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2018.04.18

血圧を自分で管理すると数値はよくなる?【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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皆さんの中には、健康管理のために毎日血圧を測っているという方もいるかと思います。
毎日血圧を意識することは、健康にどのような影響があるのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「石原藤樹のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2018年のLancet誌に掲載された、血圧のセルフモニタリングの効果についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

血圧をセルフモニタリングする効果とは

診察室では上がることも多いので、自己測定した血圧値は診察の参考になる

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高血圧の患者さんが自宅で自動血圧計を用いて、定期的に血圧の測定を行い、その結果から薬の調節などを行うことは、今では高血圧診療に携わる殆どの医師が、日々実施していることだと思います。

こうした時に使用する血圧計は、診療に必須の機器であることは間違いがありませんから、健康保険で使用出来ても良いように思いますが、あまりそうしたことが議論になることはなく、患者さんが自己負担で購入をしなければいけません。

さて、血圧は1日の中でも変動するもので、診察室などで測定する血圧は、患者さんの緊張などによって、その時だけ上昇する、ということも、しばしばあることは誰でも経験していることです。

従って、その診察時の血圧は1つの参考としながらも、患者さんが自己測定した血圧値を、その都度活用して薬の調整や生活指導を行うことは、極めて合理的な診療であることは間違いがありません。

自己測定の血圧値の利用法は様々

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しかし、実際にこうした血圧の自宅でのモニタリングは、どの程度の効果があるのでしょうか?
また、自己測定の血圧値を、どのように活用することが最も効果的なのでしょうか?

現状は医師によっても、自己測定の血圧値の利用法は様々で、特に一定のガイドラインのようなものがある訳ではありませんから、その効果もあまり科学的な検証がされているとは、世界的に見ても言えるものではありません。

血圧コントロール不良者を対象にしたイギリスの調査では

診察のみ、自己測定をプラス、さらに遠隔診療もプラスした3群での効果を比較

今回の研究はイギリスにおいて、142カ所のプライマリケアのクリニックの患者さんを登録し、通常の診察室のみの血圧測定で、血圧コントロールを行った場合と、自己測定によるセルフモニタリングを活用した場合、またセルフモニタリングと共に、遠隔診療による指示を取り入れた場合とにくじ引きで分け、12ヶ月の診療後にその効果の比較を行っています。

対象となっているのは35歳以上の高血圧の患者さんで、3種類以上の降圧剤を併用していても、上の血圧が140mmHg未満、下の血圧が90mmHg未満にならない、血圧コントロール不良の場合で、トータル1003例が3群に振り分けられています。

こちらが使用された自動血圧計です。

オムロンの海外製品ですが、日本でも一般的なタイプです。

それからこちらをご覧下さい。

これがセルフモニタリングの患者さんに渡される、判断材料となるシートです。
毎月の最初の1週間に朝2回、夜2回の血圧測定を行い、それでその月の血圧の評価を行うのです。
血圧値が指定より高かったり低い時には、48時間以内に主治医もしくは看護師に連絡をします。

遠隔診療の併用群では、更に血圧値をウェブに記録した上で、一定のアルゴリズムによる指示が伝えられる仕組みです。

血圧改善できたのは、「自己測定群」と「遠隔診療併用群」

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その結果、12ヶ月の試験終了時の段階で、通常の診察室血圧のみの診療では、平均の収縮期血圧が140.4(SD16.5)mmHgであったのに対して、セルフモニタリング単独群では137.0(SD16.7)mmHg、遠隔診療併用群では136.0(SD16.1)mmHgとなっていて、セルフモニタリング群では有意に血圧の改善が認められました。
そして、セルフモニタリング単独と遠隔診療併用では、有意な効果の差は認められませんでした。

セルフモニタリングは血圧改善に効果がありそう

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このように一定の有用性が、自己測定によるセルフモニタリングにあることは、ほぼ間違いがなく、今後その手法の統一が、その有用性を安定したものにするためには、重要であるように思われます。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36