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2017.12.12

今度こそ禁煙!成功に必要なのは自分の性格を知ることだ【喫煙者向け・産業医の禁煙講座】

KenCoM編集部

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近年、何かと騒がれるたばこ。がんなどの健康リスク、受動喫煙問題などが騒がれ、相次ぐ値上げも相まって、いたるところで禁煙キャンペーンが行われています。
こうした背景もあってか、2017年9月に発表された国の調査では、成人全体の喫煙率は2割程度という結果に。しかし30~50代に限定すると、男性約4割・女性約1割と高い数字。どうやら働き盛りが喫煙率を牽引する傾向にありそうです。

とはいえ、たばこが仕事の気分転換やストレス解消になっているのも事実。嗜む人にとって禁煙にどう挑むのがベストな方法なのでしょうか?

今回は働き手と喫煙をテーマに、身近な相談役である産業医・清本芳史先生から、現場を通して見てきた禁煙の話を聞いてきました。

禁煙成功への道は人それぞれ

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オフィスの喫煙所が撤去されたり、加熱式たばこのみ使用OKになったりと、仕事のリフレッシュ時にたばこが吸えないことが増えてきました。
気軽に吸える場所がなくなることで、禁煙しようと考える方が増えているようです。しかし、清本先生いわく、禁煙を始めると非常に辛い戦いが待っており、喫煙の誘惑に負けてしまう人がいるといいます。

「常習的にたばこを吸っていた方が、禁煙を始めると禁断症状や離脱症状が出てきます。これはニコチンを摂取して脳内にドーパミン(快楽物質)を放出するレセプター(受容体)が、ニコチンを欲している状態です。人によって辛さは異なるものの、この期間は非常に辛く禁煙開始から1ヵ月程度は続きます。ピークを越えると徐々に辛さが軽減されていくので、そこを抜けられるかが禁煙成功の鍵です」。(清本先生)

よく”ヤニ切れ”なんて言葉がありますが、ニコチン摂取による身体の変化のようですね。

ここでタイプ別に対応策をご紹介いたします。

意志の強い人向け:持ってるたばこや灰皿を即捨てる

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気が付いたら仲間が喫煙所から卒業していた…、なんてことはありませんか?
そういった方は非常に意志が強く、動機を忘れずにすっと止めることができるようです。

「喫煙習慣が短いほど、すっと止められます。一生喫煙する、と豪語される人であっても、病気になったり、お孫さんが生まれたりするとピタッと禁煙する方もいらっしゃいますね。しかし、たばこはニコチン依存という言葉があるぐらい、依存性の強い嗜好品。簡単に止められない人がいることは当たり前です」(清本先生)

負けず嫌いな人向け:周囲に禁煙を宣言する

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負けず嫌いなタイプや、不退転の覚悟ができる人であれば、周囲に「禁煙する!」と決意表明から始めてみましょう。
清本先生いわく、自分の意志を強くするだけでなく、周囲の理解が得られる方法のようです。

「喫煙習慣が10年ぐらいになっていると、たばこと一緒に人生を歩んできたといっても過言ではありません。そんな習慣を止めるのは本当に苦労がかかるため、強い意志でいることが大切です。さらに、禁煙は1人で完結するものと思いがちですが、”1本ぐらいなら”という欲は意外と外的要因も関係しています。『あの人禁煙してるんだった』となれば、喫煙所に誘わない、飲み会での喫煙席の配慮など、周囲の協力を得られる可能性がありますよ」(清本先生)

とはいえ、何度も失敗してしまうと「また言ってる」と思われる可能性もありますので、注意しましょう。

禁煙の心得を知りたい人向け:禁煙セラピーの本を読む

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意志の力だけでは、たばこへの欲求に負けてしまうこともあります。そんな時に有効な手段のひとつが読書です。

「禁煙に関しては様々な書籍が出版されています。たばこを止めようと思っても、中々始められないという方は、本を読むのも有効ですよ。私がよくご紹介するのは、アレン・カーの『禁煙セラピー』です。ベストセラーにもなっていて、著者の禁煙成功体験から得たものが一冊にまとまっています。辛いときにどうしたらいいのか?といった、禁煙に対する心構えを知ることができます。ぜひ手にとってみてください」(清本先生)

