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2018.05.12

ココロに溜まったストレス、解消の鍵は運動と認知の変更

KenCoM編集部

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溜まるほどに体調不良や心の負担につながるストレスは、どう解消すればいいのでしょうか?
その解消法をKenCoMで大人気連載中の『働く人のポジトレ』を担当している心理学者・内藤誼人先生に伺いました。

今日から毎日、ストレスを解消していきましょう!

積極的行動と認知の変更が大事

ストレス解消1:運動などの積極的行動が効果的

スポーツを行なった後、爽快な気分になると思いますが、この時にストレスも解消しています。日々ハードな運動を行うのは難しいでしょうが、実際のところ10分程度の運動でもストレス解消には効果的なようです。
1994年にアメリカ・カリフォルニア州立大学のロバート・タイラーが16〜89歳の男女に行なった調査(※1)によると、ストレスの軽減方法として特に有効なトップ3は以下の通りでした。

1位 運動(10分程度)
2位 音楽鑑賞(自分が好みの音楽を聴く)
3位 友人とのおしゃべり

どれも、自分から積極的に行うものがランクインしています。逆にあまり効果的でないものとして挙がっていたのが、TV鑑賞、買い物、旅行の3つです。TV鑑賞は受動的であること、そのほかはコストがかかったり、行動中に別のストレスがかかってしまったりすることから評価が下がっているようです。

ここで紹介した運動ですが、天気などに左右されずに毎日行えるものを選択するのが良いでしょう。毎日行うことで、その日のうちにストレスをこまめに解消することができるからです。

ストレス解消2:自分の認知をポジティブに変えるテクニック

もう1つの方法は、自分の頭の中だけで行えるのでより取り入れやすいと言えるかもしれません。それは、自分の中で嫌だと感じた出来事の解釈をプラスに変えていくというものです。
例えば上司に毎日のように怒られているならば、「自分に期待をしているからあえて厳しくしている。ある種の優しさなんだ」のように解釈を変えることで、味わったストレスを解消することができます。

これは2013年にカナダのリディーマー大学のローラ・ルーチーズが提唱した方法の1つです(※2)。ローラは、対人関係でストレスを感じにくい人にはどんな特徴があるのかを調査し、その結果、大きな特徴を見つけたのです。
それが次の3つになります。

1) 嫌なことをされてもポジティブに解釈できる(嫌なことされても前向きに解釈できるのができる)
2) 嫌なことをすぐに忘れる
3) 記憶をポジティブに解釈できる(昔の嫌な思い出を、今考えると良かった!といえるようなこと。記憶を良い意味で歪曲できる)

このように、自分の体験をあえて普段と異なる形で解釈したり、忘れることで軽減していきます。
起きてしまった事実は変えられません。しかし、解釈は後から変えることができるのです。
ぜひ、過去の嫌なことも解釈を変えて見つめ直してみてください。意外とスッキリした自分に気づくはずですよ。

ストレス解消は掃除と同じ

ストレス解消はある意味、部屋の掃除と同じです。年末などに一度で解消しようとすると大掃除になって大変ですが、毎日行動していれば楽に終わらせることができます。
それに長いことストレスを溜めてしまうと、前の記事で紹介したように、身体の方も参ってしまうケースもあります。

「ストレスは翌日に持ち越さない」をキーワードに、こまめに解消できるようにしていきましょう。

■前回の記事はこちらから

著者プロフィール

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■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『すごい!モテ方』(廣済堂出版)『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』(大和書房)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。

参考文献

(※1)Thayer, R. E., Newman, R., & McClain, T. M. 1994 Self-regulation of mood: Strategies for changing a bad mood, raising energy, and reducing tension. Journal of Personality and Social Psychology ,67, 910-925.

(※2)Luchies, L. B., Wieselquist, J., Rusbult, C. E., Kumashiro, M., Eastwick, P. W., Coolsen, M. K., & Finkel, E. J. 2013 Trust and biased memory of transgressions in romantic relationships. Journal of Personality and Social Psychology ,104, 673-694.

(取材・文/KenCoM編集部)

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