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2018.02.02

高血圧と診断されたら? 意外と知らない血圧の話〜③高血圧の予防と対策〜

kencom公式ライター:緒方りえ

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高血圧治療ガイドラインによると、高血圧の人は日本人全体で4300万人いるのだとか。40代に限ると、男性は290万人、女性は140万人と推定されています。そのうち治療している人は60代で50%、さらにその中で血圧管理もできている人は男性30%女性40%と言われています。

では、血圧を適切にコントロールするためにはどのような行動をとるべきなのでしょうか。正しい血圧測定の方法や薬の話など、高血圧で通院中の方に役立つ知識をご紹介したいと思います。

3回目になりますが、今回もお話をしてくださるのは、群馬県済生会前橋病院 循環器内科の土屋寛子先生です。

土屋寛子(つちやひろこ)先生

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群馬県済生会前橋病院 循環器内科

【プロフィール】
2002年富山医科薬科大学(現:富山大学) 薬学部を卒業。2002年群馬大学 医学部編入。2008年群馬大学 医学部第二内科入局し、循環器内科医師として3年間勤務。2011年から現在まで群馬県済生会前橋病院にて勤務中。内科認定医。日本心血管インターベンション治療学会認定医。

どう高血圧とつきあうべきかを考えよう

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外来を受診して高血圧と診断された場合は、まずは適切な食事、運動、睡眠などの情報提供と指導をさせていただきます。高血圧は生活習慣によって何年何十年もの時間をかけて進行しますので、その患者さんに合った生活習慣の改善を目指します。

血圧を下げる薬をいきなり飲むのは怖い、薬を飲み始めたら一生やめられないんじゃないか等と心配している患者さんは少なくありません。
私の場合は、初回の診察でいきなり高血圧の薬を出すことは少ないです。しかし、もともと血管系の持病があったり、受診時に異常に高い血圧数値が出た場合などは内服を開始させていただきます。その場合は1剤で少量からスタートするのが基本となります。一時的に薬の量が増えてしまっても、徐々に薬を減らしたり内服を終了できる方もいます。

薬の量が減る理由は、血圧が落ち着いた場合もあれば下がりすぎてしまった場合もあり、人によりけりです。
自宅での血圧測定を続けてデータを取ることが重要になってきます。

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以下に理想的な血圧測定の方法を記載しますので参考にしてください。
① トイレは済ませておく
② 朝起きてから1時間以内、朝ごはん前に
③ 飲酒後、喫煙後、コーヒーなどのカフェインを摂った後は避ける
④ 静かで寒くない場所を選ぶ
⑤ 背もたれ付の椅子に足を組まずに座って1〜2分リラックスする
⑥ 測定時は周りの人と会話をしない
⑦ カフ(腕に巻く部分)は心臓の高さに合わせる
血圧測定は自分で毎日続けることが大切であり、負担に感じない程度にルールを決めて測定してください。

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朝一番の血圧は夜間の血圧を反映しているため、高血圧の治療をするための貴重なデータとなります。病院で診察している時間帯以外の血圧を把握することは、早朝や夜間に起こりやすい高血圧や他の病気を見つけることに役立ちます。

正確に測るために、朝の活動によって血圧が上がってしまう前に測定するようにすると良いでしょう。

朝晩の2回測ることが理想ですが、ライフスタイルに合わせて無理なく測定しましょう。

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血圧を下げる薬は主に「カルシウム拮抗剤」「ARB・ACE阻害薬」「利尿剤」「β遮断薬」の4種類があります。
薬は飲み忘れないことが大切です。毎日決まった時間に飲むようにしましょう。

1日に何度も内服することが大変な場合は、少ない内服回数で調整できる場合もあるため、医師に相談すると良いでしょう。
また、フラフラしたりと血圧が下がっているような症状を感じた場合は、まずは血圧を測定して医師に相談しましょう。

決して自己判断で薬の量をかえてはいけません。

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コンビニなどでよく見かけるようになった特定保健用食品(トクホ)。味も値段も、飲みやすいものが増えてきました。
こんなに手軽な飲み物で血圧が安定するなら飲もうかなと思ってしまいますが、実は今の時点では血圧を下げる効果についてハッキリとしていません。
トクホに薬の変わりになるくらいの効果があるならば、薬として登録する方向になるでしょう。

トクホは、自分の血圧を管理したり健康行動をとるための意識づけに活用すると良さそうです。

定期的な測定が高血圧の対策になる

高血圧の治療で大切なことは、家での血圧測定を習慣づけることです。受診時にその記録を持参することで、診断や治療の助けにもなります。
また、医師から提供される生活習慣の改善方法を守りつつ、自分のできる範囲で心身ともに負担のかからない生活を心がけるようにしましょう。

どこに記録したらいいかわからないという方は、kencomアプリが最適です。

kencomアプリ内のカラダタブに毎日記録していけば、自分の血圧の推移をしっかり観察できます。
その結果、ちょっとした変化でもかかりつけ医に相談しやすくなるでしょう。

とにかく測定を習慣づける。そのためにもぜひ活用してください。

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著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

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