目標があったほうが燃える人向け:禁煙貯金に挑戦してみる

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「以前カウンセリングをした方が実践されていたのが、禁煙貯金です。シンプルな方法ではありますが、1日1箱吸ってしまうような方は、1日のたばこ代を貯金箱にいれてみましょう。ただお金が貯まること以上に、それだけ禁煙に成功しているということが実感できますよ。『自分はがんばっている』と、ちょっとした成功体験を感じられるはずです」(清本先生)

禁煙は我慢の連続。しかし、仮に毎日400円ずつ貯めることができれば、1ヵ月で1万2000円になります。貯まったお金で家族と食事にいったり、自分へのご褒美を買ったりすれば、禁煙を楽しく続けられるかもしれませんね。

もし禁煙に成功した暁には、貯金上手になっていたりするかも?

徐々に止めたい人向け:加熱式たばこを経てから止める

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たばこはアルコールと同じ嗜好品のひとつ。当然、どうしても止められないという人も中にはいるはずです。
清本先生が提案するのは、禁煙の前段階として加熱式たばこを試すことです。

「すべての人が、即たばこと縁を切れるわけではありません。紙巻たばこを吸うぐらいであれば、まだ加熱式たばこに切り替えた方がいくらかマシです。というのも、加熱式たばこは紙巻たばこに比べて身体への有害物質が約90%軽減されていると言われており、また、本人だけでなく周囲への受動喫煙によるリスクを軽減できるからです。禁煙に向けたステップとして、『紙巻たばこを止められた』という実績の一つとして考えてもいいでしょう。ここで満足することなく、最終的には期限等を決めて加熱式たばこからも卒業し、健康や時間やお金などを大切にして欲しいです」(清本先生)

徐々に止めていく方が性に合うという方は、こちらの方法も検討してみましょう。ただし、あくまでも一次的な処置であることをお忘れなく。

専門家に見守ってほしい人向け:禁煙外来やカウンセリングを活用する

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上記の手法がどれも難しければ、医療機関で禁煙外来に通ってみましょう。3ヵ月までは保険適用となり、医師のカウンセリングや禁煙補助薬を3割負担で利用できるため、成功率がぐっと上がります。

「禁煙外来を受診する・しないでは、禁煙成功率が3倍近く差が出ることが分かっています。禁煙補助薬を使えるので、辛い離脱症状を抑えながら自然とたばこ習慣を直していけますよ。薬を使いたくない人であれば、インターネットを使った禁煙カウンセリングもぜひ活用してみてください。辛いときに、応援メッセージが来ることで『1人じゃない』と、気持ちをやわらげることができます」(清本先生)

会社の中で産業医がカウンセリングに対応することもあります。お勤め先の制度をぜひ確認してみてください。

自分にあった禁煙手法で辛い時期を乗り越えよう!

清本先生の話から、禁煙には人それぞれ成功のタイプがあることが見えてきました。

今回紹介したのは、あくまでも一例。まずは自分の性格をよく見つめなおすことができれば、スムーズにたばこから卒業できるかもしれません。

「以前、禁煙したい人を集めて『1週間禁煙チャレンジ』という、イベント形式の取り組みをやったことがあります。これは、ひとりじゃないという、仲間意識ができるので有効な手段といえます。それでもチャレンジが終わった後に、喫煙習慣が戻った人も当然いらっしゃいます。喫煙は一時のリラックスと引き換えに、がんや心筋梗塞といった健康リスク、経済的な負担、臭いなど様々なデメリットがあります。心が挫けそうになった時は、なぜ禁煙しようと思ったのか?という原点に立ち返り、諦めることなくトライしてくださいね」(清本先生)

清本 芳史(きよもと・よしふみ)先生

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【プロフィール】
1978年福岡県北九州市生まれ。産業医科大学医学部卒業。日本産業衛生学会指導医。
大分大学で臨床研修後、ブラザー工業産業医、産業医科大学研究職、厚生労働省労働衛生課課長補佐、熊谷組統括産業医を経て、2015年よりDeNA統括産業医。趣味は将棋とマラソン。元100kmマラソン日本代表、フルマラソン自己ベスト2:24:40。

(取材・文 KenCoM編集部)