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2018.02.09

冷え性の人は血管が硬い!?つらい「冷え」も改善する『血管のばしストレッチ』#1

KenCoM編集部

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「手足が冷えてつらい」、「暖房をつけっぱなしにしないと眠れない」など、いわゆる「冷え性」に悩む人は、近年、女性だけではなく男性の間でも増えてきています。

ただ、そんなつらい「冷え」も簡単なストレッチだけで楽に解消できるとあれば、試してみない手はありませんよね?

それが『血管のばしストレッチ』です。

このストレッチを考案された立命館大学の家光素行先生にお話を伺い、血管と冷えの関係性や、冷えの改善が見込める『血管のばしストレッチ』について教えていただきました。

家光素行(いえみつ・もとゆき)先生

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立命館大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授

【プロフィール】
筑波大学大学院医学研究科博士課程で博士(医学)を取得。運動生理ならびに生化学の専門家として、科学的根拠に基づくトレーニング方法の開発に貢献する研究に従事。アメリカ心臓学会発表賞、日本高血圧学会優秀論文賞、日本運動生理学会若手最優秀賞など、数々の賞を受賞している。

「冷え性」の人は、血管が硬い!?

-そもそも冷え性の状態とは、どのようなことを指すのでしょうか?

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身体の一部、特に末梢部位である手足などが他の部位と比較して冷たく感じる症状のことで、これは末梢の血流量が著しく低下していることを意味します。つまり、心臓から送られる温かい血液が末端にまでいきわたらないため、寒く感じられるのです。

私たちの研究では、「冷え性」の方は血管の硬さを表す数値が高い値を示していることがわかりました。

それが、下の図です。

参照元:『日本女子医学学会雑誌24』2016,p29-36 
※若年女性を対象にした調査結果です

参照元:『日本女子医学学会雑誌24』2016,p29-36 ※若年女性を対象にした調査結果です

血管の硬さを表す指標として用いているのは、脈波伝播速度を表すbaPWVという値です。
この値は血液の流れの速度を表していて、その数値が高いということは、血液の流れが速いということを意味します。

健康な血管は心臓から送られてきた血液を、波を打ちながら送り出しているため、血液の流れる速度は遅くなります。逆に硬くなった血管は、速くなるのです。

健康的な血管がポンプだとしたら、硬くなった血管はさびた水道管をイメージするとわかりやすいかと思います。

「冷え性」の人は血管が硬くなってしまっているという関連性が考えられますので、血管の硬さを改善できれば「冷え」も改善できる可能性があるというわけです。

血管が硬いと、動脈硬化に発展してしまう恐れも!

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-「冷え性」の人は、血管が硬い可能性があるとわかりました。血管が硬いと、身体にどんな影響がありますか?

血管が硬いということは、重篤な場合、動脈硬化の可能性があるということです。

さらに進行すると、内側がもろくなり粥腫(じゅんしゅ)と呼ばれる老廃物ができ、それがはがれて血中をただようと血流を滞らせる原因になります。
すると脳梗塞や心不全といった心血管疾患(※)のリスクが高くなります。

しなやかで柔らかい血管は、ふわっと広がりながら波を打つように血液を流すことができ、心臓は軽い力を使うだけで済みます。

一方、さびて硬い血管は波打つ動きができないので、心臓は強い力で押し出さねばならず負担がかかってしまうのです。

※心血管疾患・・・心不全、心筋梗塞、脳梗塞、くも膜下出血などの脳出血など

「冷え性」の原因は、偏った生活習慣

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-そもそも「冷え性」になってしまう原因は何でしょうか?

それは身近な生活習慣にあり、以下の4つが主な原因として挙げられます。

①喫煙
②飲酒
③運動不足
④食べすぎ(甘いもの、脂肪の多いものなど)

喫煙は、たばこに含まれるニコチンが末梢血管を収縮させる作用があります。そのため手や足の血流量を減少させてしまう。飲酒は、一時的に血圧が下がることもありますが、飲みすぎると高血圧状態が続くので、血管に負担がかかり硬くなってしまうリスクが高まります。また、運動不足と食べすぎによって脂肪がつくと、細胞から血管をさびつかせるホルモンが分泌されてしまうのです。

またこれらは、血管が硬くなってしまう原因でもあります。

血管が硬い人は、身体も硬い!?

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-血管の硬さを自分自身で確認する方法はありますか?

実は、血管が硬いかどうかは自覚症状がないためご自身で正確に把握することは難しいと言えます。
血管の硬さを知るには、健診機関や医療機関でPWV値(脈波伝播速度)などを測るしかありません。

しかし、私たちの研究データでは“身体が硬い人(柔軟性が低い人)は血管も硬い”という結果が出たのです。
これがご自身で血管の硬さを知るひとつの指標になるかもしれません。

-身体が硬いかどうかを判断するための基準はありますか?

研究時のデータ計測には専門的な指標があるのですが、ご自身で判断するとしたら、前屈をしてみて指先が足先につかないならば身体が硬いと判断してよいでしょう。
これは手足の長さなどに起因する部分はあるため正確ではありませんが、一般的な指標としては十分ではないでしょうか。

血管を柔らかくすれば、冷えは改善する!

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-「冷え性」の人は血管が硬い、それを柔らかくすることで症状を改善するのが『血管のばしストレッチ』というわけですね?

そうです。血管のばしストレッチは、身体を柔らかくするストレッチを応用して、血管をストレッチすれば柔らかくなるのではないかと考えたことから生まれたものです。
実際にストレッチ後には、ストレッチした部位の血流が増加するとともに、血管の硬さが改善することも分かっています。

また、中高齢者に『血管のばしストレッチ』を1日10分×2回を毎日実施してもらい、4週間後に計測したところ「足の指先の表面温度」も平均で約2℃高くなったという結果も出ています。

血管の硬さを改善すれば、冷えも改善できる関係性が見えてきました。

ただし、血管の硬さは時間が経つと戻ってきてしまいます。

下の図が表しているのは、被験者がストレッチを行い、ストレッチ前と後、直後、10分後、30分後、60分後に分けてbaPWV(波派伝播速度)を計測し、平均値を出したものです。

参照元:Yamato Y,,,Iemitsu M.Am J Phys Med Rehabil 95:764-770,2016

参照元:Yamato Y,,,Iemitsu M.Am J Phys Med Rehabil 95:764-770,2016

ストレッチを実施してすぐに数値に改善の変化があらわれますが、60分後には再び戻ってきました。

『血管のばしストレッチ』は血管の硬さの改善、ひいては「冷え」の改善に一定の効果があると言えますが、続けていくことが大切です。

『血管のばしストレッチ』は下肢を中心に行う

ーどこをストレッチしていけばよいのでしょうか?

ストレッチするべきは、下肢です。
下肢には大きな筋肉が集中していますので、そこを中心にストレッチすれば全身の血液循環がよくなります。
実際に、血管の硬さは全身にわたって改善したという結果も出ています。

『血管のばしストレッチ』は、自宅で簡単にできるストレッチばかりですので、まずは気軽にトライしてもらいたいですね。

自宅で簡単にできる『血管のばしストレッチ』、その正しいやり方は、以下の記事にてご確認を!

参考文献

大和洋輔,長谷川夏輝,藤江隼平,家光素行,「日本人若年女性の冷え症が動脈硬化に及ぼす影響」『日本女性医学学会雑誌24』2016, p29-36

Yamato Y,,,Iemitsu M.Am J Phys Med Rehabil 95:764-770,2016

(取材・文 KenCoM編集部)

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