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2017.11.22

なぜ人は酔うのか?今こそ考えたいお酒との賢い付き合い方

kencom編集部

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みなさまお酒は好きですか?「家での晩酌が日課」「週1回は飲み会がある」など習慣化している人もいれば、「苦手で飲めない」という人もいるでしょう。なぜお酒の強弱や好みに個人差があるのかを、明確に語れる人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、kencom監修医・石原先生の協力の下、お酒を飲むと身体の中で何が起こるのかをご紹介いたします。

人はなぜ、お酒の失態をしてしまうのか?

アルコールを吸収する際に2つの物質が影響する

お酒をたくさん飲んでも平気な人もいれば、ビール1杯で顔が真っ赤になる人など様々。中には人が変わったように、笑い上戸になったり、怒りっぽくなる人もいますよね。これらは、身体の中でお酒が分解されることで起こるといわれています。石原先生いわく、人の酔いには『エタノール』と『アセドアルデヒド』という2つの物質が関係するといいます。

「アルコールの主成分は『エタノール』です。エタノールは血液に溶けやすいため、血中の濃度が高くなると酔う症状が現れます。簡単に説明すると以下の5段階に分けられます」(石原先生)。

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「エタノールは脳の働きを抑制し、感情や運動、睡眠、呼吸といった動作を抑えてしまう働きがあります。さらに、非常に身体に吸収されるのも早く、空腹時は1時間ほどで約90%が血液に吸収されるのです。仮に一気飲みをすれば、急激にエタノールが体内に入ってくるため、分解するスピードが追いつかず命を落とすことがあります。絶対に無理をせず、ほどほどの量でとどめておくのが賢い付き合い方です」(石原先生)。

仮にゆっくり飲んでいたとしても、飲み続ければ泥酔状態に達して意識を保てなくなるようです。
飲み会の最中などに寝てしまうなんてことがあるかもしれませんが、これはアルコールが睡眠のパターンを変えており厳密には睡眠ではなく、気を失うのと近いことが起こっているのです。

命を落とすまでは行かなくとも、思わぬ怪我をしたり窃盗被害にあったりと、様々な事故の危険があるので注意しましょう。

ポイント:一気飲みは絶対しない!飲める量を考えつつペース配分を!

なんで二日酔いになるのか?

アルコールは分解されると”毒”になってから抜けていく

酔うということは、エタノールの働きということが分かりました。一方、定番である”気持ち悪い”、”二日酔いが辛い”というのはどうやらホルムアルデヒドの仕業のようです。

「エタノールが肝臓で分解・代謝されると、毒性のある『アセドアルデヒド』が生じます。ここから体内の酵素によってさらに分解・代謝されることで無害な酢酸になり、やがて水と炭酸ガスとなって身体に取り込まれるのです。例えば、飲みすぎて吐き気がする、頭が痛いといった症状などは、体内にアセドアルデヒドが増えたために起こると考えられています。無害化されるまでの時間は、体調・体質による個人差があるのです。例えば日本酒1合(アルコールで20gほど)が酢酸になるまでには、3~5時間が必要とされています。つまり2合以上飲めば、それだけ分解に時間がかかるため、朝起きて二日酔いになってもおかしくありません」(石原先生)。

体内で毒物になってしまうのは、人間の動物的な機能なので諦めるしかありません。もしこの働きがなければ、エタノールの血中濃度が高いままとなるため非常に危険です。
そして、アセドアルデヒドを分解する酵素が体内に少ない人ほど、お酒に弱くなります。よく”少しのお酒で顔が赤くなる””体調が悪くなる”というのは、分解が遅れているために体内に毒が残り続けている結果なんです。

「お酒を分解するには、体調も大きな要因となります。仮に風邪を引いていれば、原因菌に抵抗する力が働いているため、普段よりもお酒を分解する力が弱くなるのです。自分の体調をしっかりと把握し、無理はしないでください」(石原先生)。

ポイント:自分はお酒に強いと思っても体調が悪いときは飲まない!

酔い方を知って、お酒に対して紳士になろう

飲酒量の単位:e‐ヘルスネットより試算

飲酒量の単位:e‐ヘルスネットより試算

体調が悪いときに酒飲みの人は”アルコール消毒”なんて言葉を使いますが、科学的に実証された根拠はないようです。
厚生労働省によると、アルコール換算で男性約40g、女性約20g以上を摂取していると、生活習慣病のリスクを高めるとされています。

「健康を考えるなら1日の飲酒量の目安は、アルコール度数5%のビール500ml(アルコール20g程度)を意識してください」(石原先生)。

お酒が好きな人であれば、急に減らすのは難しいかもしれません。その場合は、飲まない日(休肝日)を2日程度はつくることから始めて、徐々に量を減らしていくようにしましょう。いつまでもお酒を楽しむために、賢い付き合い方を身につけてくださいね。

(取材・文 kencom編集部)

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