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2018.02.14

東洋医学から紐解く、意外と知らない「冷え性」のこと #2 ~簡単改善法~

KenCoM編集部

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前回の記事では、意外と知られていない「冷え性」真実について教えていただきました。
ここでは、今津先生による「冷え性」改善に有効な3つの方法をご紹介していただきます。

冷えを改善するために有効な3つのこと

「冷え」改善は、シンプルに体温を上げることです。
身体は魔法瓶と同じ構造だとお話しました。それであれば、身体の芯から温める方法をとることが最も効果的です。

1日のうちで一番体温が下がっている朝に体温を上げておくことがポイントで、これにより日中の体温を高めることができるからです。

すぐにできる簡単な方法を3つご紹介していきましょう!

①朝、温かいスープを飲む

よく、朝は一杯の白湯(お湯)を飲んだほうがいいと言われますが、白湯だけだと10~15分ほどで元の体温に戻ってしまうのです。しかし、具の入った温かいスープを飲むと、体温が2時間くらい上がったままという研究があります。エネルギーチャージとしての腹持ちのいい(胃の中に停滞する時間が長い)スープを飲むとより効果的です。
また、午前中の体温が高くなると、一日中が活動的でいられますよ。

②深呼吸をする(3回×3セット)

熱を生みだすのに必要なのは筋肉ですが、身体の中で一番大きいのは、深呼吸をするときに使っている横隔膜です。そのため深呼吸をしっかり行うだけで体温があがります。

ポイント! 鼻からゆっくり吸って、口からゆっくり吐く

口から吸ってしまうと乾燥した空気が肺に直接届いてしまうので体温を下げる原因になります。鼻から吸うとどんな空気でも100%加湿されますので、暖かい空気が肺に届きより効率よく体温をあげることができます。

まずは3回深呼吸をしてみてください。いかに3回目が大きく吸えているかわかるはずです。
これを朝に3回×3セットでやってみてください。

※注意
喘息の方の場合は、吐くときには口をすぼめてゆっくり吐きましょう。肺が広がって楽になるはずです。

③よい睡眠をとる

よい睡眠は、免疫力を高めてくれるため「冷え」にも効果的です。
昼間のうちから「今日の夜はいい睡眠をとろう」と意識してみましょう。
寝る前にお風呂に入って身体を温めておくことや、寝る直前にはスマホを見ない、暗いところで寝るといった、一般的に快眠によいと言われていることも取り入れてみてください。

実は、「冷え」を自覚していない人も多い

私の患者さんには、自分の体調不良の原因が「冷え」だと思っていない人がとても多いです。色々な病院を転々として、結局診断がつかなった方の多くが「冷え」が原因であることもあります。

その場合、東洋医学では、自己治癒力を高めて改善していく方法を探ります。まずその方の体調や症状を詳しく伺い、それぞれに合わせた漢方を処方したり、改善に導く方法についてアドバイスを行うのです。特に冷えに対して素晴らしい効果を発揮してくれる「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」という漢方薬もあります。

なぜか風邪をひきやすいとか、体調がなかなかよくならないといった場合は「冷え」を疑ってみて、まずは体温を温める方法を試してみてください。

体温を高めて毎日元気に!

西洋医学では概念のない「冷え性」について、東洋医学の観点から今津嘉宏先生に教えていただきました。

「冷え性」を自覚している方はもちろんですが、“なんだか体調が悪い”、“なかなか回復しないな”と思われた方は、まずは体温を温める3つの習慣「朝スープ」「深呼吸」「良質な睡眠」を身に着けてみてはいかがでしょうか?

身体を温めて、毎日を元気に過ごしましょう!

(取材・文・撮影 KenCoM編集部)

今津嘉宏(いまづ・よしひろ)先生

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芝大門 いまづクリニック 院長。慶應大学医科学部 外科教室 助手を経て、慶應大学医科学部 漢方医学センター助教を務めた経歴を持ち、西洋医学と東洋医学の両面を知る稀有な名医として知られる。その知見と優しい人柄でテレビや雑誌などにもひっぱりだこ。『病気が逃げ出す上体温のすすめ』(ワニブックス)、『寝転んで読める漢方薬』(メディア出版)など著書多数。

参考文献

今津嘉宏『病気が逃げ出す上体温のすすめ』(ワニブックス)

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