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2018.05.05

メタボと職場環境の意外な関係【教えて!保健師さん#5】

KenCoM編集部

メタボ改善=ダイエットと考えがちですが、実はそれだけではありません。メタボリックシンドロームの対象者に行われる特定保健指導では、食事や運動に加えて、禁煙も項目に入っています。

対象者本人の意思はもちろん、自然と生活改善ができるような環境作りも大切なようです。

今回の【教えて!保健師さん】は、メタボ改善に産業保健の観点からアプローチします。

メタボになりやすい職場環境とは?

―食事、運動ときましたが、メタボ改善に大切なことはありますか?

(白田さん)職場の環境は非常に大切な要素です。以前、喫煙率の高い企業から相談を受けたことがあります。

実際に現場を見てみると、非常に居心地のよい喫煙室がありました。そうなると、仕事の合間の息抜きとして喫煙に走りがちです。

それであれば、働く人の健康を害さないように、横になれるリラックスルームを設けた方がいいですね。

あと、他にも自販機もチェックします。

―自販機もですか?

(白田さん)売っている商品のジュースの割合を見ます。糖分が多いものが手に入りやすいと、ふとした時に買って飲んでいる場合があるので、企業の担当者さんに商品の入れ替えを提案することもありますよ。

―公衆衛生みたいですね。

(白田さん)考え方は同じです。水が綺麗になって感染症が減ったように、職場環境から人の健康をサポートすることだってできます。

働く人たちにとって、職場にいる時間は長いですからね。「健康経営」という言葉がありますが、大切なことだと思います。

「健康づくり」はもはや個人だけでするものではなく、会社全体で取り組まないと立ち行かないのだと思います。働くその人の周囲にも目を向けて、「環境づくり」をしていく必要があります。従業員が元気で働けば会社にとってもいいわけですから、個人にまかせっきりにしないでほしいですね。

やるやる詐欺にならないように注意

―白田さんはこれまでどんな人を指導してきたのでしょうか?

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(白田さん)様々な人がいましたが、総じて言えるのは本人が思っている以上に食べ過ぎの人が多いですね。

毎日ポテトチップスを1袋食べていたり、朝から菓子パンを食べていたり。「好物なんですか?」と聞くと、不思議なことに『そうでもない、なんとなく食べている』と答えられたりします。

そんな人たちには、「その間食は本当に必要ですか?」と説いていきます。

40代だと、同僚や友人も元気なので、なんとなく「自分も平気だろう」と思っている人が多いのかなと思います。

『社会人になったら健康も大人の嗜み』と思えるようになるといいですね。

―ある日突然「将来病気になるかも」と言われても受け止めるのは難しいものですね。好例などはありますか?

(白田さん)ちょうど職場の後輩を指導しています。まだ30代なのですが、90kgオーバーとあって生活改善のアドバイスをしているのですが、指導を始めてから自分で弁当を作ってきて驚きました。「作るの嫌いじゃないんですよ」と言われたのが意外で。

他の人たちも、意外と刺さるポイントは様々なのではないか?と思いますね。特定保健指導では行動記録をつけるのですが、やるやる詐欺になっている人も結構います。

自分のできることをやって、“お、案外楽しいかも”と思えることが大事なのかもしれません。

特定保健指導では、専門家のサポートを受けられるので気軽に相談してみてくださいね。

環境と意識、どちらの改善も大切

▶︎今回のポイント
・メタボ改善には職場のサポートも大切
・居心地のいい喫煙所はNG
・自販機は甘くないもの多めが良い
・やるやる詐欺にご注意

いかがでしたか?
メタボは自分の問題だと思っていたかもしれませんが、職場環境も非常に重要です。
仕事の隙間時間にちょっとたばこで一服、ジュースを買う。何気ないことですが、何十年も続けていれば、身体に影響を与えていきます。

すでにメタボな人も、そうでない人も、早期から注意することが大切です。

仕事と健康、うまく両立して元気に過ごしていきたいものですね。

教えて!保健師さんバックナンバー

白田 千佳子(しらた・ちかこ)さん

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大学卒業後はIT企業に就職し会社員として5年間勤務。その後、聖路加看護大学に学士編入。2011年協会けんぽ千葉支部に入社し、保健師として7年間勤務。2018年4月より株式会社リンケージにて勤務。主に健保組合加入者を対象に「オンライン特定保健指導」や「オンライン禁煙プログラム」等の提供をしており、保健事業全般に携わっている。