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2018.05.14

身体と心の乱れを防げ!夏前に役立つ食養生を大公開・東洋編

KenCoM公式:料理研究家・りんひろこ

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食材に秘められた力をご紹介

5〜6月は季節の変わり目ということもあって、心身ともに疲れやすいものです。そこで取り入れたいのが食養生という考え方。
食養生とは、病気とまで言えない不調の際は薬を使わずに、できるだけ食べ物を使って身体を養うというものです。
今回はその中でも、特に東洋でよく使われていた食材をご紹介していきます。

最後にはお手軽レシピも紹介していますよ!

※ この食材を食べても、必ず不調が改善されるわけではありません。また、食べ過ぎは思わぬ体調不良を引き起こす可能性もあります。

心身の疲れを取る食材

梅干し

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日本の伝統食である梅干しは戦国時代より愛好されていた食材です。 水あたり時には殺菌や整腸に、怪我をした時には消毒に、また疲労回復にも役立つとして使われていたようです。
もともと梅は強い酸味が特徴で、酸味の主成分はクエン酸を含む有機酸。このクエン酸は疲労物質である乳酸を水と炭酸ガスに分解して体の外へ排出してくれる働きがあります。また、クエン酸は乳酸を作りにくくする働きもあります。この梅を塩漬けにしてから天日干しし保存性を高めたのが梅干しです。

梅干しは疲れた胃腸を菌から守り、調子を整える効果も期待できる上、菌が増えやすい暖かい季節のお弁当などの抗菌食材として、昔から使われていました。
薬膳では汗をかきすぎると、身体の「気」まで一緒に流れて元気がなくなると考えられていますが、梅干しのような“酸味”のある食品には収斂(しゅうれん)作用があり、汗の出すぎを防ぎ「気」が流れ出るのを防ぐともいわれています。

夏野菜・果物(トマト、キュウリ、冬瓜、なす、スイカなど)

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5月の立夏からは、暑さが増してくる季節です。この時期にはアイスや氷の入った冷たい飲み物などに手が伸びがちです。しかし、キンキンに冷えたものを摂ったり、クーラーなどの冷房にあたることにより内臓が冷えすぎ、その内臓を温めるために身体のエネルギーが大量に使われるので身体が疲れてしまいます。

身体に負担をかけずに熱を自然に取る方法が、トマトやキュウリ、冬瓜、なす、スイカなどの夏野菜や果物を摂ることです。これらの野菜は余分な熱を冷ますだけでなく、身体を潤す役割もあります。
ここでの注意ポイントは、冷蔵庫などから出してきてすぐの冷え切った野菜ではなく、しばらく常温に置いておいた野菜を食べること。これからの暑くなってくる季節、自然の恵みで身体の熱を冷まして環境に順応させていくことで、疲れずに夏を迎えることができますよ。

また、キュウリやトマト、瓜などは利尿作用も促し、余分な水分を排出する効果もあるのでむくみの防止にも有効です。

甘酒

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甘酒は『日本書記』にも記録が残るくらい古い歴史があり、古来から神様に献上する「ハレ」の日の飲み物でした。砂糖などなかなか手に入らない時代には、甘さを楽しむものでしたが、その後は栄養満点で滋養強壮にうってつけの飲み物としても広く知られていたようです。特に江戸時代頃からは暑さ避けに飲まれるようになり、夏の季語にもなりました。江戸時代の甘酒売りは、ちんちんに熱い甘酒を売っていて、それをふうふうしながら飲んでいたようです。

甘酒は発酵食品であり、現代では「飲む点滴」と呼ばれ、その効果が見直されています。
栄養としては、ビタミンB1、葉酸、糖質、アミノ酸、ミネラルなどが複合的にバランスよく含まれています。疲れ気味の時こそ染み渡るはずですよ。

不安な気持ちを和らげる食材

パセリ、三つ葉、パクチー

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春は薬膳では気や血の流れを調整する「肝」の調子が悪くなりがちです。
「肝」はもともと、ストレスを発散させ、精神や感情をうまくコントロールする役割があります。「肝」の調子が悪くなり「気」の流れが滞ると、無気力やだるさを感じたり、頭痛や気うつ、のぼせ、動悸などの症状が現れることがあります。

