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2018.05.16

コーヒーと急性心筋梗塞リスク【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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コーヒーに含まれるカフェインは、健康にいいという見解もあれば、あまりよくないという見解もあります。一体どちらが正しいのでしょうか?
当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2006年のJAMA誌に掲載された、コーヒーと急性心筋梗塞との関連を、カフェインの代謝酵素の個人差で検証した論文です。

▼石原先生のブログはこちら

コーヒーは心臓にいいのか悪いのか

一昔前は、カフェインが心血管疾患リスクを増加させると考えられていたが…

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コーヒーが総死亡のリスクや、心血管疾患のリスクを減少させるという知見は、疫学データとしてはほぼ確立された感がありますが、一昔前まではコーヒーは心血管疾患、特に虚血性心疾患のリスクを増加させる、という考え方が一般的でした。

コーヒーに含まれる生理活性物質の代表であるカフェインは、交感神経の刺激作用があり、血圧も短期的には上昇させますし、不整脈の誘発作用などもあって、心臓には良くないという考え方があったからです。
実際にコーヒーを沢山飲むと急性心筋梗塞のリスクが増加する、という疫学データも複数存在していました。
ただ、その一方で有意な関連はない、というデータもまた複数存在していたのです。

コーヒーは心臓に良いのでしょうか、悪いのでしょうか?

カフェインの血液濃度は、酵素活性タイプによって異なる

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コーヒーに含まれているカフェインが問題であるとすると、体内に入ったカフェインは、肝臓でCYP1A2という酵素により代謝を受けますが、その酵素には幾つかのタイプがあって、活性型の変異があればカフェインの代謝は促進され、逆に活性の低下した変異があれば、カフェインの代謝は抑えられて、それだけカフェインの血液濃度は増加する、ということになります。

つまり、同じ量のコーヒーを飲んでいても、それによるカフェイン濃度の増加の程度は、酵素活性のタイプによって大きく異なるという可能性があるのです。

コーヒーの摂取量と酵素活性のタイプで解析

心筋梗塞のリスクが増加するのは、カフェインの代謝酵素が低活性型の人

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今回の研究はコスタリカの住民を対象としたものですが、初回の非致死性急性心筋梗塞を起こした2014例を、年齢性別などをマッチさせた2014例のコントロールと比較して、コーヒーの摂取量とCYP1A2のタイプとに分けて解析を行っています。

その結果、心筋梗塞を起こした事例の54%は、カフェインの代謝酵素が低活性型で、低活性型の対象者のみを解析すると、コーヒーを多く飲むほど心筋梗塞の新規発症リスクは増加していました。
コーヒーの摂取量が1日1杯未満と比較して、4杯以上飲む人は心筋梗塞のリスクが、1.64倍(95%CI: 1.14 から2.34)有意に増加していました。
しかし、これを高活性型の変異を持つ対象者のみで解析すると、そうした有意なリスクの増加は見られませんでした。

つまり、1日に3、4杯程度のコーヒーでリスクが増加するのは、カフェイン濃度が増加しやすい低活性型の変異を持つ人に限った現象である可能性が高い、という結果です。

酵素活性のタイプにより、心血管疾患のリスクにも個人差が

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最近では心血管疾患のリスクも、コーヒーを飲む人の方がむしろ低下する、という報告が多いのですが、酵素活性の程度によってはそうでない可能性もあり、こうした個人差にも、充分注意を払う必要があることを示した点で、意義のある結果であるように思います。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36