2018.02.09
「寒さ」に負けない身体になるために知っておきたい【原因・リスク・対策】
寒さが厳しい季節は、風邪を引いてしまうなど何かと体調を崩してしまいがち。
そんなときこそ「寒さにも負けない身体を作る!」という意識を持つことが大切です。
そこで、寒さに打ち勝つためにまず知っておきたい、身体が冷える「原因」、「リスク」、「対策」の3点をご紹介していきます。
KenCoM監修医の石原藤樹先生にお話を伺いました。
【原因】身体が冷える、寒いと感じる理由を知ろう
身体が寒いと感じるということは、たいていの場合、大きく2つの原因が考えられます。
【原因①】血液循環不良
【原因②】(冷えていないのに)冷えていると感じている
人は気温が低いところにいると、血液(静脈)が収縮するため、特に末梢の血流が滞って身体が寒くなるということがあります。また、寒冷に対する感受性には差があり、実際は身体が冷えていないのに、冷えていると感じているということもあるのです。
さらに、もともと体温が低くて上がりにくいという人や、外傷や振動病という外的な要因による神経障害、さらには更年期で女性ホルモンが低下することによって手足が冷たいということもあります。(更年期についての「冷え」のメカニズムはまだはっきりとはわかっていません)
「身体が冷える」言うと「冷え性」という言葉になじみがあると思いますが、実は西洋学的に言えば「冷え性」という症状はきちんと実証されていないのです。
海外の医学用語ではcold sensitivity(寒さ過敏)というものが近いのかもしれませんが、日本で言う「冷え性」というものとまったくの同意義と言えるものはあるかは不明です。
【リスク】「冷え」から考えられる病気を知ろう
「冷え」はあくまでも自覚症状であるため、冷えているからといって病気だとは言い切れません。
ただし、可能性が少なからずある病気やリスクについても触れておきます。
①動脈硬化症
身体が温かいのは、身体の隅々まで行きわたる血管の働きによるものです。これが動脈硬化によって、血管が狭くなると血液の流れが鈍ってしまい身体の末端である足が冷たいと感じるようになります。
しばらく歩くと痛みがある、100m以上歩けないという場合には、病気が進行している可能性もありますので、すぐに病院で診てもらうようにしてください。
②更年期障害
女性特有の症状である更年期障害。
身体は、体温を調節するために熱を生みだしていますが、更年期障害で女性ホルモンが減少してしまうと、体温調節をつかさどる自律神経が乱れてしまうのです。
そのためうまく体温調節をすることができず、寒く感じるということもあります。
さらに熱を産生するのは筋肉ですが、一般的に女性は男性よりも筋肉量が少ないため、女性のほうが寒さを感じやすいとも言えます。
③レイノー障害
寒いと手の指や足先が青白くなったり、ひどいときには紫色になったりしますよね。
これは血流が低下している証拠。
少し経っても戻らないならば、神経または血管に問題があるレイノー障害の可能性もあります。
寒さによって手足が青白くなり、5分以上たってもなかなか元に戻らないという場合は、要注意です。
④その他
動脈硬化の原因でもある高血圧、コレステロール値が高いということも考えられます。
また、貧血の方の場合も血液の流れが少ないので身体を温めにくい可能性があります。
さらに筋肉量が少ない痩せている人も熱産生が少ないため、体温が上がりにくいのです。
身体が冷えやすい人の特長はコレ
前段でご紹介したものを踏まえて、冷えやすい身体かどうかをご自身でチェックするためのリストです。
■貧血
■高血圧
■コレステロール値が高い
■痩せている
■筋肉が少ない
これらの特徴に当てはまる人は、身体が冷えやすい傾向にありますので、温める対策をしたり、冷えないような工夫をしましょう。
また、当てはまらない人でも身体が一時的に冷えてしまうことはあります。
身体を温めたり、冷えにくくするための対策を以下にご紹介します。
【対策】寒さを感じたら、こうやって温めよう
身体が冷えてしまったら、そのままにするのではなく、すぐに温めることがとても大切です。
それには、以下の方法が有効です。
①部屋を暖める
当たり前のことなのですが、なかには電気代の節約になるからと暖房器具を使用せず、我慢してしまっている人もいます。
寒いところに長時間いれば、せっかく身体が熱を作り出しても外側から冷えてしまいます。
室温は、寒い・暑いと感じない適温に設定しましょう。
②お風呂につかる
身体を外側から温めるのに有効なのが、お風呂です。
人は41℃以下のお湯につかると副交感神経が刺激され、気持ちがよくなり、リラックスできます。
入り方は、半身浴で20~30分ほどつかるのがおすすめです。
半身浴ならば心臓に水圧がかからないため、負担をかけずに身体を温めることができます。
逆に熱いお湯に入ると、ヒートショックなどのリスクがあります。注意しましょう!
③温かいものを飲む・食べる
身体を中から温めるには、冷えに効果があると言われている飲み物や食材を試してみましょう。
ただし、身体を冷やしてしまうものもあるので注意が必要です。
「寒さ」対策にぴったりな飲み物や食材は、以下を参考にしてみてください。
④ストレッチをする
ストレッチや軽い運動も効果的です。それにより血流がよくなるため、身体が温まります。無理のない範囲で行いましょう。
⑤身体を締め付けない
血行を滞らせてしまう原因になるものは極力避けましょう。
そのためには、厚着をしても圧迫しすぎないような注意が必要です。ベルトを強く締めすぎていませんか?
寒さを撃退すれば、週末のおでかけだって、もっと楽しい!
寒い季節は、身体が冷えるし、外出すらしたくないと内向的・悲観的になってしまう人も多いのではないでしょうか?
病気予防の観点ではもちろんですが、身体が温まれば活動的になり、週末のおでかけだってもっと楽しめるはずです。
今回ご紹介した寒さ対策方法は、自宅で簡単にできることばかり。
身体が冷えてしまった後でも、冷えないように予防するのにも有効なので、ぜひ試してみてください。
(取材・文/KenCoM編集部)