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2018.02.11

嗚呼、快眠♪ 眠りの質を高める、あったかい布団の選び方

KenCoM編集部

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夜、寒くてなかなか寝付けない、なんてことありませんか?
暖房をつけっぱなしにすると乾燥してしまうし、電気代も高くついてしまいますよね。

暖かく眠れる方法があれば、知りたくないですか?
そんな欲求を満たすべく、暖かく快眠できる方法をご紹介します。

今回お話を伺ったのは、睡眠に詳しい、東京西川のスリープマスター・安藤 翠さんです。

安藤 翠(あんどう・みどり)さん

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1991年生まれ。2015年に東京西川に入社。東京西川の独自の資格で、睡眠について幅広い知識を有するスリープマスターを取得。東京西川の研究機関である睡眠科学研究所に所属し、大学・企業と協力しながら、睡眠が生体に及ぼす影響についての研究や、より良い睡眠を提供できる寝装・寝具の開発を行っている。主に「眠りと健康・美容(アンチエイジング)の関係」について担当。

寒い季節、快眠できる条件とは?

-そもそも「快眠」とは、どんな状態でしょうか?

<表>一晩の眠りのサイクル
参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 Vol.7』

<表>一晩の眠りのサイクル 参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 Vol.7』

私たちが考える心地のいい睡眠は、正しいサイクルで眠ることです。眠りは、脳を活性化させる「レム睡眠」と沈静化させる「ノンレム睡眠」の2種類にわけられ、通常は約90分のサイクルで毎晩4~5回、繰り返されています。

さらにそれを細分化すると、
■レム睡眠:「うとうと眠り」
■ノンレム睡眠:「浅い眠り」「中ぐらいの眠り」「深い眠り」
の4段階に分けられます。

一般的に質の良い眠りのためには「深い眠り」が必要なのですが、これは4~5回のサイクルのうち、1~2回目に得られ、3回目以降は徐々に浅くなり、目覚めに向かいます。

このリズムを乱さないためには、快適な「温度」と「湿度」を保つことが大切な要素です。

-快適な「温度」、「湿度」とは何でしょうか?

<図> 寝床内気象
参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 vol.7』

<図> 寝床内気象 参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 vol.7』

これは、外気ではなくて、身体と布団の間にできる空間である「寝床内気象」(上の画を参照)の温度と湿度を指します。

私たちの研究では、寝床内の快適な「温度」は、33℃前後、「湿度」は50%RH程度だと、快眠できるというデータが取れています。

-「寝床内気象」を快適にするためには、どうしたらよいでしょうか?

季節によって、掛け布団の種類や素材の組み合わせを変えていただくのがよいと思います。簡単なものとしては、次のような組み合わせをおすすめしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

<表>室温別 快眠できる寝具の組み合わせ
参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 vol7』

<表>室温別 快眠できる寝具の組み合わせ 参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 vol7』

寒い冬に選ぶべき、布団とは?

-それでは、具体的にどんな布団を選んだらよいのでしょうか?

寝具自体の役割として、温度を保つ「保温性」と、適切な湿度を保つ「吸・透湿性」、吸った湿気を空気中に発散させる「放湿性」に優れたものであることが、よい寝具の前提条件と言えます。

掛け布団と敷き布団で、それぞれ特性が異なりますので、以下の素材別の特性を見てみましょう。

<表>「掛け布団」「敷き布団」の詰め物の特性
参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 vol.7』

<表>「掛け布団」「敷き布団」の詰め物の特性 参照元:東京西川『in life 眠りと寝具の本 vol.7』

冬の眠りに必要な要素である「保温性」「吸・透湿性」「放湿性」に優れていて、あたたかく快眠できる布団は、以下のようにランキング付けできると思います。

あったかい“掛け布団”おすすめランキング

1位 羽毛布団
2位 真綿布団
3位 綿布団
4位 合繊布団

あったかい“敷き布団”おすすめランキング

1位 ウール
2位 綿、ウレタン

お好みもあるかと思いますので、自分にぴったりな寝具を詳しく知りたいという方は、お近くの寝具販売店(特に眠りに関する専門家がいるところがベター)などで、一度ご相談してみることをおすすめします。

“温かさを保つため”の布団のかけ方

-あたたかく寝るために有効な、布団のかけ方はありますか?

布団と身体の間に隙間をつくらず、外気を遮断するほうが温まります。
ただし、布団自体に吸湿性が欠けているとムレてしまい快眠できないため、羽毛や真綿、綿など天然素材のものを取り入れるようにしてください。

快眠には、実は“環境”も大切なのです!

-就寝前にやっておくと、より快眠につながることはありますか?

より快適に眠っていただくには、寝具だけではなくて、実は寝室環境なども影響しているんです。
以下に、いくつか挙げてみます。

①静かなほうがいい

一般的に図書館ほどの静けさ(40dB以下)が理想だと言われています。しかし、静かすぎて逆に小さな音が気になってしまう場合は、ヒーリングミュージックや好きな音楽など、自分がリラックスできる音楽を聴くのもよいでしょう。

②落ち着いた色彩

寝室は、ベージュなどの落ち着いた色合いで統一すると副交感神経を刺激すると言われていて、心地良く眠れます。
逆に赤などの刺激の強い色は、できるのならば避けましょう。

③リラックスできる香り

アロマなど自分が好きな香りをかぐと、自律神経の切り替えがスムーズにでき、リラックス効果が高まると言われています。
一般的にリラックスができる香りとしては、ラベンターやオレンジスイート、ローズ、カモミールなどが挙げられます。

④寝る前にお風呂に入る

人は体温が下がるタイミングで眠気を感じるメカニズムを持っています。
それにはまず、体温を上げることが有効なんです。

寝る前に入浴をすれば身体が温められますよね。
お風呂から上がって自然と体温が下がる(通常に戻る)ことで、心地良い眠りにつくことができます。

⑤天然素材のパジャマを着る

人は寝ているときに汗をかいています。それによって身体が冷えたり、ムレてしまうため、パジャマは吸湿性に優れているコットンやシルクなどの天然素材のもので、身体の動きを妨げない薄手でゆったりしたものを選びましょう。
女性の間では、もこもこした化繊素材のルームウェアが人気ですよね。そのまま寝てしまうと、不快感や寝返りの妨げにつながることもあるので、眠るときにはパジャマに着替えましょう。

⑦牛乳を飲む

寝ている間に生成されるメラトニンは、快眠をサポートする成分として知られています。実は、牛乳はメラトニンに合成される成分を含んでいるため、睡眠によいとされているのです。

牛乳に含まれる成分はトリプトファンというもの。これは光を浴びるとセロトニンに変わり、夜にはメラトニンに合成されるのです。

つまり、牛乳を飲み光を浴びた日の夜はよく眠れるということです。

寝具を見直してみることはもちろんなのですが、眠りに悩まれてる方は、環境も意識してみてください。

寝具と環境を見直して、ぐっすりぬくぬくな睡眠を

質の良い睡眠が取れれば、日々の疲れも取れて、日中の仕事もはかどるはず。
この機会に、寝具を見直してみてはいかがでしょうか?

また、布団のかけ方や、快眠を促す環境づくりは、すぐに実践できそうですよね。
ぜひ試してみてください。

(取材・文・撮影 KenCoM編集部)

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