2018.02.09
栄養士に聞いた!根菜・しょうが・コーヒー…身体をあたためる食材の噂「嘘・本当」
底冷えするような寒さが続きますが、皆様、お身体を崩されていないですか?
寒さに打ち勝つためには身体に入れるものにも気をつかいたいところ。
では、身体を温めてくれる食材とは何でしょうか?
よく巷で言われる“身体をあたためる食材”の噂の真相について、栄養士でKenCoMの連載でもお馴染み、圓尾和紀さんにお話を伺いました。
圓尾さん考案の「身体をぽかぽかに温めるレシピ」も必見です!
圓尾和紀(まるお・かずき)さん
“日本人の身体に合った食事を提案する”フリーランスの管理栄養士。日本の伝統食の良さを現代の生活に活かす「和ごはん」の考え方を伝えている。『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』がワニブックスより発売中。
噂①根菜が身体を温めるって、本当!?
-よく根菜や冬野菜は身体を温めるとよく聞きますが、それって本当ですか?
栄養学的には実証されてはいませんが、決して「嘘」とも言えないんです。
根菜類が「冷え」にいいと言われる所以を栄養学的に紐解くと、ビタミンC、Eと鉄分が豊富なことが挙げられると思います。
<血流をよくする3大成分>
●ビタミンC・・・血管の機能維持
●ビタミンE・・・血流を促す
●鉄分・・・血液の材料
この3つの成分を一緒にとれる根菜類などは、血流をよくするため、身体が温まると言えます。
⇒噂①の真相:本当!と言えそう。『根菜に含まれるビタミンC、E、鉄分が血流をよくする』
コラム 身体を温める食材はコレ!
根菜類:かぶ、大根、ごぼう、にんじん、れんこん
いも類:さつまいも、さといもなど
かぶや大根については、葉付きのものを選ぶとより栄養価が高くなるため、葉付きのものをとり入れていると◎!根の部分はビタミンCが豊富だが、葉にはビタミンEや鉄分が多い!
コラム 身体を温める成分を効果的に取る食べ方
ビタミンCは水溶性で身体に留めておくことができないため、毎食時にとれるベスト。
ビタミンEは脂溶性で、油と一緒に採ると吸収されやすくなるので、炒め油やお肉から出る油でも◎。
鉄分は、お茶と一緒にとることを避けたほうがいい。お茶の成分・タンニンとくっついて体内に吸収されにくくなってしまうからだ。
噂②しょうがが身体を温めるのは、本当!?
-しょうがも身体を温めるというのは、よく聞く話ですが、本当ですか?
これは、本当です。
しょうがについては、ビタミンC、E、鉄分という成分ではなく、別に身体を温める成分があります。
それは、以下の2つの成分です。
①ガラノラクトン(香りの成分)
②ジンゲロール(辛みの成分)
これらが血管を拡張させ、血流をよくします。
さらにジンゲロールを加熱すると、その一部が「ショウガオール」という成分に変化します。これが身体を温めるとされているので、加熱をして食べることを推奨しています。
朝にしょうが湯を取り入れると、身体がポッと温かくなりますので、おすすめです。
⇒噂②:本当!『しょうがは加熱して食べると身体が温まる』
噂③コーヒーは、身体を冷やすって本当?
-よくコーヒーは身体を冷やしてしまうと聞きますが、本当ですか?
本当です。
コーヒーまた緑茶などに含まれるカフェインは、利尿作用があるため、尿が排出される際に体温を下げてしまうからです。飲みすぎには注意したいところです。
また、他にもなすやトマト、きゅうりといった「夏野菜」と呼ばれるものは身体を冷やしてしまいますので、生食は避けたほうがよいでしょう。ただし、温めて食べる分には問題ありません。
さらに、朝食として人気のあるスムージーも朝から身体に入れてしまうと、より冷えてしまいますので、寒い季節は避けたほうがいいと思います。
⇒噂③:本当!『寒い季節は、コーヒー、緑茶の取りすぎに注意!』
【レシピ】 ぽかぽか、ホッ。「かぶと鶏肉のしょうがスープ」
-先ほど挙げていただいた食材を使った、身体を温めるレシピを教えてください。
かぶを葉ごと使ったスープをご紹介します。
葉ごと使うことで、ビタミンCだけでなく、ビタミンEと鉄分がしっかりとれます。さらにビタミンEと相性のいい油は鶏肉から。さらに過熱によって身体を温める「ショウガオール」成分が出るしょうがをたっぷり加えました。
【材料】(2人分)
・鶏手羽元 5〜6本
・かぶ 4コ
・かぶの葉 2コ分
・生姜 ふたかけ
・水 500cc
・塩 小さじ1弱
・コショウ 少々
・酒 大さじ2
【作り方】
1:鍋に鶏肉と水を入れて強火にかける。沸いたらあくが出るので取り除き、弱火で鶏肉に火を通す。
2:かぶは葉と根の部分に分け、根の部分は皮をむいて4等分に切り分ける。葉の部分は適当な長さに切る。
3:しょうがは皮をむいて細切りにする。
4:1にかぶの根の部分としょうがを加え、火が通ったら葉の部分を加えてサッと火を通す。塩と酒を加え、味を見て塩・コショウの加減を調整して出来上がり。
食材を切って鍋に入れるだけ!の簡単な料理ですが、鶏肉の出汁がかぶに染みてとても美味しいですよ。
かぶに豊富に含まれるビタミンEは油と相性がいいため、鶏肉の脂によって吸収効率が高くなります。また、しょうがに熱を通したことで「ショウガオール」が産生されるので、より身体を温めてくれるはずです。
身体の芯から温まる食材で「冷え」知らず!
巷でよく耳にする身体を温めてくれる食材の真実、いかがでしたでしょうか?
実際に根菜やしょうがは身体を温めてくれる効果が期待でき、コーヒーや緑茶は取りすぎてしまうと身体を冷やしてしまうことがわかりました。
体調管理はまず食事が基本です!毎日の食事で身体を温めるものを食べて、寒さに負けない身体を作りましょう!
(取材・文 KenCoM編集部)