メニュー

2018.06.01

女性内分泌内科医が教えます!イライラ、むくみ…月経前の不調の原因を知ろう!

KenCoM編集部

記事画像

女性特有のものである月経。

月経前になると、イライラしたり、落ち込んだり、むくみがひどくなったり、便秘、肌の調子が崩れるといった不調が訪れるという人はいませんか?

単に「毎月のことだから…」と片づけてしまいがちですが、具体的に身体の中ではどんなことが起きているのか、またそういった不調の症状を和らげる方法はないのでしょうか?

そんな疑問を解決するべく、女性内分泌内科の専門家である片井みゆき先生にお話をお伺いしてきました。

片井みゆき(かたい・みゆき)先生

記事画像

内分泌代謝内科専門医、女性ヘルスケア専門医(日本女性医学会)、甲状腺専門医、糖尿病専門医。信州大学大学院医学博士課程修了。ハーバード大学医学部フェローを経て、信州大学医学部附属病院 加齢総合診療科・内分泌代謝内科へ。現在は東京女子医科大学本院 総合診療科・女性科(女性内科)にて女性の専門外来を担当している。

月経前の不調の正体を知ろう

月経前の不調ってそもそも何?

片井先生「症状の程度に個人差はありますが、月経前になるとなんとなく体調が優れないと感じる女性は多いかと思います。

この症状が強く、日常生活に支障があるような場合を「月経前症候群(PMS)」と呼び、日本産科婦人科学会では、以下のように定義しています。

『月経開始の3~10日くらい前から始まる精神的、身体的症状で、月経開始とともに減退ないし消失するもの』

月経前になると、不調症状があらわれ、月経が始まると徐々に調子を取り戻していくという周期性のある症状です」

月経前症候群、その原因とは!?

片井先生「これには女性ホルモンが大きく関係しています。大まかに言うと、月経が起きる前の身体の中では、女性の身体を守る様々な役割を果たしているエストロゲンというホルモンと、月経を起こすのに不可欠なプロゲステロンというホルモンの2つが主に作用しています。

月経前には後者のプロゲステロンの分泌が増え、エストロゲンよりも優位な状態になることも影響して、様々な不調を感じます。

月経前症候群(PMS)がある女性とない女性の間には、女性ホルモンの血中濃度には差がないことはわかっていますが、決定的な原因というのは実はまだはっきりとわかっていないのが現状です。

様々な学説がある中で、現在最も有力なのは、セロトニンやGABAといった物質によって作動する神経系が関与するという説です。

そこに、生活環境、心身のストレスなどが加わり、PMSが引き起こされると考えられています」

月経前の不調症状チェックリスト

片井先生「月経前の不調症状の代表的なものをご紹介します」

記事画像

『女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版 日本女性医学学会 編』(金原出版)を引用改変

『女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版 日本女性医学学会 編』(金原出版)を引用改変

片井先生「ほとんどの方が多かれ少なかれ、当てはまるものはあるかもしれません。しかし『月経前症候群』と診断される場合は、これらの症状が日常生活(社会的・経済的活動)において明らかに支障をきたしていることが診断基準のひとつとなります。また、月経開始後4日以内に症状が落ち着き、月経13日目までに再発しないことも特徴です。よって、月経周期に関わらず常に症状があるような場合は、その他の病気の可能性が考えられます。

つまり上記の症状が多少あっても、月経前から開始後4日以内で症状が軽くなり日常生活には支障がなければ、必ずしも受診する必要はありません。しかし、症状が強くて周囲との関係や日常生活に支障を来すような場合や、月経と関係なく常に症状が続く場合は、一度受診して治療を検討することをおすすめします。

また、さらに精神症状が強く出るものは、月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれ、よりメンタル的な治療が必要となります。

気になる方は、まずは婦人科や女性科を受診してみてくださいね。月経前症候群以外の可能性が考えられる場合は、症状に応じて内科や心療内科などで治療をすることで症状が楽になると思います」

月経前の不調と向き合うために…

片井先生に、まずは月経前の不調の正体について教えていただきました。

次の記事では、具体的にその不調症状を軽くするためにどうしたらよいか、その秘訣をご紹介していきます!

(撮影・取材・文/KenCoM編集部)

参考資料

『女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版 日本女性医学学会 編』(金原出版)

この記事に関連するキーワード