果もあることが知られています。

フランスでは子供が小さいうちからチョコレートをそのまま食べさせたり、バゲットやブリオッシュに板チョコをはさんだものをおやつとしてあげています。
また、塾や習い事の前には集中力や記憶力を上げるためにチョコレートを与えることも。基本的にフランスではチョコレートは栄養食と考える人が多いので、妊婦さんへのプレゼントにも贈ります。

胃腸の調子を整える食材

各種ハーブ(カモミール、ミント、バジル)

すでに前述しているハーブですが、実は西洋では胃腸を整えるのにもよく使われています。
特にカモミール、ミント、バジルなどのハーブは消化促進作用、イライラや不安解消の作用があると言い伝えられています。

これらをお茶にして飲んだり、サラダに混ぜたりして活用すると良いでしょう。

発酵食品(ザワークラフト、ヨーグルト)

最近また注目度が増している発酵食品も、西洋では身体を整えてくれると言われ、昔から食べられてきた食材です。

ドイツでソーセージやアイスバインなどの肉料理とともに出されるザワークラウトは、キャベツの塩もみを発酵させたもので、食べる胃腸薬ともいわれるビタミンUが豊富なのが特徴。また、乳酸菌や食物繊維、ビタミンCが腸内フローラを整えて善玉菌を増やし、胃腸を丈夫にするとも言われています。

また、ヨーグルトにも多くの乳酸菌が含まれているので、腸内細菌のバランスを善玉菌優位に調整し、胃腸の働きを整えて体調を改善してくれる効果があります。

オートミール

日本では馴染みが少ないですが、西洋の主食だったのが、このオートミールです。
オーツ麦と呼ばれる穀物を乾燥させ、押しつぶしたもので、栄養価が高く、水や牛乳などの水分を入れて加熱するだけですぐにとろとろの粥になり、消化しやすくなるのが特徴です。

欧米ではオートミール粥は朝食としてもポピュラーなもの。オーツ麦には小麦より高いたんぱく質と脂質が含まれ、また皮ごと押しつぶしているので、食物繊維・ミネラルも豊富です。

これから日本でも流行間違いなし!アメリカ伝統ドリンク『スウィッチェル』

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【材料】(400cc分)

・りんご酢 大さじ2
・はちみつ 大さじ2
・しょうが 1~2片
・炭酸水

・(お好みで)りんごスライス、ミントなど

【作り方】

1: しょうがをすりおろす。

2: りんご酢、はちみつ、すりおろしたしょうがをよく混ぜ合わせてから、炭酸水を注ぐ。

3: お好みでりんごスライスやミントを入れると爽やかなフレーバーでより美味しくなる。

著者プロフィール

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■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。

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