このような情緒不安を感じたら、「発散作用」のある香りのよい食材で「気」を発散させて流れをよくしてあげることが大切です。代表的な食材としては、パセリ、三つ葉、パクチーなどがあります。

そば

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そばは薬膳では「肝」の働きを正常にし、「気」の巡りを回復させ、むくみやうつを治し、イライラを沈める効果があるといわれています。
また、疲労物質を燃焼させ、精神や感情のコントロールを正常に保つビタミンB1を多く含み、粘膜を保護するビタミンB2も豊富です。

ただ、薬膳的には「涼性」の食品なので体を冷やす作用もあります。そのため、冷えやすい時期や身体が冷えやすいタイプの人は温かいそばを食べるか、しょうがやネギ、ワサビなどの薬味と一緒に食べる方がよいでしょう。

胃腸の調子を整える食材

大根

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「大根を食べると食あたりしない」と昔から言われてきたほど、大根の殺菌・消化促進は知られてきました。刺身に必ず大根のつまを盛り合わせるのも、この考えから来ています。

大根をすり下ろしたり、細かく切ったりすると強い殺菌力をもつ「イソチオシアネート」と呼ばれる辛味成分が生成され、これが大腸菌やピロリ菌に有効とされています。
また、大根にはアミラーゼ(でんぷん分解酵素)、プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)、リパーゼ(脂肪分解酵素)などが含まれ、生食することで消化を助けることが知られています。

この酵素は加熱に弱く、50度以上の過熱で失活してしまうので、できるだけ生食が望ましいです。大根おろしなどでいただくのが良いでしょう。

キャベツ

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キャベツは五臓六腑の働きを調整し、特に肝臓の機能向上、胃の痛みの緩和、消化促進、補気の働きがあるといわれています。
栄養面ではビタミンB1、B2、βカロテンなどを含んでいますが、中でもビタミンUの含有量は突出していて、このビタミンUが胃腸の働きを整え、胃腸の潰瘍の予防や回復に役立ちます。ただ、ビタミンUは加熱に弱いので、加熱しすぎずに食べた方が良いでしょう。

その他、キャベツに含まれるグルコミノレートは肝臓内にある有害物質を分解する酵素の働きを高めます。

しいたけ

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薬膳ではしいたけは胃腸が弱っておこる食欲低下や、食後の胃もたれなどに有効があるといわれています。

食物繊維やビタミンDも多く含まれているので、整腸作用や、高血圧・高脂血症予防などにも役立つでしょう。

しょうが

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インドの伝統医療である『アーユルヴェーダ』では、消化力が低下しているときには、身体にアーマという未消化物が蓄積されると考え、消化力を上げて、この未消化物を排出することが健康につながると考えます。その消化力を向上させるために特に有効なのはしょうがとされています。

胃腸が弱っているときには、食前にすり下ろしたしょうがを1つまみ食べることで、消化力が上がり、その後に食べたものがスムーズに消化されやすくなると考えられているのです。

胃腸をいたわる簡単レシピ『塩キャベツのしいたけ鶏そぼろかけ』

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【材料】(2~3人分)

・キャベツ 1/4個
・塩 小さじ1/2

・鶏ひき肉 150g
・しいたけ 4枚
・ごま油 小さじ1

・みょうが(あれば) 1個

A
・しょうゆ 大さじ2
・砂糖 大さじ1
・酢 大さじ1
・みりん 大さじ1

【作り方】

1: キャベツは千切りにし、塩を振ってよくもんでから器に盛り付ける。しいたけは薄切りにする。みょうがはあれば、縦に2等分にしてから斜め薄切りにする。

2: フライパンにごま油を熱し、鶏ひき肉を入れて炒め、ぽろぽろになったらしいたけを入れて炒める。しんなりしたら、Aの調味料を加えて炒め合わせる。

3: しいたけに照りが出てきたら火を止めて、1のキャベツの上にすべてかける。あればみょうがを盛り付ける。食べる際には全体を混ぜながらいただく。

■西洋の食養生はこちらから

著者プロフィール

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■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。

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